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差別に対する自分の考え

最近ハリウッドで話題になっているアジア人への差別について、自分の思うことを書こうと思う。アメリカで日本人として10年以上住んだ経験のある、社会心理学者としての意見。

人の振り見て我が振り直せ

差別を観察して自分が嫌悪感を感じるのであれば、自分が同じことをしないように心がけるのが、基本的に自分が唯一できる抵抗ではないかと思う。差別はしている側は意図してしているわけではない。じゃあ自分も意図しないでしてしまっているのではないか、と疑ってみることが大事だと思う。ただ、これを実践するのは結構難しい。差別は自分がされてみないと、差別をするとはどういうことなのかが、とても実感がしにくい。

権力(パワー)の構造を自覚する

差別の構造を理解すると、差別がより複雑なものであることが分かる。基本的には、差別をする側は社会的に権力(パワー)を持つ側であることが多い。権力は歴史的に作られるので、このパワーバランスは社会の歴史的文脈によって違ってくる。

米国の場合、白人が強い立場である歴史的背景があるので、白人が他の人種に対する差別をしやすいし、そういう場合の方が目立つ。

日本ではどうか。日本人が圧倒的に多い日本では、日本人が他の人種マイノリティーに対して行ってきている差別が多いのではないか。

インド人が主演の日本映画はあるだろうか。
ハーフが役員やCEOになっている日本の企業はどれくらいあるだろう。
日本以外にルーツを持つ日本人の政治家は、何人いるだろう。
権力を持つ立場にいる人間は、大体いつも日本人だ。

こう言う点については、日本人は自分たちが他の人種を差別をしやすい構図になっていることに対してはあまりにも無自覚すぎる。これは日本人が権力を握っている側に立っているから。

米国を見ているとアジア人や黒人に対する差別が目立つが、インド人や黒人が日本に住んだら、同じくらい酷い目に遭うはずだ。むしろ最近の米国は、アジア人の社会的地位が向上してきているので、このパワーバランスは昔ほど酷くはないはず。
逆に、白人が日本に住むとなったら、パワーバランスは逆転する。日本で差別された経験がある白人はきっと多いだろう。

何人だから差別される・しないの問題ではなく、自分が置かれた文脈のパワーバランスにおいてどの位置にいるのかが、問題になってくる。日本人が多数の日本において、人種差別された経験のある日本人はどれくらいいるだろうか。意図的には気づきにくいこの差別の構造を、人種差別をされたことがない日本人が自覚して変えていくのが一番の難問だ。

芸能人にモラルを求める必要はない

話は少し逸れるけど、芸能人の行動を一般化したり、彼らに道徳的規範を求めてはいけない。芸能人なんて、良くも悪くも注目を集めてナンボの職業だし、僕らは彼らの演技以上の人間としての価値なんて知る余地もない。むしろ、芸能人なんてすぐ不倫や浮気するし、薬物産業にとても近いところにいる。エンタメ以外、彼らに何も期待する必要はない。

まとめ

人の振り見て我が振り直すには、自分の置かれたパワーバランスについて自覚しよう。



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