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ちはるのファーストコンタクト(2018年)

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2018年に書かれたマガジン「ちはるのファーストコンタクト」の記事をすべて収録しました。300本以上あります。
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#行動経済学

【雑談】”学習” 行動経済学の発想

金曜日は「思うこと/したいこと」のトピックで書いています。 前日に『「ココロ」の経済学』という行動経済学の本を紹介した。これを読んで感じたのは、すでに経済学は心理学になりつつあるということだ。あるいは、新しい経済学(著者のいうエビデンス経済学)は心理学を取り込みつつある。これは同じ頃に、サイモンやトバスキー、カーネマンの理論を、「最先端の心理学」として学んでいた私の感触でもある。いずれ早晩、人間や心を一部に取り込んでいる学問(裁判や法律、道徳や倫理、人工知能など)は全て心理

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【本】依田高典『「ココロ」の経済学』:行動経済学のこれまでとこれからの展開

木曜日はお勧めの本を紹介しています。 今回は依田高典『「ココロ」の経済学』(ちくま新書, 2016)を取り上げます。 ■要約行動経済学はサイモンが「限定合理性(人間の合理性が限定的であること)」を主張して、合理的経済人(ホモエコノミカス)をモデルとしてきた主流派経済学を批判するところからスタートした。カーネマンはそれを引き継ぎ、人間の判断にはバイアスがかかっているけれども、そのバイアスには法則性があることを明らかにした。そのバイアスの例が、代表性バイアス(典型例を基準とし

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【アドラー心理学の実践】#07 “個人”とは何か:質疑応答

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。10月4日(木)から早稲田大学エクステンションセンター中野校で「アドラー心理学実践講座」(全8回)がスタートしました。この連載では、この講座の内容を同時並行でお伝えしています。講座に参加できない方にも、その雰囲気が伝わればいいなと思っています。 前回は個人という概念を説明しました。行動、認知、感情はそれぞれに協力しあって個人を構成しています。その意味で「個人」というのは仮想的なものです。仮説構成体(construct)とも言え

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デザートを無料サービスされたという感じの行動経済学

火曜日は「教えること/研究すること」のトピックで書いています。 最近では授業でも講座でも研修でも、最後にアンケートをして参加者からの評価をいただくことになっている。こちらが用意したアンケートフォームを使うこともあれば、主催者が用意したフォームを使うこともある。いずれにしても講座でよかったところ、また、改善するとすればどこかを記述式で聞くのは共通している。 講座を終えたあとの仕事は、このアンケートを注意深く読むことだ。これは楽しみでもある。最近発見したことは、講座の良かった

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【本】佐藤雅彦・菅俊一・高橋秀明『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』:行動経済学の考え方のみならず心理学の理論をマンガで理解できる。

木曜日はお勧めの本を紹介しています。今回はこの本を取り上げます。 佐藤雅彦・菅俊一・高橋秀明『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』(マガジンハウス, 2017) ■紹介「行動経済学まんが」とタイトルにあるように、行動経済学のモデルをマンガで例を示して解説している。 行動経済学とは、合理的な人間像から構築された経済学では説明しきれない人間の経済構造を、心理学的に解明しようとしている分野である。だから「経済行動心理学」と呼んだ方がいいかもしれない。この領域は心理学のなかで意

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【本】大竹文雄『競争社会の歩き方』:経済学的視点を自分に取り入れる。

木曜日はお勧めの本を紹介しています。今回はこの本を取り上げます。 大竹文雄『競争社会の歩き方』(中公新書, 2017) ■要約モノやサービスの「私的価値」と「市場価格」を比較することで、売り買いという経済現象が発生する。そこでは常に心理的な変数が介在する。これが行動経済学の進展となった。たとえば需要に応じて価格が上がるという市場システムは、個人としてはフェアではないと考える人が多い。人気のあるチケットもそうでないチケットも同じ価格で入手できる方がいいと考えるのが一例。

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