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学生服リユースショップさくらや研究【さくらやぼん編その6】

 さくらやぼんの出版に向けて、資料をまとめたり対談企画を組んだり寄稿の依頼をしたりと、出版社の担当者と打合せを重ねながら作業を進める馬場さんでしたが、制作費用の捻出が課題になっていました。

制作費用がかさむ中で

 さくらやぼんの出版に当たっては、「オシャレで見やすく」のコンセプトを大事にしていました。そうするとカメラマンやデザインの仕事が必要になるため、制作費用は一般的なビジネス本の数倍もかかりました。それでも、

全国の「何かコトを始めたい」女性たちへ少しでも役立ちたい

という馬場さんの気持ちは変わりませんでした。

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 馬場さんが「さくらやの本を出したい」と言うと、企業や個人を問わず、たくさんの協力を申し出てもらったそうです。馬場さんがメンターを務める「キャリスタ塾」を主催する高松信用金庫や、子供の貧困対策で連携する高松市社会福祉協議会、学生服回収ボックスで協力してくれたNTT西日本香川支店、SDGs研修で連携する三井住友海上保険など、馬場さんの取組みを知っている人たちは、進んで応援してくれました。

 香川県を中心に多くの企業や団体、個人からの支援を得た馬場さんでしたが、より広く、今まで馬場さんや「さくらや」のことを知らなかった人たちにもさくらやぼんのことを知って欲しいと考えていました。

クラウドファンディングを活用

 そこで馬場さんが注目したのは、クラウドファンディングでした。クラウドファンディングは、不特定多数の人がインターネットを通じて他の人々や組織が行う活動に寄付などの協力をすることです。

 クラウドファンディングのプラットフォームとしては、CAMPFIRE(キャンプファイヤー)やREADYFOR(レディーフォー)、Makuake(マクアケ)などがあります。これらのサイトを通じて寄付を募ると、手数料の支払いやプロジェクトの進捗公開などの手間が生じますが、それでも多くの人に出版プロジェクトを知ってもらうというメリットを馬場さんは感じていました。

 数あるクラウドファンディングのプラットフォームの中から馬場さんが選択したのは、Makuakeでした。Makuakeを選んだのは、さくらやのビジネスの観点から共感できるところがあると馬場さんが考えたからです。

地域貢献とビジネスの両立

 さくらやは、地域社会貢献の活動に取り組んでいるお店です。「月イチ障害者イバショ支援」で障害者の人達と作業や食事作りをしたり、「子ども食堂」を開催したり。そうした活動では、地元の農家から野菜をもらったりしながら工夫しながら取り組み、足りない部分はさくらや高松店から支援金というカタチで出していました。

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 「自分たちでできることをやっているだけ」と馬場さんは言いますが、一般的に地域活動では様々な助成金を活用して活動しているケースが多い中で、さくらやは小規模事業者でありながら、本業の利益から自分たちの活動支援費に充てているのです。

 このように、さくらやはビジネスと支援活動の両立を10年間にわたって成り立たせているお店です。そのため、全国の子ども支援団体から「どうやって続けていけるのか?」という問い合わせがあるそうです。そんな経験から、日本の産業を高めるという産業支援志向のMakuakeに馬場さんは共感して、さくらやぼんのクラウドファンディングをMakuakeで行うことを決心したのです。

思わぬ事態

 こうしてクラウドファンディングの準備を始めた馬場さんでしたが、4月になって感染症が全国に拡大し、当初の予定どおりに手続きを進めていいものか、非常に悩ましい事態になっていました。

このままいくとクラウドファンディングも危うい

そう思い始めた頃には、クラウドファンディングの開始日が1週間後に迫っていました。

続く


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