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旅31-チャナッカレから始まる旅

ブルガリアのお話から時間は戻り、トルコ・チャナッカレである。
ここはトロイ遺跡へのゲートシティ。話も古代へ戻るのだ。これからトロイアの英雄アイネイアスの軌跡を辿る旅となる。特に彼の訪れた町をできる限り順々に廻っていこうと思っている。もちろん最初は彼の故郷、トロイアから始まるのだ。

トロイ遺跡へはミニバスで30分。有名なヒサルリクの丘にある。€2(230円)。入場料15YTL(825円)。この遺跡、誰もが知っているがガッカリ度も高いと言われている。しかし、「そうかなあ?」。確かに木馬はハリボテ感強し。

かっこいい木馬をみたいなら、チャナッカレの街にブラピ主演映画のセットがある。博物館も大したことがない。城壁の跡もそうかもしれない。

でもこのトロイアの遺跡、歴史的には同じ場所に何回も町を建設した結構珍しいものと言われている。

そしてその6番目の町が神話で謳われたトロイア戦争時代のものと言われている。
アキレウスが、アガメムノンが、オデッセウスが、メネラオスが、
ヘクトルが、パリスが、プリアモスが活躍した。
伝説の一節として語られるトロイア城壁の破壊と無意味化、だからこそ今に残る遺跡の城壁も痛々しく、心の目で見、想像すること、これが正しい遺跡の見かただと思う。トロイア戦争終結が長引いた要因とされる強固な城壁はもちろん見る影もない。トロイの木馬にギリシア軍の戦士を乗せて場内に運び込むのは重量的にも難しいとされているが、武の象徴である馬を象(かた)った祭祀具を燃やして起こした(たまたま起こった)地震が城壁を破壊したのかもしれない。そんなことを想い、この遺跡(英語で遺跡はRuin=廃墟)に埋まっているモノ以外の何かを想像するのだ。

僕はそれほど遺跡好きではない。僕がほとんどの遺跡を楽しめないのは知識の乏しさであり、想像力の貧困さである。改めて思い知る。人生を楽しめるかどうかは知識と創造力次第。能力をベースに、熱意と考え方が僕らに人生の厚みを持たせる。人生というのは仰々しいが、日々の生活やその積み重ねにちょっとした余裕と熱意を持つと生きているだけで楽しい。
トロイア遺跡。僕にとってここは他とは違う。知識十分とは言えないけれど僕はギリシア神話が好きなのだ。最低でも、強い思い入れがある。湧き上がる感慨が僕の内にある。

トロイの遺跡は僕にとって、思い出深い場所なのだ。そしてこれから、トロイア戦争後に新トロイア王国建国を目指し西へ西へと進んだアイネイアスの軌跡を辿る旅が始まる。


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