勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め

勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、
敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む

孫子の兵法の言葉です。

創業セミナーなど事業計画書作成のところで必ずお話しています。

勝つためには、事前にしっかりと勝ちをイメージした「準備」をしてからことに臨むべきだと。とりあえずやってみて勝とうとしたってダメだ。と、解釈しています。

先日のラグビーワールドカップでも、日本代表選手が皆さん「いい準備」という言葉を口にされていました。勝つためには「勝ちをイメージしたいい準備」をしっかりしてから、戦いに挑む必要があるということ。練習や準備段階で、失敗したり負けていたのでは、本番では勝てないということなのでしょう。「練習で出来ないものは本番でできるはずがない」とよく言います。

ビジネスでは、「勝ち負け」という概念ではないので、勝つためにはではなく、「夢を実現するため」には、「事業を5年、10年と継続させるため」には、「新規事業を成功させるため」にはと考えます。そのためには、とりあえずやってみるのではなく、しっかりとした準備が必要です。

その準備として一番大切なことが”事業計画書の作成”です。もちろん「勝てる」計画書を作成しても、実際にやるとその通りにはなりません。しかし、紙の上で「勝てない」事業は、実際にやっても確実に「勝てません」。

銀行では、融資の申込のあるお取引先に、事業計画書の提出を求めることがよくあります。しかし、すんなりと提出してくれるお取引先は1割程度です。殆どのお取引先は、事業計画書を作成していませんでした。

なぜ、作成していなのかの理由として多いのが
①事業計画書を作成する必要性が感じられない
②作成の仕方がわからない

というものです。

①事業計画書を作成する必要性が感じられない

と答える方の多くは、どうせ、将来を予測できない。「当社は公共工事が主体なので、入札次第でどうなるかわからない。」また、「以前銀行から言われて作成したことがあるけど、どうせ計画通りにはいかない。事業計画書なんて作る必要ないよ。」と言われる方が多いのです。

事業計画書は「予測」ではなく「決意表明」です。
「予測ではこうなる」ではなく、「こうします」という会社や社長の決意表明なのです。また、お取引先が銀行に対して「将来どうなるかわからない」ということは、銀行に対して「お金を返せるかどうかわかりません」と言っているのと同じことです。そんな企業に銀行がお金を貸せるはずはありません。

実際に、事業計画書を作成しなくても事業を行うことが可能です。殆どの方が実際に作成せずに経営をしていらっしゃるので。しかし、事業計画書を作成しないでも事業を行えるということは、「本気で叶えたい夢がないか、小さすぎる」のです。現状維持でまあいいや、という目標であれば計画書なんていらないかもしれません。しかし、大きな夢を本気で叶えたければ、計画書なしで叶えることは無理です。

当然に計画通りにいくことは少ないですが、まずは計画書を作成すること自体がとても大切なことなのです。

②事業計画書の作成の仕方がわからない

と、答える方は、経営や財務に関する知識に乏しい方です。経営や財務に関する知識は必須です。経営を表現したり理解するための「言語」としての「財務知識」は不可欠で、財務知識や、決算書を読み・活かすスキルがなければ、会社や経営を理解できないですし、誰かに伝えることも難しくなります。財務が苦手な経営者は多いですが、苦手意識を持たず取り組む必要があります。

将来は誰もわかりませんし、計画通りにはいきません。
しかし、紙の上で「勝てない」事業は、実際にやっても確実に「勝てません」。「勝てる」事業計画書を作成しましょう。「勝てる」ように考え工夫しましょう。


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