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2023年、日本の宇宙官民スクラムは強固に

前回、NASAとJAXAの宇宙ビジネスコンテストを中心に、官民協働が進んでいる話をしました。

官から民への動きは米国が21世紀に進めてきて、ついにはISSへ宇宙飛行士を送迎する宇宙船も民間の委託を始めています。

日本でも、2023年は民への活動を刺激する重要な政策発表がありましたので、1年間のハイライトをお届けします。

1.宇宙基本計画の改定

宇宙基本計画とは、2008年に施工された宇宙基本法に基づき、宇宙開発利用に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定されるものです。
2023年に3年ぶりに改訂され、こちらで公開しています。

大きな差分は安全保障ですが(2022年末に安保3文書改訂がありました)、それも含めて民間とのコラボは重要視しています。

上記サイト内の概要資料より抜粋

宇宙の安全保障に関する過去投稿を、参考までに載せておきます。

2.SBIR(Small Business Innovation Research)

中小企業イノベーション創出推進事業(以下、SBIR)とは、スタートアップによる研究開発とその成果の社会実装を国が一貫して支援することで、日本のイノベーション創出を促進することを目的とした制度です。

各省庁が本制度で公募しており、2023年は文科省と経産省とでそれぞれ宇宙分野での採択企業を発表しました。
いずれも数百億円規模の基金です。紹介した記事を紹介しておきます。
これらの企業群が、今後日本の宇宙開発をけん引する可能性が高いです。


3.改正JAXA法による宇宙戦略基金

そして先日発表されたのがこちらのニュースです。

10年間で1兆円!

ギアが二段ぐらいアップした感覚です。JAXA経由で民間企業への資金提供を行います。その注力する分野の図表を載せておきます。

出所:上記記事内の図表

同じく文中に他国状況が載っており、NASAは年間数千億円規模、ESA(EU)は年間1000億円規模を民間企業や大学の支援に投じているそうです。

今回の額はそれに勝るとも劣らない規模で、期待が高まります。

民間企業が主役ですので、どうしても市場規模が気になります。モルガンスタンレーのレポートによると2040年に1兆ドル規模と算出しています。

出所:上記レポート内の図

長期予測ではありますが、前述の安全保障の側面もあるのでこれからの実需が期待できます。

他にも前回ふれた民間のアイディアを引き出すコンテストなども数多く行われており、来年はさらにその勢いが増しそうですね。

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