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宇宙空間の研究が地上の健康へつながる

前回ふれたとおり、無事HⅡAが打ちあがり、投稿時点でも荷物であるSLIMとXRISM(クリズム)も無事ロケットから分離されて目的地に向かっているです。

前回の途中で、日本の宇宙滞在回数がTop3、という話をしました。

重複も含まれており、その回数と延べ滞在時間のランキングまで書くと次の通りです。(出所はこちら

星出 彰彦 4回 28時間17分
野口 聡一 4回 27時間01分
若田 光一 2回 14時間2分
土井 隆雄 2回 12時間42分
金井 宣茂 1回 5時間57分

重力の影響をほぼ受けない宇宙空間は、魅力的である一方で、地上では想像もしない現象も起こります。

そんな1つを紹介してくれる記事をたまたま見つけたので紹介します。(タイトル画像も記事内画像を引用。Credit:NASA)

ようは、
宇宙空間では、放射線と圧力差で宇宙貧血を起こすリスクがあるよ、
という話です。

宇宙貧血、とはなかなか印象的な言葉です。もう少し補足すると、地球への帰還時に血管中の赤血球が増加することで引き起こされるようです。
VR酔い、という言葉が一時期流行りましたが、宇宙旅行が普及すると同じく流行語になる日がくるかもしれませんね。

今回は、過去宇宙空間に滞在した14名の宇宙飛行士の骨髄変化を研究したそうです。

結論だけ先に書くと、地球を離れた宇宙空間に出ると、先ほど触れた赤血球と骨が消耗し、地球に帰還すると骨髄内の脂肪の助けを借りて回復する、ということが分かったそうです。

以前から骨の密度が低くなるということは知られており(例えば下記記事)、今回の差分は脂肪がリカバリに貢献した点かなと感じました。

実際に宇宙空間と地上帰還とで骨髄脂肪が4.2%減少したそうです。

骨髄を調査対象にしたのは、まさに赤血球を作り出す場所だからです。

今回の結果は、ある意味妥当だったようです。

脂肪は得てして肥満という負のイメージでみられがちですが、体を守るエネルギー源です。今回も、赤血球・骨の欠乏で脂肪燃焼が早まった、というプロセスが働いたのだろうとみられています。(厳密には調べたのは相関関係なのでまだ仮説です)

これからの宇宙滞在または民間旅行において有用ですが、記事の最後にかいているように、地上での課題解決にも貢献できそうです。

特に高齢になるとよく聞かれる「骨粗鬆症(こつそそしょう)」、要は骨の中のカルシウム(骨量)が減少し、折れやすくなる病気への治療に期待が持てそうです。

宇宙での医療研究が地上へフィードバックされるというのは、今後の宇宙開発の意義にもつながるので、ぜひこういった研究成果はどんどん世に知られてほしいです。

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