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アメリカ版「本能寺の変」OpenAI騒動。秀吉は現れるか?

世界中で話題の人だけあって、サム・アルトマン解任騒動はどのメディアでも持ちきりです。

今後のAI業界に相当なインパクトを与えるため、もう少し現行と次に何が起こるのかを書いてみようと思います。

前回も軽くふれましたが、特定の利害衝突が招いたクーデター(それ以上具体的な憶測は控えます)と思いますが、仮に法違反がなければ、それを許した歪な企業ガバナンス制度(特にNPOが利益組織を傘下に置く問題点)が論点になると思います。

例えば、下記が過渡に煽らず冷静に問題点を書いていると感じました。


それ以上はその筋の専門に任せるとして、まず投稿時点での現状理解から。

OpenAIを離れMicrosoft移籍が決まったサム・アルトマンたち、その復帰を臨む大半の従業員たち。
全従業員700名のうち約500名が、現ボードメンバー(経営執行役ではなく、それを「取り締まる役」。ごったになりがち)の辞任を要求している、という構図で、署名にはイリヤ氏まで含まれています。(12番目)

これを受けて、ボードメンバの反応がその人材流動に影響を与えることは必至です。(皮肉なことに、今はサンクスギビングに突入中)

こちらのサイトに、今回解任を決定したイリヤ含む現4名のボードメンバの経歴が載っています。

以下、要約しておきます。

1.イリヤ・サツケヴァー
現存する唯一の共同創設者でOpenAI のチーフサイエンティスト。
アルトマン氏の AI に対する明るい見方とは対照的に、サツケヴァー氏はより慎重型。
MIT Technology Review(下記記事)に語ったように、人類の脅威を防ぐことを自身の義務と発言。

AI の先駆者であるジェフリー・ヒントンに師事し、ヒントンは最近AI の危険性について警告している。Google での短期間の勤務中にイーロン・マスクと出会い、最終的には OpenAI となる会社で一緒に働くようになった。(マスク氏は仲違いの後、2018年に同社を退社)

2.ヘレン・トナー
OpenAI の取締役以外にも、Center for Security and Emerging Technology の戦略および基礎研究助成金のディレクターを兼務。
以前、効果的な利他主義を志向する非営利団体 Open Philanthropy で上級研究アナリストを務め、AI 戦略と政策について政策立案者にアドバイスを行っていた。
中国で AI を学び、オックスフォード大学の AI ガバナンスセンターの研究員として北京に滞在し、 2021 年 9 月に OpenAI の取締役会に参画。当時、アルトマンもブロックマンも彼女を歓迎した。

3.ターシャ・マッコーリー
マコーリー氏はランド社(歴史のあるハイテクR&D企業)の非常勤上級管理科学者で、2018 年から OpenAI の取締役を務める。
高解像度の 3D 都市モデルを作成する GeoSim Systems の CEO 、買い物体験を高める AI ロボットを開発したFellow Robots の共同創設者も経験。

4.アダム・ディアンジェロ
Quora の現 CEO。過去にFacebook で最高技術責任者を歴任し、元々マーク・ザッカーバーグとは幼い頃から学友。
最近Quora でPoe (Platform for Open Exploration) と呼ばれるチャットボットを立ち上げた。(参照元記事にない本人Blogを補足)

本人はこれを AI 用の Web ブラウザーだと説明し、Quora はOpenAI にとって顧客の位置づけ。 2018 年から OpenAI の取締役会メンバーとして参画。


それぞれの異なる背景や利害もあり、場合によってはボードメンバの再構成にまで発展するやもしれません。

ガバナンス制度の欠陥は時間がかかるので、まずは誰もが納得するメンバーを外部から参画させるのがもっともダメージが少ないと思います。

その意味では、イリヤの師匠にもあたり、(良い意味で)AIのゴッドファーザーとも称されるジェフリー・ヒントンに白羽の矢があたるのではないか、と推測しています。(その際に、イリヤ含む現ボードメンバは、全員が役を辞するでしょう)

彼のAIへの貢献は称えきれないものがありますが、AIを深く知るがゆえにそのバランス感覚にも安心がおけます。

おそらくボードメンバ4名は、現体制で維持する限界を感じているため、彼を含めた何人かに交渉中だと思います。

競合の1つであるAnthropic(サービス名Claude)が、ここぞとばかり新バージョンを発表しています。

サービス以外でも水面下で人材獲得合戦が始まっているため、休暇明けにはなにがしかの発表があると思います。

一方、追放されたサム・アルトマンはまだ若く新しい地盤もありますし、AI事業の他にも事業投資を行っています。(過去記事参照)

果たして天下統一をなしとげた羽柴秀吉は現れるのか?

と煽り気味に書きましたが、そろそろパイを奪い合う(Win-Lose型)戦国時代の力学から解き放たれたいものです・・・。

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