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ノーラン監督の最新作は「オッペンハイマー」

SF映画好きならファンも多いクリストファー・ノーラン監督。過去には「メメント」・「インセプション」・「インターステラー」・「TENET」など、名作を生み続けました。

そんなノーラン監督が待望の新作を出します。米国で7月末に公開予定ですが、日本での放映時期は現時点で未定です。

原爆の父ともいわれるオッペンハイマーの伝記物語です。
伝記モノは初めてなので、従来と違った作品になりそうです。ノーランは毎回驚かせてくれる演出をするので、どういった仕掛けを施すことが今から楽しみです。

過去に、オッペンハイマーの伝記については少し触れました。

記事にもあるとおり、彼は元々宇宙や素粒子物理を専門とする科学者でした。
折角なので、オッペンハイマーの科学者としての功績を追ってみたいと思います。

元々アメリカに生まれて才覚を表してきましたが、1920年代に一大科学論争を引き起こした「量子力学」を学ぶべく、ニールス・ボーアの元で研究を行います。

初めに注目された論文(1926年)は、量子論を使った分子のスペクトル(どう光を吸収するか)に関する新しい計算方法です。
その数年後に太陽の大半が水素で構成されていることが観測され、彼の計算の正しさが証明されました。(大半は水素の核融合反応で太陽エネルギーが発生)

その数年後の1928年に、ディラックが量子論と特殊相対性理論の融合を試み、「ディラック方程式」を発表します。

ディラックも過去に紹介したので引用にとどめておきます。

上記記事内で触れている通り、その理論から真空への新しい概念(負のエネルギーで充満)と、その欠落した穴に「陽子」があると予言します。

その後に、アンダーソンが実際に「陽電子」を発見した、と端折って書いてますが、実は細かくはオッペンハイマーの指摘が間に入ります。

その穴はディラックが予言した「陽子」ではなく、電子と同じ質量で正の電荷をもった素粒子、であると指摘し、それが「陽電子」として追認されたという流れです。(陽子は電子の1800倍ぐらいの重さ)

実はもう1つディラックの過ちを指摘しています。
水素のエネルギー準位(ランク別の器みたいなイメージ)が2つ存在するという主張に対して、いやいや単にシフトしただけだよ、と異議を唱えます。

これもオッペンハイマーが正しかったことが後年分かり、ラムという科学者が理論化しています。(その成果でノーベル賞も受賞)

ちなみに、このシフト現象が後世の天才たちに刺激を与えて、量子電気力学の誕生につながります。

その当事者の一人がファインマンですが、長くなるのでこちらも過去記事引用にとどめます。

彼の研究者生活の前半(~1930)は、今回触れたような素粒子物理学が中心ですが、1930年代に入ると関心が「空」に向かっていきます。

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