小島達也|@itonami_touji 醸造家 出雲杜氏

醸造家。出雲杜氏組合。天穏・無窮天穏。日本杜氏組合連合会 日本酒造杜氏。1級酒造技能士。

小島達也|@itonami_touji 醸造家 出雲杜氏

醸造家。出雲杜氏組合。天穏・無窮天穏。日本杜氏組合連合会 日本酒造杜氏。1級酒造技能士。

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出雲杜氏 醸造家 小島達也

    • R5BY齋香荒(サケル)と齋香(サケ)

      ◎天穏 齋香荒(サケル) 佐香錦50% 生酛 酵母無添加 酒度-8 酸8.0 ALC16% 2月のお知らせで、生酛のもろみ(齋香)において乳酸菌が増える事態となったことを正直にお伝えしました。通常の生酛の場合、酒母段階でアルコール度数が上がるにつれて乳酸菌が溶けていなくなり、その後のもろみで乳酸菌が増えることはありません。今回の齋香では酒母段階で通常の乳酸菌とアルコール耐性のある乳酸菌が同時に増え、酵母発酵後も生き残ってもろみまで進んだことが予想されます。 そのためにこの

      • 【イトナミコラム6】万物に伸びる縁の道「nagナグ」を見つけよう  最終回 土のなかのnag

        ◎はじめに 概念世界と現実世界のあいだを行き来しながら冒険を続ける者をアルケミストという。 日本酒醸造業界のアルケミストを自称する私は今回、土の中にその冒険の道筋nagを見つけ、自分の酒造りに落とし込むことを目標とする。 ロゴス(個)とピュシス(群)を縁起させて偉大な功績を残した過去のアルケミストたちに習い、概念世界と現実世界のあいだには矛盾がないように冒険をしていこう。 アインシュタインやシュレディンガーが言うように、自然科学というロゴスを細分化していく冒険は、自然

        • 【イトナミコラム6】万物に伸びる縁の道「nagナグ」を見つけよう その2 仔と群れのあいだのnag

          ◎現実と概念のあいだのnag この宇宙、そして地球に存在するものたちの間には共通する事がある。それはもちろん現実に実在する物質的なものではない。人間それぞれの精神世界に共通意識として存在する概念的な自然生命のようなものだろうか。 それは宇宙の始まり、地球の始まり、そして25億年前に海中のバクテリアや植物プランクトンが光合成をはじめたとき、五億年前に地上に生命が進出したときから具体的にはじまり加速していったと思われる。 私はその予感を現実世界の日本酒造りから感じ、その自然

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        マガジン

        • イトナミコラム
          27本
        • 天穏・イトナミブルワリー 酒造りマガジン
          22本
        • イトナミインタビュー
          7本

        記事

          ◎R5BY酒造理念とその醸造法

          □基本理念 誰でも、誰とでも。何時でも、どこでも、どこまでも飲めるような酒。 そしてどことなく出雲の香り、日本の香りを感じるお酒にしたいと考えて醸造しています。 それは穏やかな自然風景がおのずと言葉となって現れた俳句のような情景のあるお酒であり、人だけではなく動植物から微生物など全ての生物に共通する自然生命が表現された営みのお酒です。 この自然生命の情景である営みの酒を実現するために酒造技術と利き酒を重ね、そこから生まれた言葉を皆様にお伝えすることを続けていきます。具

          ◎R5BY酒造理念とその醸造法

          イトナミミード醸造 ニホンミツバチ編

          ◎はじめに 2019年、イトナミミードが誕生した。イトナミミードは今までにない新しいスタイルのミードでありながら、とても原始的でピュアな酒として、その美味しさは私たちに衝撃を与えてくれました。 イトナミミードの具体的な醸造法は、酵母無添加生酛などの自然醸造と言われる清酒製造技術を応用し、はちみつの中に含まれる酵母を増殖させて酸とアルコールを蓄積し、さらに瓶内二次発酵させた発泡性の生ミードです。 はちみつ酵母発酵の証拠として、イトナミミードはアルコールは2から3%にとどま

          イトナミミード醸造 ニホンミツバチ編

          R4BY無窮天穏 縁起

          ◎無窮天穏 縁起 生酛Φ山廃Φ水もと純米吟醸 縁起ブレンド 山田錦60% 2年目の縁起です。今季も山田60%の生酛・山廃・水もとのブレンドです。 この酒は縁起思想による醸造と、そのブレンドにより、全方位360℃、裏も表も香味がするように設計した酒です。矛盾する様々な要素を含ませて1つにまとめています。そうすることで必ず誰かの何処かにフィットする酒となります。 性質的には中庸な白ラベルや上撰に近い考え方の酒で、多くを包む懐のある酒です。無窮天穏のスタンダードとして、どの方

          【イトナミコラム号外】第1回イトナミツアー諏訪編 その3最終回

          諏訪ツアー2日目。3時まで飲んで最悪の状態だ。しかしミシャグジが待っている。このツアー最大の目玉である鎮大神社へ向かう。 ◎鎮大神社のミシャグジと虫封じ ◎神長官 守矢史料館 ということで、イトナミツアー諏訪編が終了。諏訪の人たちとも交流ができ、諏訪と酒を絡めた何らかの動きも起こりそうだ。ツアーメンバーもツワモノ揃い。各々なにか感じるものがあったはずだ。今でなくてもミシャグジはいつか条件を満たした時に降りてくる。 そして思うのが古代人の縁起儀礼とその表現技法。異なるも

          【イトナミコラム号外】第1回イトナミツアー諏訪編 その3最終回

          【イトナミコラム号外】第1回イトナミツアー諏訪編 その2

          第1回イトナミツアー諏訪編 その1はこちらから ぞんざいに扱われる石棒や双対道祖神と歌舞伎町トーヨコのバーニング跡地からミシャグジの発生の根本原理をなんとなく掴みかけた前回。 このあたりからさらに諏訪ツアーは深まっていき、古代人のものづくり思想が確実に自分の中にラーニングされていくことを実感していった。 瀬神社を後にした我々は、あらたなミシャグジに会いに向かった。 言うまでもないことだと思うが、ミシャグジや神は現実には存在しない。これらは私たちの脳内に共通概念として発

          【イトナミコラム号外】第1回イトナミツアー諏訪編 その2

          【イトナミコラム号外】第1回イトナミツアー諏訪編

          ◎はじまり ものづくりとは人間の情緒を他者に伝わる形に変換することだ。 その想いの純度が高ければ高いほど自己情緒は熱を発して情熱となり、他者に愛を伝える形になる。 その形は個々の違いも、生きる時代も超えて、永遠に想いを伝えるものになるだろう。 現代に生きる僕らは、生きるため、金のため、名誉のため、認めてもらうためにものづくりをしてしまいがちです。 それもいいんですが、伝統を継承したものづくりをするからには、今この時この人だけを満たすものではなく、過去も現在も未来もい

          【イトナミコラム号外】第1回イトナミツアー諏訪編

          対談てのひらのオアシス@ 小灯/新宿まとめ

          てのひらのオアシス 企画:コイル 大隅さんと竹内さん(panorama/filament/小灯) 陶芸家 渡辺隆之×天穏 小島達也

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          【第7回】大阪府福島 井上酒店 井上俊一郎さん

          ◎井上酒店 〒553-0003 大阪府大阪市福島区福島7丁目5−11 今回は大阪府福島区にある井上酒店さん、井上俊一郎さんのご紹介です。 俺が酒屋を継いだ訳・・・井上酒店、三代目の奮闘記!! @inouesaketen  井上酒店FB おじいさんがもともと酒屋だったんですね。公設市場の一角で酒屋を始めたのが最初です。 今の井上酒店の場所では、きくやと言う屋号で立ち飲み屋をしていました。 当時はまだ立ち飲み屋がなかったみたいで結構繁盛していたみたいです。 それで親父が

          【第7回】大阪府福島 井上酒店 井上俊一郎さん

          R4BY 無窮天穏 天雲

          R4BYの天雲です。今季は醪で7本の合併、合計10000Lの原酒を造りました。 タンク貯蔵しながら小出しに瓶詰めしていきます。 製法は従来通りに改良雄町×生酛×山陰吟醸×三日麹です。 涼しく強い酒である山陰吟醸をベースに、雄町・生酛・突きハゼ三日麹で膨らみと余韻を付与。搾った酒をタンク熟成してそれを13%まで加水することで、飲みやすいのに深い酒という矛盾を同一にした設計の酒です。 それは一瞬の幸福よりも、長く持続する穏やかな時間が人を幸福にするというコンセプトの基で設

          R4BY 無窮天穏 水母(くらげ)

          ◎無窮天穏 水母(くらげ)水もと純米吟醸 佐香錦60%&五百万石60% R4BY無窮天穏 水母(くらげ)が発売です。コンセプトは天穏HPのR3BY水母よりご確認いただき、ここでは今季の製法をお伝えします。 今季の水母は、水もと×山陰吟醸の佐香錦60%2本、五百万石60%1本の合併で、そやし水の製法を新たにして開発して仕込みました。 今回のそやし水は、乳酸以外の有機酸を付与し、そやし水自体のクオリティを上げて、より清らかで浸透性のある酒を目指しました。 詳しい製法はまだお伝

          R4BY 無窮天穏 水母(くらげ)

          4BY 活性雑穀どぶろく KODANE

          はじめに 4回目のどぶろく造りです。 瓶内活性のどぶろくで雑穀入りです。何も考えずに面白く美味しいどぶろくですが、そのどぶろくが生まれた背景には非常に面白いストーリーが存在します。日本酒の背景まで知りたい方はご覧ください。 私は日本酒の営みを探るため、日本の酒の歴史を潜ってその地層を見ていきました。そうしてみると日本の酒は大きく4つの時代に分類できることがわかりました。 1,現代…嗜好品としての日本酒 2,農耕時代…御神酒としての日本酒 3,狩猟~農耕時代…どぶろくと

          4BY 活性雑穀どぶろく KODANE

          【イトナミコラム6】万物に伸びる縁の道「nagナグ」を見つけよう その1

          ◉はじめに 宇宙、地球、大気、土、水、植物、昆虫、動物、人間、素粒子。万物すべてに共通するナニカが存在するのではないだろうか。 その全てに共通するものを誰もに伝わる形に具現化すれば、それは誰もが懐かしさを覚えるような本当に良いものであるはずだ。 それが文化風習、伝統と呼ばれるもので、私たち先人に血をもらった者たちの目指すところだろう。 わたしは日本酒の探求から、その誰もに共通する懐かしさを見つけて、イトナミと名付けました。日本酒は日本のイトナミを具現化して共有するため

          【イトナミコラム6】万物に伸びる縁の道「nagナグ」を見つけよう その1