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メディカル英語<視診・触診>Objective#3

可動域の確認シリーズ2つ目です。
今回は、「曲げる」「伸ばす」を使う関節系と首(頚椎)の可動域確認フレーズです。

屈曲・伸展の関節の可動域を確認するフレーズ

基本的に屈曲と伸展がある関節ならどの関節にも使えます。(膝や肘、足趾、手の指など)
ただし、肩関節や足関節にはあまり使われず、これらの関節には別のフレーズが使われます。

曲げる・屈曲

Bend your knee.
Can you bend your elbow?
flex your toes.
Can you touch your right shoulder with your right hand?
Bring your heel to the butt.

体幹の前屈にも出てきていましたが、"bend"は「〜を曲げる」という意味の他動詞ですね。
"Can you ~"をつけると丁寧ですが、個人的には、やってもらう動き全てに"can you ~"をつけると少しくどいかなと思います。
ドクターやトレーナーが「これやってください」「あれやってください」という時には、いわゆる命令文の"Bend your knee"と言っても失礼にはなりませんので、思い切って使ってみてください。
関節の動き編にも出てきていますが、"flex"は「屈曲」を意味します。スラングで、"flex"を「見せつける」「自慢する」と使うことがありますが、これは肘をflex(屈曲)させて、力こぶを作る動作に由来するものです。
「右手で右の肩を触ってください」というと、自然と肘関節の深屈曲になります。
「最後の踵をお尻に持ってきてください」も同じですね。そう伝えることで、膝関節の屈曲を達成することができます。
英語ではこのように、動作を描写することで、達成したい動きを伝えることがあります。

伸ばす・伸展

Straighten your knee.
Can you extend your elbow?
Make your knee straight.

"straighten"は「まっすぐにする」という意味の動詞です。名詞/形容詞の最後にenをつけると動詞になる単語は意外とあります。平らを意味する"flat"もenをつけて、"flatten"となると「平らにする」になりますし、他にも"fast", "fright", "threat"など、さまざまです。それぞれ意味が気になる方はぜひ調べてみてください。
"extend"は関節の動き編にも出ている通り、伸展するという言葉です。専門用語として紹介しましたが、一般の人も「伸ばす」という意味で普段から使っている言葉なので気にせず使ってみてください。
最後の文は、「あなたの膝をまっすぐにして」という意味です。"make"は「作る」というイメージがあるかもしれませんが、「〜の状態にする」という意味もあり、とても汎用性が高い動詞です。ぜひ使い方をマスターしましょう。
おまけですが、膝を伸ばしたまま/肘をまっすぐにしてこの動きをやってほしいと伝える時には、動作の指導フレーズの後に、"with your knee straight."とか"with your elbow extended"と付け加えると文を分けずに伝えることができます。

首(頚椎)の可動域確認をするフレーズ

屈曲

Bend your neck forward.
Bring your head forward.
Look down.
Bring your chin to your chest.
Tilt your head forward.

最初のフレーズは体幹の可動域確認と同じですね。
2つ目〜4つ目のフレーズは、「この動作をしてください」という指示をすることで、"首の屈曲"を達成できるフレーズです。
「頭を前に持ってくる」「下を見る」「顎を胸に持ってくる」、このどれをやっても首は屈曲しますね。
ちなみに、「下を見る」は首を動かさずにという意味の"without moving your neck"をつけると、単純に目の動きを確認できるフレーズになります。
最後の"tilt"は「傾ける」という意味なので、「頭を前に傾けてください」=「首を屈曲してください」となります。

伸展

Bend your neck backward.
Bring your head backward.
Look up for me.
Tilt your head backward.

ほぼ屈曲の指示語の反対ですね。
"look up for me."の"for me"は、「私のために」という意味ですが、「私のためにやってみせてください」というお願いのために言っているイメージです。"please"や"can you ~"と同じように使えます。
ここで紹介しているすべての指示フレーズの最後につけることができます。

回旋

Rotate your neck to your right.
Can you twist your head to the right?
Look over your left shoulder (without bending your neck to the side)

これも体幹の指示フレーズと似ていますね。
最後の文だけ、動作を描写して達成したい動きを伝えるフレーズです。
"look over"は「〜の上から見る」という意味ですが、自分の肩の上から物を見ようとすると、自然と振り返る動作になり、それが首の回旋につながるというわけです。首を回旋する時には、側屈が同時に起きてしまう人もいるので、側屈が大きい人には、()内のフレーズも足して伝えると、側屈しないで回旋してもらえるようになります。

側屈

Bend your neck to the side.
Side bend your neck to your right.
Bring your left ear to your left shoulder.
Tilt your head to the the right.

体幹とかぶっているところはここも割愛します。
動作の描写のフレーズは、3つ目です。
「耳を肩に持っていく(近づける)」ことで、側屈が達成できますね。
側屈でよくある代償動作は肩をすくめる動作なので、「耳を肩に」とすることで動かす側は耳になり代償が少し抑えられるかなと思います。
それでも代償動作が出る場合は、"without moving the shoulder""without shrugging your shoulder"などとつけると肩を動かさないように、肩をすくめないようにという指示をつけることができます。

ぐるぐる

Make a big circle with your neck.
Bring your chin to the chest. Then bring the chin to your right shoulder. Now, bring your right ear to your right shoulder. Then bring your head all the way to the other side like this. And bring your chin to your left shoulder. Then chin to your chest again.

"make a big circle"で「大きな輪を作る」なので、「首で大きな輪を作ってください」=「首を回してください」という意味になります。
"Bring your chin ~"からは一つ一つの動きを分解して伝える方法です。FRCを受けたことがある方は聞いたことがあるかもしれません。これは今まで紹介したフレーズを駆使した方法です。
「顎を胸に近づけてください」これは首の屈曲ですね。
「そして、顎を右の肩に近づけてください」これで頚椎屈曲したまま右への回旋をしてもらいます。
「次は、右の耳を右の肩に近づけましょう」右への側屈です。
「そして、頭をこのように、反対側に持ってきてください」like thisと使う時は実際にやって見せている時です。もし言葉だけで伝える場合にはlike thisをwith your neck extendedに置き換えましょう。この指示によって、左への側屈が完了します。
「顎を左の肩へ持ってきてください」これで屈曲と左への回旋になります。
「そして、再度、顎を胸に持ってきてください」これで最初のポジションに戻ります。
これを反対周りもさせる時には、"ok, let's try it the other way around"とか"let's do reverse"というと反対側もやりましょうという意味になります。

可動域は似たようなフレーズが多いことに気づいたでしょうか?
基礎知識編で紹介している単語を組み合わせることで、大概のことは表現できてしまいます。
さらに、対面でチェックする際には、フレーズが思い出せなければ、"can you do this?"「これできますか?」と言いながら実際に見せれば、伝わらないことはありません。
途中で少し触れましたが、肩関節と足関節は別のフレーズが使われたり、動作の描写で伝えられることが多かったりするので、次回はそこら辺を紹介しようと思います。

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