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歩みをとめてみる

冬が近づいてくると、住む家の周りの音が変わります。
季節によって聞こえてくる音と匂いが変わることに気が付いたのは、
小学生の時です。

冬が近づくと、家の北側から幹線道路の
アスファルトとタイヤの擦れる音が聞こえてきて、
「ああ、冬だな。」と気づくのです。
匂いは”冬の匂い”としか表現できませんが、
鼻腔の奥が記憶を持っているのではないか
と錯覚するほどです。

マイペースがいい

私は、音・色・数字に色のイメージを持っています。
大人になって少し弱くなってしまったのですが、
カレンダーやテレビのリモコンに並ぶ数字に
色がついて見えるのです。
これを共感覚と呼ぶということを知ったのは、
ごく最近の事です。あまりにも当たり前のことすぎて、
みんな子供の頃から味わっている体験なのだろう
と思っていました。

だから「急げ」とか、
「それって意味があるの?」という、
思考を止めてしまうような
言葉が、あまり好きではありません。

世の中の流れがはやすぎる

共感覚の話題に限らず、
普段生活していると、
こういった輪郭のはっきりとしない、
ぼんやりした感覚を味わうことが難しいように感じます。
世の中全体が、立ち止まることを許してくれないような
風潮なのが残念でなりません。

何年も前に他界してしまった祖父母が
だんだんと衰えていく姿を見て、
私は”待つ”という姿勢を学びました。
質問した答えが返ってくるのに時間がかかるとか、
方言と認知症がまざって何を言っているのか分からず
「?」となってしまうことはあったけれど、
できる限り耳を傾けるようにしていました。
どんなに衰えても伝えたいことがあるんだとわかって、
胸が温かくなりました。

この経験が結構子育てに役立っていて、
祖父母に感謝しています。

子供はどう感じているのだろう

子供も同じだと思うのです。
伝えたいことが即座に言語化できずに、
一番もどかしい思いをしているのは当人です。
私自身が「早くしなさい。」
と急かされるのが嫌でした。

自分の子育ての段になって、
工夫しようと思ったことは、
「今日は約束の時間が○○時で、
間に合わないといけないから、
お手伝いさせてください。」
と娘にお願いすることにしています。
それ以外は基本的には待つことを大事にしています。
(ちょっと大変ですが・・・)

街中で「急いで、何してるのよー。もう。」
と怒鳴っているお母さんを見かけると、
怒鳴りたい気持ちは痛いほどよく分かるけれど、

私の中の小さな私が、
「そのお子さんの心に
傷が残りませんように。」
と祈ってしまいます。

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