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PASS THE BATON。




以前、人とモノとのストーリーに関して
文章を書かせていただいたことがあるのですが、

今回は、そのような価値に重きを置いて、
商行為を行なっているブランドについて
考えてみたいと思います。


それではさっそく、、、。


ご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、

消費者に対して、価格だけでなく、
以前の使用者と、そのモノとのストーリーを
提示しながら商行為を行うブランドがあります。


「PASS THE BATON」


「Soup Stock Tokyo」「giraffe」などを手掛けてきた
株式会社スマイルズが展開している、
新しいビジネススタイルです。


簡潔にいうと、


「商品にストーリーと、元々の持ち主の
バックグラウンドを添えて販売する。」

という時代の感性を取り込むビジネススタイルとなっています。


このお店は、主に「古着」などのリサイクル商品を
取り扱っているお店ではありますが、
従来のリサイクルショップとは違った
コンセプトのもとビジネスを行っています。


従来のリサイクルショップでは、
商品が「ただ同然」の価格で販売されており、
そこでの商品と消費者との関係性は
価格によるものでのみ構成されています。


逆にアンティークショップなどでは、
価格設定が高額なため、
一般の消費者からするとなかなか
近寄りがたいものとなってしまいます。

そこでPASS THE BATONでは、
リサイクルショップとアンティークショップの中間を目指しており、

さらに、商品に対して「元々の持ち主のストーリー」
を提示することで、消費者に対して
新たな商品に対する価値観を生み出しています。

誰がどんな時にその商品購入し、
その商品に対してどんな思いがあり、
どういった理由で手放すのか。


そういったバックグラウンドを
新たな消費者に対して提示することで、
価格以上のモノに対する価値観というものを、
見出すことができるのではないでしょうか。


現状として、
PASS THE BATONでは出品者の予約受付が
一か月以上の待ち状態であり、
一点ずつストーリーを伺いながら値段を決めるため、

どうしても、「出品の枠が限られてしまう」
という経済的には非効率的な現状があります。


しかし、そういったビジネススタイルが
今の日本の社会において通用している、
ということも事実です。

そこには、「一つのものを消費し続ける」
という商業の在り方から、
一つのものを長く、大切にしていこうとする
流れがあるように感じています。


ここでひとつ疑問に上がることがあります。


これまでにご紹介したように、

PASS THE BATONでは、
古着などのリサイクル商品においての
ビジネス展開のためこういったコンセプトが
成り立っているようにも思えます。

となった時に、

商品に元々の使用者のバックグラウンドがない状態、
「新品の商品」の場合、
その商品の価値観は価格でのみ
認知されるべきものなのでしょうか?


ぼくはそうではないと考えます。


きっと、ひとつひとつの商品、モノには、
人間による受動的な価値観以上に、
商品やモノによる「主体的な価値観」
というものがあるように感じています。


「人間が使いやすいように」
「人間にとって便利な」
「人間にとって効率が良い」


その視点でしかモノを見れなくなると、
人間は「機能」というものに自由を奪われる。


「人間が使いやすいように」
「人間にとって便利な」
「人間にとって効率が良い」


そうでないものに対して、
価値を見出せなくなってしまう。


果たしてそれは「仕方がない」ことなのか?


考えることをやめる。


「人間が使いやすいように」
「人間にとって便利な」
「人間にとって効率が良い」


その先には、「なにもしない」が待っている。


そのモノの価値は、
人間にとって都合の良いことである。

という傲慢な認識自体が、

人間という生き物の脳みそを
腐らせてしまうのではないかとも感じます。


それが正しいか正しくないか、なんてことは
どうでもいいんです。


ただぼくにとって、モノの主体的な価値を
すくい上げるということは、

考え続ける、常識を疑い続けるための、

ひとつの考察、ひとつの方法でしか
ないのかもしれません、、、。



ということで今回は、

「PASS THE BATON」というひとつのブランドに
視点を置いて商業について考えてみました。


このような、どこかに思想を感じられる
商業、商行為が活発になっていけるような
デザインを探し続けたい、、、。


皆様にとって、何か少しでも
考えるきっかけとなる文章を
共有できればと思っております。

それでは本日も最後までお付き合い、
ありがとうございました。




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