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ある日の支援日記 歩き方がおかしいという相談を真剣に受け止めてくれてありがとうございました

みなさまこんばんは。
ましこと言います。

わたしはパラレルワーカーでいくつかの仕事をしているのですが、今は大きく2つ、1つはベビーマッサージ教室の運営、そしてもう1つ今一番注力しているのが、自治体が運営している地域子育て支援拠点の専任職員の仕事です。フルタイムで平日は毎日地域子育て支援センターに勤務しています。

今日のテーマは「歩き方がおかしいという相談を真剣に受け止めてくれてありがとうございました」です。

ふと思いついた過去の利用者さんとのやり取りを今日は一つご紹介したいと思います。事例検討の参考になったら嬉しいです。

初めて支援センターに来所したお子さんは1歳6カ月。お母さんは今日思い切って行ってみようと思って頑張ってきましたと言います。声のトーンや表情からとっても緊張していて早口になっていて、目も泳いでおり、とにかく話さないとという気持ちが前面にあふれています。とても緊張していたのでしょう。

センターではよくある日常の光景なのですが、こういう時はすぐに室内にご案内せず、まずは荷物を置いて、座りますかと言いながら、センター入り口の椅子に座ってもらっています。

座ってもらう理由は、せっかく頑張って勇気を持って来てくれたのに、お母さんの気持ちがソワソワしていると、子どもにも伝播してしまうので、いったん落ち着いてもらうためです。

初めての場所って緊張しますよね、ドッキドキで心臓が飛び出るくらいだったでしょうと聞くと、ハイと答えながら今まで家庭育児で頑張っていた経緯を話してくださいました。どうやら職員のいる支援センターは利用したことが全くないようで、場所とおもちゃを提供している無人の児童館によく通われていたと言います。

無人の児童館は子どもと遊ぶには悪くはないけれど、すでにママ同士のグループができているので、子どもがだんだん大きくなってきてそのグループのお子さんと関わるようになり、物の奪いあいなどがあって、なんとなく利用しにくくなり、色々探していた時にわたしのいる拠点を見つけて下さったそうです。

なるほど~
そうなんですね

そう相槌しながら、お子さんを抱っこすると

「先生、この子軽いでしょう。小さいんです。」

そう言います。

月齢と抱いた感じの体重と見た目の身長から、成長曲線には入っていることは予測できたので、曲線の真ん中より少し下あたりかなと思いますが、ご成長が気になりますか?と聞くと、え!すごいなんでわかるのと驚いていました。

食事量や日々の稼働量、睡眠時間、出生体重などを伺っていくと、自分なりに整理ができてきたのか、気になるけど小さいことは結果だから仕方ないし、食べてくれているから大丈夫だと思うようにしますと納得された様子でした。わたしがやったことは、ウンウンと言われたことを整理しながら復唱し、聞いてだけ。何も助言していませんし、問題定義も解決案も出していませんが、お母さんご自身が今のお悩みに対しての解をご自身で出した瞬間でした。

じゃあそろそろ中に入ってみんなと一緒に遊んでみましょうとお誘いし、中に入れると子どもは見たことのないおもちゃや、会ったことのないママやお友達に関心を寄せ、積極的に遊びます。笑顔もたくさん見られ、伸び伸びと遊んでいますが、1歳6カ月とそれに近い月齢の子ども達が集う拠点です。もちろん物の取り合いが始まります。お母さんはごめんなさい、すみません、すみませんと色々なママさんに頭をペコペコ頭を下げます。

この場所はみんなで共同育児をする場なので、物の奪い肺があって当然で、その仲介や謝ることは職員がお手伝いするから、お母さんはそんなに謝らなくていいんですよとお伝えしました。

子ども達や保護者の皆様にちょうだいやどうぞの概念をお伝えしたり、みんなで泣いて笑って優しい言葉で譲り合って楽しく過ごせたらわたしも嬉しいし、ここの拠点の利用者さんはみんな同じ気持ちだと思っています。利用者さんや子ども達を信じることって、拠点事業でとっても大事だと思っています。

もっともっと早くここに来ればよかったと言って、リラックスしてお子さんとの遊びに集中し始めました。お母さんになっていくということは、最初からできる人なんてそうはいなくて、1日1日を重ね、母親になっていくのです。

ほほえましい時間が流れ、周りの利用者さんもなんとなくそのことに気づいていて、温かく見守ってくれている空気感が優しいなと思いました。


そして午前の部が終わる時間が迫って帰り支度をしていた時のこと。このお母さんが「うちの子、外に出ると歩き方がおかしいんです」というのです。

歩き方がおかしいとすると、大きすぎてぶかぶかか、もしくは少し小さくて足の指が靴の中で曲がっている可能性があることを伝えます。靴のサイズとゆとり具合を確認し、もしかするとあと5ミリくらい大きいか小さいほうがいいかもしれなくて、可能性があるとすれば小さいほうだから、大きいサイズを買ったとしても、いずれ履くことになるし、あとできればコストかかるけど百貨店などで専門員に現状の正確な足のサイズを計測してもらい、靴だけはいいものを揃えたほうがいいとお伝えしました。

翌日

朝いちばんにそのお母さんが「ましこ先生、先生!先生にお礼を言いたくてまた来ました」とお子さんを連れて来所してくれました。

なんと昨日、お話したその足で靴のサイズを測ってもらったら、お店の人に1センチくらいサイズ上げてもいいと言われたそうなのです。大慌てでその場で靴を購入し、そのまま履いてお店を出て歩かせたら、歩き方が一気に変わったと言うのです。

昨日あの後にすぐにお店に行ったなんてそれはお母さんの功績ですよ。すごい行動力ですね~と言うと、わたしなんかのどうでもいい相談を真剣に聞いてくれて本当にありがとうございましたとお礼を言ってくださいました。

中でお子さんを遊ばせながら深堀していくと、実は別なところで同じような話をしたらしいのですが、まだ歩き始めだから歩き方も安定しないよねと言われていたそうで、家族も同様の意見だったそうです。

保護者相談を受ける時、わたしが大事にしているのは、お母さんの表面の言葉ではなく、本当の問題は何なのか、もしかすると本人も気づいていない言葉にできない核心「何か」を言語化することです。

これができればあとは解決案をお母さん自身が見つけられる場合もあるし、知識が必要そうなときは助言という方法でお伝えすることもできます。

お子さんの歩き方、本当に劇的に変わったのでしょうね。
たぶん靴が小さくて指が曲がっていたのでしょう。
気候も良くなってきたし、外遊びもたっぷりして元気に育ってほしいな。

今日は何気ない一言に隠れている成長の不安を読み解き、ママもお子さんも、そしてわたしも幸せな気持ちになった出来事を事例としてご紹介させていただきました。

(個人が特定されないよう一部内容を変えています)

読んでくださりありがとうございました。

ましこ

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