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小論文は単なる「それっぽく書いた作文」。志望動機、自己PRにも使える文章の”基本”【前編】

「小論文の書き方」って聞くと、

「どんだけ難しい文章書かないといけないんだよ! 大学入試する人ってやっぱすんごい偉いんだなぁ!」

とか

「そんな難しい文章とか、聞くだけで無理、絶対無理、書けない……」

と思ってしまう人もいるかも。

私も高校時代、そうだった。国語が得意で成績も他の教科よりずば抜けて良かったが、そんな私でも「小論文」という言葉だけで「ああ、きっと私には無理だな」と思った記憶がある。(専門学校に進んだため入試での小論文とは無縁だったのだが)


今私は文章を生業にしている。本業のために「小論文」というテーマの本をいくつも読んだり塾講師や教育研究者が配信している「小論文」についての動画をたくさん観たりしたが、世間でいう「小論文」は(あくまでも大学入試とかのレベルだけど)私がイメージしていた小難しい「小論文」とは全然違った。

言ってみれば、小論文は単なる”それっぽく書いた作文”

そこで、「小論文」というワードを聞くだけで嫌になっている人や拒否反応でなかなか取り組めない人、文章が苦手な人に向けて、基本の文章の作り方を書いてみた。これから紹介する文章の書き方は、今後就活などで必要な「自己PR」や「志望動機」でも活用できる。小論文だけでなく、自己PRや志望動機として文章の書き方の基本をご紹介していこうと思う。

前編では、文章の基本の形と考え方について。


文章の基本は「結論」

文章を書くとき、「起承転結」なんて言葉を思い浮かべる人も多いだろう。小説などによく使われるストーリーの展開方法だ。「起」でことの始まりを書き、「承」で物語をズンズン進める。「転」では思いがけない展開で読者を惹きつけ、「結」ではその結果どうなったのかを書き読者の感情をひと所に落ち着かせる。

ドラマチックな表現をするにはもってこいの“起承転結”だが、小論文や自己PR、志望動機で求められるのは、「本人がどう思っているか」「本人が何を考えているか」ということ。「本人の考えや意見」を述べるのにドラマチックな展開はさほど必要ない。それよりも、わかりやすく相手に伝える明確な流れが重要だ。

では、ドラマチックな内容が要らない文章ではどんな展開が必要か。

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結論→理由→まとめ

が基本となる。

結論(序文)・・・自分の考えを先に言っちゃう
理由(本文)・・・何故こう考えているのか、具体的な理由を説明する
まとめ・・・こういう理由だからこう考えている、とまとめる。
※カッコ内は小論文でよく使われる表現


なぜ結論(序文)を先に言うのか?

文章セミナーなんかでも、「結論を先に言っちゃって〜」というと驚かれることが多い。“起承転結”が文章の基本だと思っている人が多いからかもしれない。なぜ結論を先にいうのか、理由はシンプル。「これから何について話すかわかりやすいから」だ。

小論文では与えられたテーマについて自分の意見を伝えないといけないし、自己PRでは自分がどんな人間でどんな能力や技術を持っているかPR(伝える)しないといけないし、志望動機では自分がなぜこの会社(または学校)を志望したかを伝えないといけない

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そうでなければ、せっかく書いた文章はただの覚え書きや日記、メモになってしまう。

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伝えるための文章であるからこそ、小論文や自己PR、志望動機として成り立つ。参考までに、新聞記者やジャーナリストなど正しい情報を伝える仕事をしている人はほとんどが結論を先に書くスタイルだ。試しに新聞やWEBニュースをチェックしてみて欲しい。


理由(本文)には何を書けばいいのか?

結論を先に書くことができたら、次はその結論に至る具体的根拠を伝えよう。

「だってこう思うからこう思うんだもん!」

では相手には伝わりにくい。だってだってだもん!では理由になっていないが、「こういう理由があるからこうなんです」と伝えれば、相手も納得できる。

繰り返すが、小論文や自己PR、志望動機は「本人の考え」を問われているので、自分の考えをより明確に伝えるために理由が必要なのだ。

何にでも理由は絶対にある。

たとえば、「卵焼きが好き」という小論文を書くとしたら

①卵焼きが好きだと思った出来事
②卵焼きを食べたときに感じる幸せな気持ち
③卵焼きが無くなったらどんなデメリットがあるか

などが考えられそうだ。卵焼きについての思いを述べれば、最後に「だから私は卵焼きが好きなんだよ!」とまとめる(結論づける)ことができる。

志望動機なら

①この会社で一番惹かれる点
②自分の能力や知識で、会社で生かせること
③会社に入ってから挑戦してみたいと思っていること

と思っているので、この会社を志望したんでヨロシク!

自己PRなら

①自分の性格で一番特徴的なところ
②特徴的な部分にまつわるエピソード
③苦手な部分もあるが、カバーしようと頑張っている!

という感じの人間なんで、あなたの会社で雇いませんか?頑張りますよ!

というかんじで書けそうだ。

①②③それぞれ200文字くらい書けばそれだけで本文が600文字になって、序盤に100文字、まとめに100文字つかえば、あっという間に800文字前後の文章が出来上がってしまう。小論文なら800文字〜1200文字と指定されることも多いし、500文字くらいで書かないといけないのなら①②③をそれぞれ短くすればいい。

文章を膨らませられない、という悩みはあるだろうが今は一旦置いておいて、小論文や自己PR、志望動機などの「文章を作る」という意味ではこの形を覚えておけば書ける。

※指導する先生によっては、小論文には必ず「反論」を入れるべしという場合も。ここでは小論文に限っていないので割愛。


まとめ(結論)ってどうまとめるの?

意外と難しい”まとめ”。

まとめ(結論)は基本的に「〜ということだから、こうなんっすよ」という部分だ。卵焼きが好きと言いたい文章なら

これらのことから、私は卵焼きが好きだ。

でまとめられる。

「小論文の書き方」なんて動画を見ていると、「最初に行ったことを繰り返して〜」とレクチャーしている場合も多い。基本的にそれでも問題はないが、冒頭に書いた文章と全く同じことを書いてしまうといまいち味気ない。小論文なら

「以上のことから、私は卵焼きが大好きだ」

で終わっていいが、もし自己PRや志望動機など文章にあとひとつ個性が欲しい場合は、個人的な思いをプラスしても良いだろう。

日本人なら誰でも食べたことのある卵焼きだが、あまりに身近な存在ゆえに軽視されがちだと感じる。卵焼き好きとして私はこれからも美味しい卵焼きを食べ続け、その存在の素晴らしさを伝えていきたいと思う。




後編もお楽しみに!

※文章の書き方には正解はありません。「学校の先生と言ってることが違う」ということもあります。文章に関しては、自分がわかりやすい、書きやすいと思ったものを参考にしていけば上達していくと思います。

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