ナスや松茸の保存方法!江戸時代の古文書『女中嗜日用宝』を訳してみた
冷蔵庫のない江戸時代。当然、冷凍庫もありません。食べ物が腐らないために、いったいどんな工夫をしていたのでしょうか?今回はわらび・松茸・かぶ・ナスの4種類の保存方法をお送りします。
食物貯えの秘伝
・干わらびは、若いわらびを蒸して
灰をかき混ぜ、よく日に干す。
次に灰を洗い落とし、また日に干して
よく乾いたら保存する。
食べるときはお湯につけて戻し、
柔らかくして使う。
・漬松茸は、虫のついていない松茸の
つぼみほどのものを、石づきを切り捨てて
軸の皮を取り、水三升に塩一升入れ、
煮てひと煮立ちしたら桶に移してよく冷ます。
そして蓋をして保存する。
食べるときは一夜水に漬け、
塩出しをして使う。
・かぶの千枚漬けは、良いかぶの株を切り捨て、
横に薄く輪切りに剥いで、上記の絵のように
何重にも重ねて桶に並べ、良い醤油に酒を
少し加えて、かぶひとつに唐辛子ひとつ
当てて間に挟み、
蓋をして重石を置き、埃が入らないように
する。そして、程よく馴染んだときに
取り出して食べる。
酒の肴には三杯酢で、お茶漬けの具には
醤油を使うのが良い。
・ナスのからし漬けは、秋ナスの花落ちと
ヘタの針皮とを取り捨て、一夜塩漬けか
もしくは糠味噌に漬けて、翌日取り出し、
水で洗い、水気を布で拭きとって半日ほど
天日干しをする。
また、からしを練って布に包み、鍋にお湯を
沸かして布包みしたからしをそのまま入れ、
二度ほど沸騰したら取り出してよく冷まし、
からし二升に麹一升を加えて、さらに
よい醤油で練って、ナスを壺の中へ
並べてからしを馴らし入れる。
再びナスを並べてからしを置き、
何重にも重ねて蓋をして、
紙で壺と蓋との間を目張りし保存する。
よく馴染んだときに取り出して食べる。
【たまむしのあとがき】
文中に何度も「升」と出てきます。
一升は1.8Lですから、例えば漬松茸では水三升に塩一升というと、水5.4Lに塩1.8Lです。
相当な量の塩ですよね。
漬物は確かにしょっぱいものですが、こんなに使うとは、本当に合っているのか、二度見どころか五度見ぐらいしました。
今回、漬物が3種類ありましたが、食べ物が腐らないための方法の王道は「漬物」なんですね。
すごい勉強になりました。
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