江戸時代の味噌の有効活用法!古文書『女中嗜日用宝』を訳してみた
食べ物の保存方法シリーズ最終回です。今回は味噌を活用する方法を中心とし、小豆や酒の有効活用についても読み解いていきます。
・ささじん(酒糂=糠味噌のこと)は、
新米の糠を炒って、味噌桶の底に置く。
このとき紙を2・3枚敷いて、
その上に味噌を仕込む。
味噌がなくなり次第、
壺に補充して口をよく封じる。
入用のたびに少しずつ取り出して、
再び口をしっかり封じ、
劣化しないよう保存しておく。
・味噌を仕込むには、寒の水で炊けば
長く味を落とすことがない。
まず、大豆一斗(15kg)に水一斗二升(18kg)
入れ、朝飯頃から煮え上がるまで煮る。
その後、火が消え次第そのまま置き、
釜の蓋を閉め、汁が吹きこぼれぬようにする。
さらに熾火※になっても火をつけず、
火が消えたままにして夕飯頃まで置けば、
よく煮えて熟す。
※熾火=薪が燃えたあとの赤くなったもの
もう一度火を起こして
温め、ざるに上げて飴をたらすようにし、
まな板状のものに移してよく冷ます。
両手でしっかりと揉みつぶし、
豆一升(1.5kg)に麹二枚(2.6kg)と
塩三~四合(540~720ml)、
もし辛くしようと思えば
六~七合(1080~1260ml)の分量を
味噌の中に入れる。
押蓋をして軽い重石を置き、桶の蓋をして
目張りをし、約20~25日ほど経ったら
熟れ加減を見ながら使う。
・寒中に小豆を煮て摺り砕き、袋に入れて
漉粉にし、陰干しして保存すれば、
長期間経っても劣化しない。
いつでも餅や団子のあんに使うのに良い。
・漬餅にする方法は、寒の水に塩を少し
入れて煮返すとよい。壺に入れてよく
冷まし、その水に餅を漬け置く。
取り出すとき、手を入れればかびるため、
箸やしゃもじなどを使うこと。
そうすればいつまでも保存でき、
味も損じることはない。
・酒を燗にし過ぎて煎燗となり、
飲むことができなくなった場合、
酒三合(540ml)に水一勺(18ml)ほどの
分量を加えて飲むと良い。
こうすれば良い酒となる。
酒を加えてしまったら、
火臭くて飲むのは難しい。
【たまむしのあとがき】
一番最後の酒を熱燗にし過ぎた場合、単純にほんの少しの水を加えると良いというのは、酒好きの人にはすぐにトライできるものですね。
こうして三回に渡って食べ物を長期保存する方法を見てきましたが、必要な条件は「発酵させる」か「塩で漬ける」のどちらかだということがわかりました。
当たり前の基礎知識かもしれませんが、実際に昔の人はどうやっていたのかを古文書を通してみると、すごく納得感があります。
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