おめかしの引力

わたしは、おめかし上手を目指したい

川上未映子さんが朝日新聞で6年間連載したエッセイ
おめかしの引力』に惹きつけられてしまった。

図書館でタイトルに惹かれて手に取ったら装丁も素敵!
裏表紙も格好良いんですよね。

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装丁は誰だろうと思ったら納得の吉田ユニさん

星野源のアートワークも多く手掛けていますね。
『YELLOW DANCER』も最新の『POP VIRUS』も。


わたしはnoteを書くときに思いついたことをそのままキーボードで打っています。もちろん今もそう。喋るときと同じように流れのまま書いている。
でも、だからこそダラダラと長文になってしまうんですよね。

本当は短く言いたいことがまとまっている文章に憧れます。

ちゃんと考えてから書けばそうなるのかな、と思いつつ言いたいことが次から次へと溢れてきてしまって、書き終わって公開後に読み直してから「そういえばこれも書いておきたかったな」って追記してしまうことも多々あるのです。


短くまとめるコツを掴むためにはまずはそういう文章を読んで学ぶことだなと思い、何かエッセイをと思って借りてきたこちらの本は、ひとつひとつの話が見開きに収まっていて非常に読みやすく、まさにわたしの理想とするものでした。
原稿用紙2枚分と書いてあったので、1つにつき800字程度。それでいて毎回どの話もこんなに面白いなんて。引き算の上手なひとなんだろうな。


さて、タイトルの通りこのエッセイは「おめかし」について綴られたものです。もしも『おしゃれの引力』というタイトルだったら手に取っていなかったかもしれない。そう思うくらい「おめかし」という響きに吸い寄せられました。

そもそも「おしゃれ」と「おめかし」って何が違うんだろう

そんな疑問について川上未映子さんなりの回答が巻末の語り下ろしにあるのですが、それがとても腑に落ちました。

「おしゃれ」って、やっぱり他人の評価が入っている気がするんですよ。「あの人、おしゃれやな」といわれて初めておしゃれになるというか。でも「おめかし」には、主体性がある。自分にしかわからないおめかしもありますよね。
(中略)
自分がいいと思うものを自分だけで肯定できるのが、「おめかし」だと思います。
(p164 語り下ろし)

ああ、確かにそうだ。そんな気がする。


例えば、ネイルをしなくても爪を磨いてみたりとか。
いつもの靴を丁寧に磨いて履いてみたりとか。
(例えが磨いてばかりでアレだけど)

そういう誰も気付かないかもしれないけど、自分自身はちょっと気持ちが良くなるようなこと、背筋が少しピンとするようなこと、はおめかしと呼んでもいいのかもしれない。

そう考えると、おしゃれなひとになりたいと思ってもそもそも「おしゃれなひと」の定義が難しくてなかなか実現するのは難しいけれど、おめかし上手にならわたしにもなれるような気がする
おめかしに承認欲求は必要無いので、おしゃれを目指すよりもどことなく気持ちも軽くなる気がする。そしてそのおめかしの延長に、おしゃれがあれば良いなあと思う訳です。


わたしはnoteでタイトルの付け方に悩むことも多いので、エッセイはそういう面でも参考になる。参考にして実践できれば良いのだけど。

・絶壁矯正、いくら出す?
・眉をめぐる緊張と快感と
・三万円下着の底力
・壊れそうなドレスを着たい
・シルクが藁になる瞬間
・ロングスカートは命がけ
・求む、ブラジャー革命

これはほんの一例ですが、どのタイトルもnoteで記事として上がっていれば、わたしはきっとクリックして読むだろうなあと思うのです。



絶壁矯正、いくら出す?

絶壁矯正って何のこと?って思うひともいるかもしれませんね。絶壁ってあれですよ、頭の形のことですよ。これはもう、全力で頷きながら読みました。友人に後頭部を触られると驚きと笑いが得られるくらいには、わたしも絶壁です。
絶壁エピソードといえば、幼稚園児の頃にカチューシャを付けようとしたら頭からスポッと。まるで黒ひげ危機一発のように上に抜けたこと。自分に合う、ずり落ちないヘッドフォンを探すのだって一苦労なんですよ。


三万円下着の底力

あのパンツのスペシャル感ったらなかったな。すごかったな。三万円を直にはく、という行為に緊張したものな。規格がまるで違ったものな。
(p37)

下着と書いてあるのでお分かりかと思いますがパンツってズボンじゃなくてショーツのこと。ショーツに三万円。三万円のショーツ。
三万円を直にはくというフレーズのパワーがすごい。


【 りぼん問題、インサマー 】

似合わなさって、他人と自分のどっちを主軸にした感覚なのか。
(p45)

自分の着たい服が似合わないことがある。
逆も然りで、似合うけど好みの服じゃ無いこともある。

わたしは未だにオフィスカジュアルが大の苦手だ。TPOをわきまえた無難な服装というのに全くときめきを感じられず、会社用の服を買わなきゃというときには折角の買い物も何だかあまり気乗りしない。
けれどそう言うカチッとした服が似合うよ、と母には言われる。あなたはダボっとした服は似合わない、って。うーん、なんだかなあ。


何を着ても良いよと言われれば『のだめカンタービレ』ののだめのように毎日ワンピースが良い。というのも上下の組み合わせを考えるのが下手だから一枚で楽に着られるワンピースは有難い代物なのです。なむなむ。

洋服を買いに行く度に思い出すことがある。
洋服を買って帰ると3つ年下の妹から「お姉ちゃん、これはどの服と合わせるつもりで買ってきたの?」とよく言われた。妹はおしゃれさんだ。

「え、ほら、デニムのスカートとか?」
「あとは?」
「あとは…」
「お姉ちゃんは上下とも可愛いもの買っちゃうから合わせにくいんだよ。どっちかシンプルなもの買わないと合わせられないでしょ。他にどれを使って着回していくの」

このやりとりが何度か繰り返され、着回しを考えなくても良いようにワンピースばかりを買っていた時期があった。のだめもそうだしさ、って。



いくつになっても心がときめく洋服を着ていたい。
ワンピースも好きだけど、同じくらい、オーバーオールにキャップにスニーカーという組み合わせも大好きだ。(もちろん会社には着て行けないけどね!)

おしゃれの引き算も、文章の引き算も、計算の引き算も苦手だけど、おめかしくらいは上手になりたいなあと思うのでした。


それにしたって文章の引き算ほんとうに下手だよね。
(結局2,600字になっちゃったよ)

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