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48歳からのマラソンチャレンジー2023年つくばマラソン(レース編)


装備ー寒く小雨が予想されるコンディション

2023年11月26日のつくばの天気予報は、ピンポイントで雨…
そもそも初マラソンの僕は、タンクトップのような本格的なランニングウェアは持っていません。

まずシューズはNIKEのヴェイパーフライ3です。いつもはZOOMで走っているのですが、一度銭湯ランで試し履きしておいたもので、ほぼ新品です。正直、他のブランドの製品を着用したことがないので、比べられません。ただ自分には合っていて不満がないのでNIKEを愛用しています。
特にヴェイパーフライは同じ強度で走っても他のシューズよりもキロ数秒以上は速いし、特に30kmを過ぎてからが驚きで普段よりも脚がかなり楽に感じます(素人感覚で科学的根拠はありません。ただの「感想」と受け止めてください!)。

そこでRuntripで購入したスリーブレスTシャツを選択。Runtripの製品は一つ一つのクオリティが高く、ファッション性もあるので気に入っています。同じ性能であれば他の有名アウトドアブランドのものよりも安く感じます。

RuntripのTシャツ。若干「素人臭さ」がありますが(笑)、性能は素晴らしい。
ネックウォーマーは外し忘れて、ゴールまで着用しました。ちょい暑かった……

その下にファイントラックのドライレイヤーを着用。さらにモンベルのメリノウールのウエストウォーマーを重ねました。

このレイヤリングは自分が登山やスキーをするときと同じで、ランニングでも寒い日はこれらを着て走っていて快適でした。
まずロング走をすると胸周辺などが擦れて赤くなることが多いですが、ドライレイヤーを着れば擦れもなく快適です。

そしてウエストウォーマーは本当に優れもので、走り始めは上げておくと体幹がしっかりと暖かく快適。しばらく走って温まってきたら下ろせばいいので、冬のランニングでは必需品です。つくばでは、途中から雨風が強くなった時間帯があって、その時は上げて走りました。本当に助かりました。

補給

補給に何を持つかは迷いましたが、普段の自転車でも愛用して慣れているスポーツようかん(ハーフサイズ)。それと最近よく耳にしていたモルテン(白、カフェイン入り)を購入してみました。
そもそも僕は早朝に起床して何も飲み食いせずに走るのが習慣なので、補給はなくても良いタイプです。富士見湯発着のロングランで36km走りますが、無補給に慣れてしまっているので、特にエネルギー切れを感じたことはありません。

ただトレーニングとレースは別物でして、より楽に速く走れるなら補給があっても良いと思い、3週間前の43km走で試してみました。14kmくらいでスポーツようかん、28kmくらいでモルテンを飲みましたが、やはり普段よりもいい感じに思えたので、本番もこの補給計画で行きました。
なお14kmと28kmには科学的根拠はありません(笑)。昭和記念公園外周が一周7kmで2周目と4周目に飲むとちょうどキリが良いので、そうしただけですが、そのまま定着しています。本番でも同じくらいのところで飲みました。

当日朝の食事

移動があるので夜中3時過ぎに起床、朝食はカステラ、それとピーナッツバターとはちみつを入れた牛乳を飲みました。カステラは5個入りの高級カステラを楽しみに買っておいて、朝食に3枚、残りの2枚をつくばに行く途中に食べました。

普段から朝飯前に走っていて何の問題もないので、少なめかもしれません。
雑誌とかネットを見ていると「お餅を〜個!」とか大量の炭水化物を摂取する必要性が強調されていますが、僕としては「やり過ぎ」注意じゃないかと思ってます。

長崎カステラ、美味しかったです。

一回に吸収可能なタンパク質量に限度があるように、炭水化物をたくさんとっても吸収できる量は限られています。それに、飲食が過ぎると「トイレ問題」が発生します。
普段のロングランの経験から、マラソンは長時間の運動なので「トイレファクター」は戦略的に重要だと感じていました。トイレストップを考慮に入れても、当日の食物摂取は控えめにしたほうが良いと考えています。そもそも途中にエイドがあります。万が一、喉が渇いたらそこで補給すれば良いわけですから。

それと炭水化物至上主義にも若干疑問があり、脂質・炭水化物・糖質のバランスが取れたもののほうが急激な血糖値の上昇を招かず体には優しいと考えています。
僕は早朝に無補給で走るのが日常なので、脂質を利用する体質になっていると考え、ある程度の脂質も補給しておきたいと考えました。
最終的にカステラ、牛乳(ピーナッツバター&蜂蜜)ということにしました。カステラは卵で作られているので糖質・脂質・タンパク質のバランスもよくてGI値も70前後です。牛乳とピーナッツバター、蜂蜜も血糖値を上げ過ぎず、植物性・動物性の脂質を摂取できます。
科学的に見ても、レース当日に炭水化物だけを摂取したグループより脂質を摂取したグループの方が代謝の効率性が上がって結果が良いという研究があるので、炭水化物至上主義はあまり当てにならないと考えています。

スタートまで

6時くらいを目処に早めに到着。駐車場は広いのですが、近くからのシャトルバスはかなり混み合います。僕らが並んだ後から、どんどん人が増えてかなりの行列になったを見て、早めに到着して良かったと思いました。
シャトルバスは乗ってしまえばすぐに着くのでストレスは感じませんでした。
荷物預けも簡単なシステムでしたが、開放されてているグランドの脇にコインロッカーがあり、結構空いています。そこに貴重品を入れて、それ以外のものは敷物の上においておいても良いかと思います。
ただし雨が降るような場合に備えて、荷物を入れられるだけの大きなビニール袋を持っていくと便利だと思います。
また、当日の雨に備えて、100円ショップで使い捨てられる雨ガッパとシューズカバーを買っていきましたが、これも正解でした。スタート直前までそれを着ていたおかげで寒さも雨も凌げたので、悪天候が予想される時には必須アイテムだと思います。
つくばマラソンでよく言われるトイレ問題は、ある程度事前に到着していれば問題ないくらい多くのトイレが設置されています。ギリギリに行こうとすると厳しいかもしれないですが、そこまで少なくはない印象。グランド付近のトイレで済ませ、さらに余裕を持って移動してスタート地点に向かう途中のトイレにも寄っておけば大丈夫だと思います。

レース

ウェーブスタートとはいえ、やっぱり混雑します。特に僕は初めての参加で自分がどのくらいで走れるかわからなかったので、申告タイムは遅めにしてました。スタートまでに30秒くらいはかかりましたが、まあ、どのマラソンでもそんなものだろうなという感じでした。
スタート後はとにかくリズムとペースが合うランナーを探してました。
いました!素晴らしくテンポが合う上にフォームも綺麗で後ろを走っていて気持ちの良いランナーが! 
僕は心の中でそのランナーを「天使」と名付けて、とにかく天使の後から離れないように走りました。これは神様が自分に与えてくれた宝物だから絶対に離れてはいけないという感じでした。
天使について走っていると5km過ぎくらいでハリー杉山さんが左手に見えました。ランスマでサブスリー宣言していた杉山さん。ということは、これはサブスリーできるのではと思いながら走りました。

やはり本番は普段は走れないペースで進んでいきます。4km以降は大体3:50前後でレースが展開していて、これは練習でも走ったことのないペースでしたが、心肺的には楽で不思議な感覚。いつもの狭い公園とか凸凹した歩道とは違い、広い公道で走りやすい上に平坦なつくばマラソンはスピードが楽に出せるコースです。

前半

前半のラップタイム。

後半

後半のラップタイム。

基本的に心拍数は140台で安定していて走っていて気持ちの良いペース。事前に読んでいたNumber Doやランナーズといった雑誌では「30kmの壁」だの「35kmの壁」だの「壁」の話が満載で、僕はいつそういう「壁」が来るかと恐れていたのであまり無理はできないなと、常に天使の後ろで無理のないペースに徹していました。逆に150bpm台になったら千切れようと考えていました。

途中、大きな集団とドッキングして走っていたら、左手にJスポーツの自転車ロードレース解説でお馴染みの中野喜文さんを発見! 19〜20kmあたりでしょうか。今回も中野さんのブログでつくばマラソン記事を読み込んでいたので、思い切って話しかけて集団の中で1kmくらい色々と話しながら走りました(ありがとうございました!)。

後日、思い切ってエンネを予約。これまで経験したのとはレベルの違う施術に感動しました。

その後、集団のペースが50秒台なのを嫌ったのか、天使がペースアップしたので僕もそのままついていきました。とにかくペース配分も一定で、ケイデンスも自分と合っていて、見ていて安心できるリラックスしたフォームで、本当にマラソンの神様が僕に使わしてくれたとしか思えない方でした。

淡々と走っていましたが、30km過ぎあたりから天使のペースが落ちて50秒台に入ってきました。マラソン初心者の僕はひとりで飛び出す勇気もないまま、3km程度迷いながら走っていました。
残り10kmもないし、さすがにもう少し頑張ったほうが良いだろうと思い、35km付近から思い切ってペースを上げて集団から抜け出しました。振り返ってみれば、もう少し早く勇気を持って出ていれば、もう少しタイムも良かったかと思いますが、初マラソンとしては出来過ぎのペース配分だったと思います。
身体面で言えば、経験したことのない「壁」が怖くて、ずっと140bpm台を維持してきましたが、40km過ぎのラスト2kmぐらいからペースを上げて150bpm台を解禁(笑)しました。
結局、雑誌であれこれ言われている「壁」は全く感じないままレース終了。ペース配分はちょっと保守的過ぎたかなと今になって思いますが、小出監督の書籍など読むと、35km過ぎから加速できるだけの余裕を確保していたのは正解だったかもしれません。

全体

全体のペース分析。

つくばマラソン全体のペース分析がこれです。一番早いペースで3:44/km、スタートの混雑もあり最初の1kmは4:27/kmですが、平均は3:50/kmでした。

とにかくマラソンは距離が長いだけに、その日の身体状況やコース環境(獲得標高、雨、風など)といった複数のファクターから最善のペース配分を考える戦略的思考と、その戦略を実行するだけの肉体的能力が必要とされます。
本当にゲーム性が高いと感じました。これほど面白いゲームは滅多にないと思います。だからこそ世界中の人々がマラソンに夢中になっているのだろうなと思いながら走っていました。
近所の公園などを走り、走る動物としての身体性を享受しながら体内の余剰エネルギーを消費し、ささやかな自己肯定感と共に美味しいご飯を食べるというのが、僕の走るモチベーションでした。
これは今でも変わらず最大のモチベーションですが、今回つくばマラソンに参加して、ランニングのゲーム性にも気づくことができたのは大きな収穫でした。

感想

トレーニングはレースではないー結局、レースは速くなる


つくばマラソンは、ネットタイムで2:42:47、グロスタイムは2:43:19でした。正直このタイムは予想していませんでした。つくばは平坦で風もなくスピードが出やすいレースだったのと、集団効果でペースが刻みやすい環境が生み出してくれたタイムです。
フロストバイト(Frostbite)ロードレースの時もそうでしたが、僕は普段のランニングをこのペースで走ったことはありません(というか、走ろうと思っても走れないと思います)。

逆にいえば、トレーニングで無理にレースペースにこだわる必要はないと感じました。ラップタイムに脅迫されて走るのが嫌になるくらいなら、リディアードのいう最高安定状態で「気持ち良く、速く」のペースぐらいでたくさん走った方が、よっぽど身体的強化が図れると思います。

マラソンの特異性ー強度、距離、脳

マラソンは距離が長く時間がかかるだけに、自転車のヒルクライムレースのような強度に上げてしまうとゴール前に潰れてしまいます。時間が長い分、閾値よりも若干低めでコントロールする必要があります。
長時間持続できるこの絶妙なラインをいかに底上げしていくか、そして底上げされたラインで耐えられるだけの肉体的剛性をいかに作り出すのかが、マラソントレーニングの特異性かと思います。
そのためのシンプルな方法は、やはり距離を踏むことかなと感じています。時々、ネットで「月間たったの〜kmしか走らなくても2時間30分台!」みたいな方を見ますが、トレーニングと距離の関係はキャリアと年齢によると思います。
例えば、高校や大学で陸上経験があり、40代前半ぐらいまでの方だったら、それまで積み重ねてきた距離による身体的記憶(ランニングエコノミーや着地衝撃への耐性など)の優位性などから、それも可能だと思いますが、マスターズ世代の一般的ランナーに当てはまるとは思いません

また距離が長いゆえに脳の役割が大きくなるのもマラソンの特徴と思います。長い距離を閾値下で走っていると、色々と考えるスペースが生じます。そこにはネガティブな感覚もあり、いかに余裕度を確保するかという、脳との騙し合いが必要になってきます。糖質の摂取など補給の影響もあると思いますが、結局のところ普段から気持ち良く長く走るのが近道のように思います。

怪我の功名ー歩くこと、走ること

準備編でも書きましたが、2023年前半は怪我で歩くことしかできませんでした。しかし結局のところ、走るのは歩くことの延長線上にあると感じています。つまりウォーキングはマラソンの基礎的トレーニングとして大きな意味を持つように思います。
例えば、同じ距離をトレーニングしているのであれば、職場が遠かったり、歩くのが好きでよく歩いている人、日常活動で足を使って移動する距離・時間が長い人のほうが速くなるのではないかと感じています。こうしたウォーキングの効能を発見できたのは、今回の大きな収穫でした。
走りたくないなら無理に走らずウォーキングすれば良いし、5km死ぬほど頑張ってゼーハーしながら走るよりも、10kmくらい仲間とおしゃべりしながら歩いたり走ったりする方が、生理学的効果が高いと思います。脳のランニングに対する耐性も鍛えられると思います。
いずれにせよ、トレーニングや食事についての考え方は、いずれ個別にまとめてみたいと考えています。

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