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お酒と記憶

食べ物と記憶がセットなように、お酒と記憶も強く結びついている。

たとえば、わたしにとって缶チューハイは友人たちとの宅飲みや河原でのバーベキューを思い出させる飲み物だ。モヒートは、海外へ旅立つ友人の送別会を、ミモザは路地裏のイタリアンバーを。日本酒にまつわる思い出は数え上げるときりがない。

時に一人で、時に二人で、時に大勢で飲み明かした夜。離島にいたときは、毎日のように真昼から飲んでいた。信号はおろか、車もほとんどない南の島。

ひとり酒をするようになったのはいつからだったか。思い出せないけれど、ひとり、というのはひどく気楽だった。馴染みの店で、はたまた旅先の店で、白ワインと魚介類のカルパッチョを、地酒と刺身の盛り合わせをつまみながら、他のお客さんやお店のスタッフさんたちとおしゃべりをしたり、遠くにいる家族や友人に電話をかけたり。

最近発見したのは、お店で美味しいお酒と肴を食べなから読書するのも楽しいということ。その土地ならではの写真集や、ゆかりの詩人の詩集、作家の短編集。お酒を飲みながら読むそれは、なんだかいつもよりからだに染み込む気がする。

ふらふらになるほど酔うことはここしばらくないけれど、たまには思い切り酔いたくなる。

ありがとうございます。いつかの帰り道に花束かポストカードでも買って帰りたいと思います。