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日帰り|芸術家リガブエの街、Gualtieri (RE)でのシネコンサート。

コロナさんの影響で、どこにも行けず、人にも会えず、生で何かを見ることもできず、という状況が続き、7月半ばくらいまでは、それもしょうがないと思っていましたが、8月になって、いい加減、外からのインプットが欲しい!美しいもの、圧倒的な何かが見たい!という欲求のバロメーターがグーンと上がり出し、娘も8月になると学童がなく、家にいるばかりではつまらないので、最近は、ちょこちょこ日帰り遠足をしています。

そのうちの一つ、先日見に行ったのは、Teatro Sociale Gualtieri のプログラム。
正直、ちゃんと読まないで、写真からのイメージだけで、野外で映画に生演奏の企画があるのかな?くらいのノリで、行ってみることに。

コンサートは21:30からなので、20時くらいに到着すれば、まぁ何か食べれるかな〜、ここかここなら美味しそう、という目当てのレストランに行ってみるも、どちらも夏休みで閉まっている!(せめてずらしてくれー 涙)

ガーン!

しょうがないので、ジェラートを食べて、気を取り直し、Gualtieri(グアルティエリ)の街を散策。(娘はジェラートが夕飯というアイデアに歓喜。)

街に入って、まずドドーンと目に入ってくるのが、メイン広場にある、Palazzo Bentivoglio。ご立派です。この広場は四方、こんな感じでポルティコにも囲まれていて、なかなか素敵。子どもたちもこぞって遊んでいる。

そしてこの宮殿、中には、イタリアの奇才、アントニオ・リガブエさんの美術館があるそうな。伊語圏スイスから流れてきて、Gualtieri に移ってきてから、ようやく芸術家として認められたんですね。その経緯は知らなかった!

ちなみに、ちょうど今月から、このリガブエさんについての映画 Volevo nascondermi (英題はHidden Away)も公開されているようです。
面白そう… マントバでもやってくれるかしら、、

映画にあわせてか、この宮殿内でも2月に大々的に展示が始まり、一度は中断したものの6月から再開し、どうやら11月8日まで、土日に開放している様子。
アウトサイダー的アーティストというイメージだけしかないので、今度はちゃんと作品も見に来よう。勉強不足でした。

ところで、この宮殿の Bentivoglio というのは、封建制の元、ボローニャで栄えた名家の名前で、ちょっと調べてみると、フェラーラのエステ家やマントバのゴンザガ家などとも関係がありそうです。最近は、そういった歴史的統治背景や地理的条件なども考えた上で旅をするのがなかなか面白いように思えてきました。

リガブエさん(と、アート)を大々的に押していることもあってか、レッジョエミリア県内北部に位置する、このGualtieriは、人口6500人にも満たない小さな町にもかかわらず、宮殿内にある劇場では、かなり先鋭的なことをやっています。
 〜 心の声:マントバ郊外の私たちが住む町はおそらく人口5000人強で、劇場もあるけど、こんなプログラムにしたら、教会に行っていないだけでも白い目で見られがちなのに、完全に吊し上げられるなー、、(汗)〜

この日のコンサートも(恥ずかしながら、始まってみて気づいたのですが)、然り。Fuoriuscite! という、劇場から出て、野外の、街中・郊外の雰囲気はあるけれど、普段はあまり足を踏み入れない場所やあまり知られていない場所で音楽を聴こう!というシリーズの一部でした。
そうなってくると、町の歴史やその成り立ちの背景を理解する必要があります。そこで、至極当然のこととして、日本でいう、地域の文化・歴史保存会や観光相談所のような役割を担う、Pro Loco(大半は、NPOやボランティア団体)と協働して、町史を紐解くための説明がなされていました。それが、観客が自分の住む街の「かつて」を想像する一助となっています。

例えば今回の会場は、Viale Cesare Battistiという道に特設会場が作られていましたが、

“この道に面する、Villino Mazzoli(小さめのヴィラ)は、1920年代には劇場のチケット番をしていたNinaさんという女性が住んでいて、アーティスト・リガブエが兎を飼うために敷地の一部を開放してあげていたんです。
そして60年代になると、このヴィラのお庭では映画上映会や、ダンスの会が開かれていたんですよ。”

と、町の歴史好きおじさんのような方が教えてくれました。
おじさんを知る人は、またあのおっちゃんがしゃべってるよ、とも思うかもしれませんが、会場にいた人の大半は、へぇ〜!と思いながら話を聞いていたと思います。そんな前説の後だと、そうか、ここで映画を見るって、特別な体験だなぁと、歴史を知らなかった時とは違う味わいと高揚感が生まれます。

そして、演目は、旧ソ|ジガ・ヴェルトフ監督の無声ドキュメンタリー『カメラを持った男』(1929)にDuo Baguetteが音楽をつけるというもの。

作品トレーラーがありました。↓

この映画が、たまらなく面白かった!!!

映画というジャンルにあまり興味がない私ですが、この映画は、あまりにもシュールで脈絡がなくて、でも何か人や街の雰囲気を楽しめる、非常に好みの内容でした。はじまりの字幕から、、ツボ!

The film Man with a Movie Camera represents
AN EXPERIMENTATION IN THE CINEMATIC COMMUNICATION
Of visual phenomena
WITHOUT THE USE OF INTERTITLES
(a film without intertitles)
WITHOUT THE HELP OF A SCENARIO
(a film without a scenario)
WITHOUT THE HELP OF THEATRE
(a film without actors, without sets, etc.)

_意訳_
この映画は
シネマという方法を使った実験です
目に見える事象を
インタータイトルを使わずに
シナリオの力を借りずに
演劇の力を借りずに

全編が見れそう(音楽が誰のものか分からないですが、こちらの方がシネコンサートのものより好み 笑)なリンクがありましたので、貼り付けます。
お好みで、音量0か、音量ありで、お楽しみください。


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