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私は、本よりも本屋が好きかも知れない


【過去記事です】

●和氣正幸著『日本の小さな本屋さん』<エクスナレッジ>(18)

レコード屋と本屋は好きな場所だ。ただ、利用の仕方に微妙な違いがある。レコード屋に行く時はたいていレコードを買う。ところが、本屋の場合は本を買わない事の方が多い。本に囲まれた空間に身を置くのが第一の目的と言える。書店経営者及び書店員からすれば憎たらしい客だろうが・・・。

書棚に並ぶ背表紙を読み、ときに取り出し、しばし読んではまた次の本。あるいは、なーんとなくウロウロ。必ずしも大手の本屋ばかりでなく、どこにでもあるような小さな本屋やショッピングセンター内の書籍コーナーなども見て回るのが好きだ。特に小規模の本屋は、一見変わりないようで、棚の並びに本屋側の思いが感じられた時は嬉しくなる。レコード屋も特に中古屋は個性が出るが、本屋の方が度合いは大きいと思う。

本書は、正にそんな私にうってつけ。簡潔明瞭にまとめられた紹介文を入り口に、「本屋の世界」を堪能できる。特に本好きのツボを刺激する豊富な写真は見応え十分。各書店の特長が感じられ、疑似体験ができる。とは言っても人間とは贅沢なもので、あぁ、この書物空間に実際に身を置いているかのような写真技術はないものだろうかと身勝手な妄想は広がるばかりだ。

それにしても、本よりも本屋が好きというこの思い、本書に掲載された書店主各位なら笑って許して下さるのではないだろうか。いや、これもまた身勝手か。

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