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「弱さと技術の人類史」という話

まえがき:人類について

 人間とはどういう存在なのか。改めて問われると私たちはうまく答えられないことが多いように思えます。私たちは何者なのか。どういった存在なのか。どこから来たのか。私たちは人間であるはずなのに人間についてあまりよく知らないです。本稿では、人間とは何かを考えていこうと思います。


第Ⅰ章:人間という欠陥生物

 人間は、明らかに自然界に存在する生物の中では弱い種族です。クマのように鋭い爪を持っているわけでもなく、ライオンのように鋭い牙を持っているわけでもない。馬のように足も速くなければ、ワシのように自由に空を飛ぶ翼も持っていない。魚のように自由に水中を泳げるわけでもない。

 一体どうやってこのような弱い種族の人間が生き残ってこれたのか。これは結構不思議な話のように思えます。本章では、こうした問いに対して哲学はどのように考えてきたのか見ていきましょう。

 哲学者のプラトンは『プロタゴラス』という本の中で、こうした問いに対して次のように答えています。

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