見出し画像

#Web小説の読書感想とご紹介『第1回、瀬戸晴海さまの「山笑う娘」を読んで』

初めましての方は初めまして!
こちらで読書感想を始めました。
第一回は、ブログをメインに創作活動を続けてらっしゃる瀬戸晴海(せと はるみ)さまの作品から、『山笑う娘』をご紹介いたします。

こちらは、神話の神々と人間が登場する和風ファンタジーとなっております。

大樹の神に預けられた人間の赤子、木之子と狐の木守。成長した二人の姉弟は、禁忌とされる橋を渡って、人里へ舞い込むのですが……。

内容についてのネタバレは、このくらいにいたします。

好奇心旺盛な人間の女の子と、可愛い狐の木守が登場する古い日本の伝承のようなファンタジーが、児童文学の視点から描かれてありました。

たとえて言うなら、ジブリの『もののけ姫』がモチーフとして近いでしょう。

自然と人間の共存は、いつの時代にも不変的なテーマでありながら、どこか懐かしい郷愁を覚えます。
この作品も、登場人物たちが、舞台の上を駆け回るように生き生きと動きまわりながら、出会う人々との繋がりを経て、成長していくところに共感と魅力を感じました。

物語は後半部へ行くにしたがって、核心となる謎も解けて、主人公たちが幸せになるための強大な試練が待ち受けています。

姉をフォローしようと頑張っている狐の木守がとても可愛く、姉の木之子も自分に正直なところがおかしかったです(この姉の存在によって物語は大きく動いていきます)。

作者である月瀬さまが、登場人物の動きを一つひとつ見逃さずに書いておられるので、読んでいるほうにも、鮮明な情景が思い浮かびました。神話の世界の神々も、性格が荒々しいものから優しい神まで、じつに感情豊かに神の役割を演じています。

緩急の起伏も練られており、終盤前には読者の感情をいったん沈み込ませてから、結末に向かって盛り上げていくところまで、飽きさせない工夫が随所になされています。

また、親と子の関係もテーマであり、母である大樹の神と木之子たちの魅せ場には、じんわりと込み上げてくるものを感じました。

小学校高学年ごろのお子さまから大人のかたまで、オススメできるwebの和製ファンタジーです。

https://sthrm126nv.blog.fc2.com/blog-category-3.html

リンクも貼っておきますが、作者の瀬戸晴海さまは、このほかにも多数の児童文学的な長編ファンタジーから、大人も楽しめる小説まで豊富に揃えてらっしゃいます。

気軽に足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
楽しい物語があなたを待っていますよ。

この記事が参加している募集

読書感想文