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#Web小説の感想とご紹介『第7回、猫野たまさまの「月詠の鏡と劔 大江戸月想奇譚」をお読みして(ネタバレなし)』

ビフです。
今回、ご紹介するのは、電子書籍版が発売中の、猫野たまさまの『月詠の鏡と劔(つるぎ) 大江戸月想奇譚』です。

こちらはアマゾンレビューも書きましたので、読書を検討される上でのご参考にされてみてください。


この作品の面白さを一言で言い表すなら、時代劇の人情劇と、夢枕獏の『陰陽師』のような、、、

妖(あやかし)と式神(しきがみ、陰陽師が使役する鬼神)に、神のような存在も加わって、和製ファンタジーが演じられることでしょう。


ただし、この時代劇ファンタジーを料理に例えるなら、お味噌汁や漬物ではありません。もっと高級な、漆塗りの重箱に納められたおせちのような印象でした。とにかく、雅やかなのです!


登場するキャラクターも、稚児の姿をとった神の化身や、屋敷に住む公家ザムライに忍者、陰陽師など、個性豊かでした。


主要キャラクターの月詠(つくよみ)が、とにかく可愛らしく、また品よく描かれていて、月詠を守る従者たちとのアットホームな雰囲気が和やかです。


しかし、他人を疑うことを知らない月詠は、ならず者や妖怪につけ狙われて、主人である月詠を愛する従者たちも、江戸の街を駆けまわります。


時代考察もよくされていて、、、
屋敷に住む貴族たちの生活が、商人からの買い物で成りたち、外出することが珍しかったなど、江戸の生活事情を知るうえでも役立つ情報が盛りだくさんでした。


ビフは趣味で、日本史を勉強しているのですが、この作者さまの知識は、江戸時代の歴史資料をよく読みこまれ、また集められているな、と驚かされました。


民放のゴールデンタイムに放送された水戸黄門や、遠山の金さん、暴れん坊将軍に銭形平次、必殺仕事人etc……

むかしなつかし、時代劇を彷彿とさせる任侠劇も演じられて、そこに男女の恋も加わり、花を添えています。


月詠の可愛さ、愛くるしさは、物語を回すうえでの、中心的なファクターにもなっています。主人を守ろうとする従者たちも、出自の負い目やしがらみに囚われていますが、月詠のために命を懸ける姿がどこか健気です。

そこには、男女の愛というよりは、主君への愛と、いとおしさが入り混じった、忠義のようなものも感じました。


また構成も、1話1話が短く区切られており、テンポよくサクサクと読み進めることができました。

長たらしい文章が続くこともなく、ストレスなく読破できたのが、嬉しくて!


またファンタジーとしても面白い作品でした。


陰陽師の泰誠(やすまさ)の式神を使った妖怪とのバトルシーンや、人を癒す、月詠の優しいキャラクターにそった能力など、、、


最遊記の孫悟空のような神通力が、ここかしこで炸裂します。


人情を感じさせる物語はほろりとさせられ、読みやすく、江戸の文化にふれる貴重な時間を味わえました。


こちらは投稿小説サイトのノベルアップ+でもお読みいただけます。
とはいえ、読み物として、とても面白く、電子書籍の続刊も楽しみな作品でした。







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