本記事は建築本の一部を引用しながら概要をつかむためのものです。
読書メモを元にして個人的に気になった部分を引用しているだけなので主題の本筋からずれている部分もあります。
今回の本の選出基準としては、美しさや象徴性が軽く見られて効率性や合理性を求められる事の多い今だからこそ頭に留めておく本をあげています。
この記事は読めば時短で全てを理解できるというような内容ではなく、あくまで1面だけを切り取ったものです。自分のためになりそうな本や興味を唆る本を探すために使ってほしいと考えています。
また、内容も引用箇所もかなり断片的なので興味が出た本は是非読んで自分の知識としてください。
建築本では無いけれどコンセプトに役立つ本はこちらにまとめています。興味がありましたらご覧ください。
建築をめざして(ル・コルビジェ)
「建築をめざして」は、ル・コルビュジエ(Le Corbusier)が自身の建築理論と哲学を述べた著書です。この本は彼の建築に対する独自の見解や考え方を探求し、彼が建築において追求した理想を明らかにしています。
ル・コルビュジエは、建築を単なる構造や美的な形態だけでなく、人間の生活や社会的な要求に対する解決策として捉えています。彼は機能主義の観点から建築を考え、建物を単なる建築物ではなく、人々の生活や活動の場として捉えました。
個人的には「建築は住むための機械ある」という言葉の印象とは対照的に思える、建築は「感動を与える」ためにあるという主張を繰り返しているところに深く共感しました。
住宅論(篠原一男)
非合理的な「生」の空間を追い、「美」や「永遠性」の重要性を主張する著者の、「住宅は芸術である」、「三つの原空間」など、評判高い諸論文十数編をまとめたユニークな評論集。
なんのために美しさを求めるのかが明快に書かれています。
↑有名な言説である「空間というのは、この場合、多様な容貌の総体なのである。」の新規性につながる。
↑建築は機能空間、装飾空間、象徴空間の3つの原空間に分けられる。
↑原空間の説明。
↑機能空間の説明。
↑象徴空間の説明。
↑〈黒の空間〉の説明。大胆かつ絶対的に思えた事柄に対する良いアンチテーゼ。内部しか存在しないとても純粋な空間。
続住宅論(篠原一男)
人間と空間との間の新しい緊張関係を作りだすあらゆる手がかりを、横切ってきた世界の<共時都市>の原風景の中に、民家集落の調査の中に、また自らの設計の中に求めて、一人の建築家の内部に燃焼する空間理念をみごとにうたいあげた評論集。
↑「ある書物」を「ある住宅建築」に置き換えたのが「空間機械」。参照:ジル・ドゥルーズ 『ブルーストとシーニュ』
↑「象徴空間」と「機械」の説明。物自体でなく動きに注目するところが現象学に似てる。
↑(要約) 統一的な論理がないことが部分、断片の特性である。しかし、それらを統一する《効果》がひとつの全体として存在しなくてはならない。このひとつの全体は《原理》ではなく、機械の《効果》として作用する。《効果》は分解された部分品の運動の結果として生まれる。
↑「住宅は芸術である」の理由。戦前戦後が篠原論のターニングポイントとしてなった。
↑実体をしっかり作らないと虚構が生まれない。
↑正面性の説明。
↑正面性空間から多様性空間へ。
↑対現象の説明。
↑〈亀裂の空間〉の説明。
建築論(アルベルティ)
「建築論」では、アルベルティが古代ローマや古代ギリシャの建築に触発されながら、自身の建築理論や設計原則を説明しています。彼は建築を美的な観点だけでなく、機能的な観点からも考察し、建物の構造や形態に関する詳細な指針を提供しています。
この本では、アルベルティが建築における比例や対称性、素材の選択などについて詳細に論じ、理想的な建築物を実現するための方法を示しています。彼の見解や理論は、後の時代の建築家や美術家に多大な影響を与え、彼の著作は建築史上重要な文献として今日でも高く評価されています。
↑篠原さんと同じような美=永続性の主張。
↑象徴的な空間の分け方とつなげ方の例。
ゲニウス・ロキ 建築の現象学をめざして(クリスチャン・ノルベルグ=シュルツ)
「ゲニウス・ロキ 建築の現象学をめざして」は、ドイツの哲学者であり建築理論家のクリスティアン・ノルバーツキ(Christian Norberg-Schulz)による著書です。この本では、建築の現象学的なアプローチに焦点を当て、建築が環境や人間の経験とどのように関連しているかを探求しています。
ノルバーツキは、建築が空間や時間、身体的感覚といった要素を通じて人々の感情や体験に影響を与えるという考え方を提唱しています。彼は建築が抽象的な概念ではなく、具体的な場所や環境として経験されるべきであると主張し、建築が人間の日常生活や文化的な背景と密接に関連していることを強調しています。
この本では、ノルバーツキが建築の現象学的なアプローチを通じて、建築が人間の感情や経験にどのように影響を与えるかを論じています。彼の見解は、建築の理解や設計に新しい視点を提供し、建築が人間の生活や文化に与える影響を深く理解するための貴重な資料となっています。
↑物事を抽象化して考える「科学」が横行して実存がおざなりにされた。科学=抽象化の説明とその批判。
↑現象学が必要な理由。
↑空間は体験的側面を内包していない言葉である。
↑人工の場所のゲ二エスロキ。 現象学的に見た人工の場所(空間)の構造。
↑「ロマン的」の説明。
↑「宇宙的」の説明。
↑宇宙的建築の性格。
↑古代エジプトの宇宙的体系の上位存在は「神」であったが、現在の都市グリッドを構成する宇宙的体系は「経済、社会」となっている。
↑「古典的」の説明。
↑「複合的建築」の説明と複合的建築の例。例を要約すると、外はロマン的、内は宇宙的な建物。これによって町の日常が宇宙的な次元を獲得した。
↑複合的建築の例。バロック庭園バージョン。 要約すると、中心を人工の場所(世界そのもの→たぶん宇宙的)、周辺を自然の場所(ロマン的)として幾何学ネットワーク(宇宙的)で包括してグラデーショナルに切り替える。