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画家の夢

 美術館はよく行った

 1枚の絵を見た あのような感覚は初めてだった

 それは確かに有名な画家の絵だ 誰もが知っている

 ただその1点の絵を見た時 自然と涙がこぼれた

 自分でも驚いた

 その絵から 画家の喜びが溢れ出ていた

 絵を描くことの 画家の喜び

 それが その絵から溢れ出ていた

 絵を描く喜び 自分の描き方を見つけた喜び

 印象派の画家のその絵 どんな絵だったのかはっきりと思い出せない

 薄い桃色で彩られた絵だった 海と建物の風景画だった気がする  

 それからその画家の展覧会にも行ったが その絵は見つけることは出来なかった

 この絵だったのかと思うものはあったが あの感覚は感じ取れなかった


 また美術館でその画家の1枚の絵を見た

 それは喜びと切なさの絵だった

 美しい女性と小さな子供 優しい風景

 画家はこの幸せな一瞬を やがて消えてゆくこの一瞬を

 今の幸せと喜びを感じながらも それは永遠には続かない悲しみを感じた

 画家はこの一瞬を 過ぎてゆく時間の流れを受け止めながらも

 永遠にと切望した

 その想いを感じた 


 またその画家の絵を友人と見に行った

 そこには落ち着いた絵があった

 絵はすでに落ち着いていた 絵はすでに何かに到達し静かに

 ゆるぎなくしかし優しくそこにあった


 若く溢れ出る喜びも 過行く時の流れを永遠にと切望する小さな願いも

 そこに感じることはなかった

 その絵は一人落ち着いた優しさでそこにあった

 

 
 美術館へよく行った 
 
 また行ってみようと思う

 

 

有難うございます。ペンか色鉛筆の購入にあてようともくろんでいます。