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「ダイバーシティ(多様性)」と「カルチャーフィット」は両立するのか

みなさん、こんにちは。

世間のダイバーシティ(多様性)への関心が強まる中、その多様性の一環として「外国人採用強化」というものを掲げている会社は多いのではないでしょうか。また、採用したものの馴染めず早々に辞めしまったなど、課題もまだまだ多く感じられている分野に思います。

私は日本で生まれ、日本人の母、イタリア人の父とともに人生の大半をイタリアで過ごしたあと、日本の企業に就職しました。

今日は、多様性と組織へのカルチャーフィットの両立について考えていきたいと思います。

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"ダイバーシティ"な昼休みとは

同じ会社にたまたまイタリア人が私含めて3人いたこともあり、一緒にお昼休みを過ごしたりすることが、よくありました。もちろん全員イタリア語で、たわいもない会話をしていました。

そんな我々3人の姿を見て、ある人から言われた言葉があります。
「すごくダイバーシティな昼休みだね!」と。
すると、そこにいた3人のうち1人が
「いや、全然多様じゃないっスね。全員イタリア人なんで」と答えました。

そうなんです。我々はただ単に「同じ故郷を持つ居心地の良い同質集団」を構成していただけなのです。もちろん個々の人生・経験はそれぞれですから、多様ではない!と言い切れるものではありません。
ただ、私たちにとっては日本は外国であり、その中で生きていくために無意識に集団意識を高めていたのではないかと思います。日本生まれ日本育ちの人間からすると、話している言葉も見た目も違うので、その同質集団が「多様」に見えたのかもしれませんね。

多様な組織では、軋轢は仕方ない?

この件をきっかけに、多様な組織とはどういった姿なのか?ということを考えるようになりました。例えば、イタリア人ばかりの集団が多様でないとするのであれば、多国籍な集団を作れば良いのでしょうか?それは、一つの解なのかもしれませんが、やや短絡的な発想かと思います。

仮に、それら多国籍人材が全員日本の大学を出て、日本人の配偶者を持ち、日本で永住する意思がある人たちであれば、どうでしょうか。そういった人たちは、日本の礼儀・作法もある程度染み付いているので、既存の社員と馴染みやすく仕事もスムーズにいきます。しかしながら、多様性という観点からは、軋轢も生まない代わりに変革も無いようにも思います。

以下の記事でも言及したように、ダイバーシティ(多様性)は単純な見た目・国籍・性別などの上部の属性だけの話ではなく、各人が持つ考えや経験や多様な知識があるからこそ、組織が活性化し、革新的な思考につながると私は考えています。

では、多様性のためには多少の軋轢は仕方がないのか?と言われると、それも違います。当たり前ですが、ギスギスした組織はどんな人にとっても居心地が悪く、パフォーマンスが下がってしまう原因になりますね。

多様性を推進=カルチャーフィットを捨てる ことではない

そもそも、「カルチャーフィット」している状態とは、どういう状態を指すのでしょうか?
カルチャーフィットしているというと、同質性の高い人材同士の仲良し集団のことをを連想しがちですが、実際は、カルチャーフィットは人材の同質性や均一性とは異なる概念です。
端的にいうと、カルチャーフィットとは、ビジョン・ミッション・バリューへの共感だったり、それに対する仕事の価値観・行動様式など、会社が目指す方向、作りたい世界観(つまり目的)を会社と従業員、そして従業員同士が共有している状態というものだと考えています。つまり、「多様性のためには多少の軋轢は仕方がない」ではなく、(経験や育った環境、性別、国籍は違うけれども)「根本のベース価値観は共有している」という状態が理想といえます。

多様性とカルチャーフィットの両立

上記でいうと、理想はAの状態で、目指す世界観は同じだが、その方法が異なるもの。つまり、向かっている方向は同じだが、考えが異なる仲間と共により良い解決策を模索しながら目標に近づいていくことになります。

とはいっても、なかなか、このカルチャーフィットしているかどうかを選考フェーズで見極めるのは難しいように思います。というのも人間はどうしても、自分と似ている(=同質性が高い)人間を高く評価しがちなので、同質性が高いことがカルチャーフィットしている状態と、錯覚してしまいがちです。つまり、上記で言うとBの状態に陥りがちです。

これから、外国人採用をはじめ多様性に富んだ人材ポートフォリオを構成していくにあたっては、従来の新卒採用の面接手法を一から見直す必要がありますし、そもそも今一度会社の目指す方向(社是やVMVでもなんでもいいけれど)を言語化し、それに伴いどのような人材を欲しているのか、という点を明らかにする行為を、もっと推進していかなければならないと思います。

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