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今日のあなたは昨日よりも成長できていますか?(『大学』傳二章)

今回取り上げるのは『大学』傳二章からの言葉。

苟に日に新たに、日日に新たに、又た日に新たなり
(読み:マコトにヒにアラたに、ヒビにアラたに、マたヒにアラたなり)

『大学』傳二章

自分の行動を昨日よりも新しく良いものにし、一日一日を重ねるごとに新しいものになるよう努力し、その上さらに毎日新しくなるように精進する、という意味。

つまり、今日は昨日よりも良くなるように、明日は今日よりもさらに良くなるように日々修養を重ねなければならない、という意味ですね。


夏王朝を滅ぼして殷王朝を建国した湯王(とうおう)は、この言葉をたらいに刻み、座右の銘としていました。

湯の盤の銘に曰く
(読み:トウのバンのメイにイワく)

『大学』傳二章

洗顔や湯浴みをするときに目につくようにしたのでしょうか。

もしかしたら、たらいに張った水で身を清める際、そこに刻まれた言葉を見て自らを戒めるとともに、心も清めていたのかもしれません。

国家のトップともなれば色々な誘惑にさらされるものです。

豊臣秀吉のように、頂点に駆け上がるまでは優秀でも、頂点に辿り着いてからは気が緩んでしまう人もいます。

後先考えずに贅を尽くし、尽きることのない野望の果てに朝鮮半島へ出兵した結果、子の秀頼の代に豊臣家は滅んでしまうわけです。

その点、殷の湯王は殷王朝の開祖として見事に国家を繁栄させています。

例え頂点に立ったとしても、今日は昨日より、明日は今日よりも成長できるよう、常に自身を戒めていたからでしょう。

日々自身を振り返り、改善を行い、昨日とは違う新しい自分になる。

「日に新たなり」という言葉からは、そういった日々改善を続けることの大切さをひしひしと感じます。

このような「日々の変化を積み重ねる」といった考え方は、『荘子』や『荀子』といった他の中国古典にも存在しています。

それぞれ、以前に取り上げたことがありますので、よろしければご覧くださいませ。

苟に日に新たに、日日に新たに、又た日に新たなり
(読み:マコトにヒにアラたに、ヒビにアラたに、マたヒにアラたなり)

『大学』傳二章

今日は昨日よりも良くなるように、明日は今日よりもさらに良くなるように日々修養を重ねなければならない、という言葉をご紹介しました。

何事もそうだと思いますが、ちょっとした油断が大きな失敗につながることがあります。

ある程度の成果を出したときこそ、今一度自身を見つめ直し、「果たして自分は昨日よりも成長できているのだろうか」と問いかけてみることが大切です。

例え1%の成長だったとしても、それを365日積み重ねると約37.8倍になります。

日々の小さな成長が、やがて自身を大きく飛躍させることになるのです。


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