【短編小説】我のできることは少ない。
せっかくの休みの日だというのに、今日は一日雨だという。
洗濯や家の掃除が済むと、途端にやることがなくなった。
普段は本屋に行くことが多いが、このところ買う本が多くて、家の本棚に本が収まらず、床にも積みあがっていた。その中に、読もうと思っていた本、つまり積読本もそれなりの数があるはず。
雨で外に出るのもためらわれるから、それらの積読本に手を出すかと、飲み物や軽食も準備して、本棚の前に立った。
こちらに向けられた背表紙を眺めていると、床に積まれた一番上の本が、音もなく開かれた。