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読書の記録 荒井裕樹『まとまらない言葉を生きる』

 この本がどんな内容だったかが僕の言葉ではうまくまとまらない、なんていう、つまらない言葉遊びでは絶対にまとめたくない本当に素敵な本に出合った喜びに溢れていて、かつ、読み終えたいま、深く考えさせられていることがあり、それを上手くここに書き切ることができるかわからないし、なんか上手くまとめようとするごとにこの本の本質から遠ざかってしまうような気もするからいっそのこと、何も書かずに「とにかく面白かったから是非皆さんも読んでください」とだけ書いて結んでしまいたいんですが、それはそれでもったいないし、なんか逃げてる気がするし。

 荒井裕樹さんという方を僕は朝日新聞のコラムで知りました。隔週1回くらい登場するんかな。なんというか、すごく心根の優しい方という印象があり、なんとなく名前を記憶しておいたところ、よくいく書店にこの本が置いてあったから半ば、運命じみたものを感じて購入しました。まえがきでいきなり「言葉が壊れてきた」と思うと書いてあり、その真意が続いていく。SNSなどでもよく見られる心ない言葉、誹謗中傷、それに政治家たちの重みのない空疎な言葉たち。言葉をなりわいとする人間にとってこれはなかなかツラい。大好きなものが大嫌いな使われ方をしている。言葉ってそんなんじゃないよな。本来の言葉のもつ力って、そんなんじゃないよな。そういう使い方はちがうよな。って僕もふんわり感じていたこと、荒井さんもそんなことを感じておられたみたいです。

 その「言葉の力」って、じゃあ何やねん?といわれても、なかなか簡単に言葉にできない。「要するに」とか「それってつまり」とか、そんな風にまとめちゃったら絶対に本質をつかめない。もっともっと説明しにくいものなんだから、その説明しにくさにちゃんと向き合うことが大切で、要約してしまったらいけないんです。まとまらない言葉はまとめなくてもいいんです。まとめちゃったら、そこからあぶれちゃうパーツが出てきてしまうから。いま僕はそうやってあぶれていたり、知らずうちに誰かをあぶれさせていたりしているかもしれない。どちらにせよ、もっと「言葉の力」って何やねん?ということに難しい問題やけども目を逸らさずに向き合い続けていくことで、輪郭くらいは見えてくるんじゃないだろうかって、じゃあ、そうやって向き合って生きていこうじゃないかって、読んだら、そういう前向きな決意を得ることができました。

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