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茜色の空にフレーバーミルクティー

「7月なのに、なんだか少しひんやりするねー。」

もうこのところずっと 梅雨空で、雨が降っていなくても、
雨雲が空一面に広がっている日が続いています。

「りこちゃん、寒くなぁい?」
「うん、寒くないよ。」
「寒かったら、膝掛けもあるし、暖房も入れるからね。」
こざる達は、りこちゃんが寒くなったり、また暑くなったりしないように
いつも気を配っています。

りこちゃんと こざる達は、
今日も いつものように 皆で一緒に 夕飯を 賑やかに食べて、
食後のお茶を飲んでいます。

「これは ななちゃんが送ってきてくれたんだよ。」
ななちゃんは、りこちゃんの昔からの友人で、
ずっと年下の若いお嬢さんです。

こざるちゃんが、りこちゃんに紅茶の缶を見せます。
りこちゃんも、ふむふむというように缶を見ます。

「この紅茶は、フランスの紅茶なんだって。」
「あら、そうなの。何だか洒落た缶だね。」

黒い缶に黄色いラベルがついています。

「マリアージュ・フレールっていうお茶屋さんの "赤い果物の紅茶"なんだよ。」
「そういえば、何だかフルーティーな香りがするよ。」
「うん、ちょっと甘いような感じもするね。」
皆、この紅茶を飲んで、感想を言います。

「"赤いベリーの午後の紅茶"って、ラベルに書いてあるよ。」
「そうか、アフタヌーンティーに合うんだね。」
皆は、優雅な午後のお茶の時間、アフタヌーンティーを思い浮かべます。

「いちご、木いちご、すぐり、さくらんぼの香りって書いてあるよ。」
箱の中の説明書を見ながら、こざるちゃんが言います。

「4つも入っているんだね。」
「だから繊細な ちょっと混ざり合っているような香りなんだね。」
「うん、甘い感じもするけど、爽やかだね。」
皆、ゆっくり味わって飲んでいます。

「美味しいねー。」
皆、笑顔です。

「うんと、ななちゃんはミルクティーにしても美味しいってメールくれたんだよ。」
「フレーバーティーなのに?」
「うん。フレーバーティーでも、ミルクティーにして美味しいものと そうでないものがあるけれど
この紅茶は ちょっとイチゴミルクみたいな甘い感じで合うんだって。」
「なるほど、美味しいかもしれないね。」
「そうかなぁ、フレーバーティーでも美味しいかなぁ?」
「ぼく達、アールグレイをミルクティーにして飲むよね。」
「あ、そうだね、美味しくて好きだよ。」
「ちょっと試してみようか?」
皆は、うんうん頷きます。

好みは、人それぞれです。
美味しいと感じる人、そう感じない人、
自由に好きなものを食べて、飲んでいいのです。
いろいろ試してみて、自分の好みがわかります。

「じゃあ、ちょっとお代わり淹れてくるねー。」
「うん、ミルクティーでお代わり!」

こざる達二人組のお茶チームが台所へ向かいます。

「あ! 今日も、雲の向こうに茜色の空が見えるよー。」
「本当だ! 夕焼け!!」
「雲の向こうは、いつだって晴れているんだね。」

曇っているのですが、その雲の薄いところから夕焼けが見えます。

ラジオからは、軽快なリズムにのって懐かしさを感じる歌が聴こえてきます。

「銀の花が散ってる風と陽ざしの中で
知らない町に来てる
目を閉じてかすかに響く列車の音に
心はゆられているの」

松任谷由実の『acacia(アカシア』です。

皆、ユーミンの歌を聴きながら、
茜色の空を眺めています。

「銀の花の押し花 栞にしてはさんだ
好きな詩のフレーズに
いつの日か誰かと開いて見つけたとき
笑えるような一途さで」

こざるちゃんが言います。
「この世界に夕焼けがあって 本当によかったね。」
皆、うんうん頷きます。


「なつかしすぎる未来が
たったひとつの探しもの」


こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
フレーバーティーは、暑い時にアイスティーで飲んでも爽やかですね。
よい毎日でありますように (^_^)

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