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皆でクンクン ビスケットのいいにおい

今日は 朝から気温が ぐんぐん上がって、既に夏のような暑さです。
5月だというのに、7月のような気候なのだそうです。

こざるちゃんは、落とし物を届けに、
駅前の交番へ行って、出て来たところです。

「今朝、こざるカフェの前の道に、鍵が落ちていたんだ。」
こざるちゃんが、開店の仕度をしようと、外に出たら
鍵が一つ、落ちていました。

「たぶん家の鍵だと思うから、交番に届ければ、
落とした人が 帰りには ちゃんと受けとって家に入れるから。」

そうですね。
落とした人は 鍵がないことに気がついて、
大変!! どこで落としただろうと心配しているでしょう。
「すぐ届ければ、連絡も早くついて安心するからね。」

それで、こざるちゃんは すぐに駅前の交番に
鍵を持って行きました。

「これで、一安心!」
一仕事終えた こざるちゃん、こざるカフェへと戻ろうとすると、
少し先に、立ち止まって、
ちょっと困っているような雰囲気の女性がいます。
白い杖を持っています。

「大丈夫かな?」
こざるちゃんは、そっと近くへ行きます。

女性は、足元の点字ブロックを杖で確かめるようにして、
そして 頷いて、改札の方へ行きます。

こざるちゃんは、女性が大丈夫かなと、そっと見守っています。

女性は、真っすぐに改札のところへ行って、
そして、ちゃんと駅員さんがいる改札口のところへ行きます。

「あー、よかった。大丈夫。」
こざるちゃんは、安心して、
こざるカフェへと続く道を歩いて帰っていきます。

こざるちゃんは歩きながら、以前、りこちゃんと 皆で、
お菓子の工場に見学へ行った時のことを思い出しています。

「お菓子の工場で、ビスケットを作っているところを見学したんだ。」
工場の係の人の案内で、ビスケットの生地を混ぜて、
ビスケットの形に切って、焼いて….と、製造工程を見て回りました。

「たくさんのビスケットが、ベルトコンベアに乗って、
出来上がっていきながら、どんどん流れていって、
最後はちゃんと箱に入って、完成するんだよ。」
こざる達は、すごい!!と感嘆の声を上げて見ていました。

その時、一緒に見学したグループの中に、
中学生くらいの女の子とお母さんがいました。
「女の子は白い杖を持っていたんだ。」

女の子は、係の人の説明をよく聞いて、頷いて 一緒に回りました。
こざる達は、ベルトコンベア上で
次々出来上がっていくビスケットを眺めながら、
女の子のことも、そっと見守るようにして見ていました。

「そしたらね、りこちゃんが
『ビスケットの いいにおいを 嗅いだり、音も聞こえるから、
ビスケットを作っている工場の様子は わかるよ。』って言ったんだ。」

こざる達が、女の子は ビスケット 見えないんだと
どこかで 思っているのを
りこちゃんが感じ取ったのでしょう。

「ビスケットが焼き上がるところでは、いいにおいがして、
ぼく達も皆、クンクンして、そしたら女の子も クンクンして
それで一緒に笑ったんだ。」

見学の最後に、工場の人がくれたビスケット、
箱に天使の絵が描いてある、とても美味しいビスケットでした。

「ただいまー。」
こざるちゃんが、こざるカフェに戻ってきました。
「おかえりー。」
「鍵、ちゃんと届けたよ。」
「よかった!」
「今日のおやつは、天使の絵の箱のビスケットにしようよ!」
「うん!」
「ちょっと りこちゃんに言ってくるねー。」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり、
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日は更に気温が上がるようです。
水分補給をしっかりなさって、どうぞ気をつけてお過ごしください。
よい毎日でありますように (^_^)

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