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物憂げな空と ジムノペディ

 今日は朝は晴れていましたが、だんだん曇ってきて
気温も どんどん下がっていき、風も冷たく吹いています。

「明日は朝から一日、雪の予報だもんね。」
こざる達は、曇って物憂げな空を見ています。

 ラジオからは、その空に合わせるかのような
物憂げな ピアノのメロディが聴こえてきます。
エリック・サティの『ジムノペディ』と紹介されています。

「あ、サティなんだ。」
「知ってるの?」
「あのね、今、読んでいる本に、載ってたんだよ。」

こざるちゃんは『天才たちの日課』という本を読んでいます。

「へー、そうなんだ。」
「フランスの作曲家なんだけど、
まるで日本の猛烈サラリーマンのような毎日を送っていたんだ。」
「たくさん働いていたの?」

「うんとね、毎朝、パリの郊外の自宅を出て、
10キロくらい歩いてパリまで行くんだ。」
「10キロも??」
「毎日?」
「うん、それで友人の家やカフェを訪ねたりして、作曲していたんだよ。」

 サティは、ほとんど毎日、自宅からパリへ歩いてやってきて、
友人宅やカフェ、レストランで過ごしていたそうです。

「それでね、終電に乗り遅れると、
また10キロくらい歩いて自宅に帰ったんだ。」
「そうかー、カプセルホテルなんてないもんね。」

そうですね、1900年頃のパリですから。

「そうして家に着くのが夜明け近くになったりしても、
朝になるとまたパリに出発したんだよ。」
「それは、日本の猛烈サラリーマンみたいだね。」
「自分の家で、ゆっくりしていた方が楽なのにねー。」
「そうやって、毎日歩いて出かけてアイデアが浮かんだのかもねー。」

 曲が終わって、こざる達は、外を眺めます。
「ぼく達も、歩くと何かいいアイデアが浮かぶかなぁ。」
「うーん、でも寒そうだよ。」
「風邪ひいて、りこちゃんにうつしたら大変だからね。」

「あ! 」
こざるちゃんが何かひらめいたようです。

「何? 何?」

「今日は寒いから、おやつは お汁粉にしようよ!」
「うん、そうしよう!」

食いしん坊のこざる達の創作活動は、
どうしても食べることになるようです。

「りこちゃんのとこに 行ってくるねー。」

今日も こざるカフェは、ゆっくりゆっくり
のんびり穏やかに時間が流れていきます。

『天才たちの日課』メイソン・カリー著
金原瑞人・石田文子 訳
フィルムアート社


読んで下さって、どうもありがとうございます。
4月の気温の日があったと思ったら、
雪になったり、寒暖の差が大きすぎますね。
よい毎日でありますように (^_^)


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