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感動する心を持って、羽ばたいて

「日がのびたねー。」
「うん、もう5時半になるのに、まだ明るいねー。」
こざる達は、夕飯の仕度をしています。

「一週間後は、春分だよ。」
「この前、冬至で、クリスマスで、大晦日で、お正月だったのに。」
「本当に早いねー。」
こざる達は、うんうん、うなずいています。

「もうすぐ、きよし君、アメリカに出発だね。」
「早いなぁ。」

 きよし君は、りこちゃんと こざる達の昔からの友人です。
50代半ばで、4月からアメリカの事務所に転勤なのです。
きよし君は、ずっと国内勤務だったのですが、
青天の霹靂、なんと初めての海外赴任なのです。

 最初、きよし君は迷ったそうです。
定年まで、このまま 今まで通り 働くか、
新天地で、新しいことを始めるのか。
高齢となった親御さんのことも心配です。

 でも奥さんが、きよし君にこう言いました。
私が、こっちにいるから大丈夫。
もしアメリカで、やってみたいと思うんだったら、
こんないい機会は二度とないのだから、
安心していってらっしゃい、と。

それで、きよし君も、よしっ!と行くことを決めたのです。

「若い時に新しいことに挑戦するよりも、
あと少しで定年になる年代だから、
すぐに適応できないかもしれないけど。」
ちょっと恥ずかしそうに言っていた きよし君。

こざる達は、こう言いました。
「りこちゃんが、前に言ってたんだけど、
新しいことを始めるのに、年齢は関係ないよって。」
「りこちゃんが、絵を描いたり、歴史の勉強を始めたり、
新しいことを始めたのは 60手前くらいだったんだよ。」

りこちゃん世代の女性の多くは、そうかもしれません。

「経験していることが多いと、
何でも見慣れてしまって、当たり前に感じてしまうけれど、
だからこそ 頭をやわらかくして、新鮮な目で見れば、
世界が広がるよ、って。」

りこちゃんは、いくつになっても感動する心を持っていないとね、
と言っていました。

「きよし君なら、大丈夫だよね。」
「うん、アメリカから楽しい便りが来るよ。」

「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんは、嬉しそうにりこちゃんの部屋へ向かいます。

「りこちゃーん、もうすぐ夕飯だよー。」

今日も こざるカフェは、ゆっくりゆっくり、
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
あちこちで大移動、大異動の春です。
よい毎日でありますように (^_^)


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