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世界電子政府ランキングを正しく理解して考えなければならないこと4

第4回目ということで、引き続き国連UNDESAが発表した世界電子政府ランキングについて書いていきたい思います。これで最終回となります。

▼第1回目、第2回目、第3回目のnoteはこちら▼

第1回目第2回目

改めてE-Government Surveyとは

国連の経済社会局(UNDESA)が、2年ごとに行っている国連加盟国の政府電子化を、いくつかの指標を用いて調査している報告書になります。

EGDI(E-Government Development Index)と呼ばれる指標値を用いて、各国の電子政府開発の進捗状況をまとめられております。また、EGDIはOSI/HCI/TIIという三つのの指標値の平均値に基づく複合指標になっています。第2回目のnoteご覧ください。

この指標値やEGDIのランクが高い低いが重要なのではなく、2030年までに達成すべきSDGsで掲げている世界共通の目標とゴールに向けての活動が重要です。EGDIを元に自国のポジショニングを俯瞰してみることで、今後のアクションや改善点などを考えていくためのツールがこの調査となります。

都市の電子化評価

本調査では国家の電子政府化の評価を行ったものですが、2018年の調査から都市の電子化評価も始まりました。LOSI(Local Online Service Index)という指標を用いて、世界100都市の評価も合わせて行っており、本資料の中に記載がされていました。

まず、なぜこの調査も行ったか?ということに関してですが、国民は国よりも地方自治政府に近い距離にあり、接する機会も多いと思います。そのため、政府ポータルよりも地方自治政府ポータルのほうがより重要になり、市民参加型の課題解決につながるのではないか、ということで2018年より調査が開始されています。

LOSIの評価項目

LOSIは大きく4つの指標を元に、都市ランキング化されています。

①Technology(技術)
→アクセスのし易さ、クオリティ、機能性、信頼性、ナビゲーション、ビジュアル、技術標準との整合
②Content Provision(コンテンツ提供)
→重要な公開情報とリソースがオンラインで利用することができる
③Service Provion(サービス提供)
→サービスの可用性と提供
④Participation and Engagement(参加と関与)
→地方自治行政への市民参加機会のための仕組みづくり

EGDI(E-Government Development Index)では、OSI/HCI/TIIの3つの指標を用いて算出されていましたが、LOSIではOSI(Online Service Index)のみ活用されており、調査員が各都市ポータル(ホームページ)を一つ一つチェックし採点がなされています。

なので、HCIやTIIを電子政府評価に使うことは少し疑問がありましたが、LOSIはEGDIよりも電子化の評価としては現実的ではないかと思っています。

東京は24位

東京は100都市中24位と言う結果のようです。それでは各評価項目はどうでしょうか。

Technologyでは第1位、コンテンツ提供で第16位となっています。理由はどうあれ、第1位はやはり都民としてはなぜかうれしく感じますね。それでは何が評価されたのでしょうか。アクセスのし易さ、クオリティ、機能性、信頼性、ナビゲーション、ビジュアル、技術標準との整合がTechnologyの評価指標だと前述しましたが、具体的には何なのでしょうか。

Mobile device accessibility
Browser compatibility
Ease of portal finding
Internal search mechanism
Navigability
Portal loading speed
Foreign language support
Internal advanced search mechanism
Customizaion of display features
Alignment with accessibility standard
Alignment with display standards
Alignment with markup validation standard

これでもなんだか良く分かりませんが、要は都市ポータルのつくりそのものを評価されているようです。つまり、東京都のHPは良く出来ているということでしょうか。確かに「音声読み上げ」や「外国語対応」などがあり、速報もタイムラインになっており、公開情報も各種ごとにタイル式になっているので、HPとしてのつくりは良く出来ているかもしれません。他都市との比較をしないと何ともコメントしずらいですが。

結びに

4回にわたりE-Government Surveyについて書いてきましたが、思った以上に今後の政府のデジタル化を考えていくうえで、大切な気づきがありました。

しかし、何度も申しあげている通り、重要なことは電子化・デジタル化を進めることが目的ではなく、国民の生活利便性の向上、政府・自治体の情報公開による透明性向上だと思っています。
電子化・デジタル化は手段の一つにすぎず、何のためにやるのか?やっているのか?を我々国民側も理解することが大切だと思います。なので、何でもかんでもオンラインにすれば良いというわけではなく、オンライン・オフラインの両方をきちんと使い分ける。例えば本当にセンシティブな内容はきちんとオフラインで対面で人対人で対応し、簡素化すべきことはオンライン化が求めらるべきと思います。

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