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インタビュー調査でのイシューを見極める設問設計

みなさんはインタビュー調査をしたことはありますでしょうか?今日はプロダクトを作ったり、改善するときに行うインタビュー調査で、押さえておくべきことをお話ししたいと思います。本記事は、競合企業でも行われると厄介なので、途中から有料とさせていただきます。

1.インタビュー調査の必要性

そもそも、インタビュー調査って必要なの?コストをかけてやる必要があるの?と思う方といると思います。確かにインタビュー調査はとてもコストがかかります。調査会社にお願いすると100万円はかかりますし、その準備に数週間取られます。そこまで時間をかけてやる必要があるのでしょうか?

断言してやる必要があるとYKは言えます。やる必要性があるから、大手企業で特に市場でNo.1になっている企業はやっていることが多いわけですが、なぜそこまでコストをかけるか?というと、まず、今の世の中は、インターネットが普及して情報というのは人間が受け取れないほど溢れています

資本主義におけるものづくりというのは、戦国時代で言えば、戦場のど真ん中です。戦いにおいて最も重要なものはなんでしょうか?力でしょうか?みなさん、わかっているように情報を制するものが戦いを制します。孫子もそう言ってます。

孫子いわく“名君賢将の動きて人に勝ち、成功、衆に出づる所以のものは、先知なり”

https://www.ipma-japan.org/elearn/e-learn_6-02/4-1.html

A社とB社でものづくりをするメンバー個人の能力に違いなんてほぼありません。持っている情報が同じであれば、おそらくA社とB社の人が入れ替わっても、シェアは変わらないでしょう。

戦略というのは情報が全てです。その情報にコストをかけないと言っているのは勝負を放棄しているのと同じです。

自分達しか知り得ない情報をいかに知るか?この作業にインタビュー調査というのはあたります。いわゆる1次情報といわれるものです。令和になった時代に、2次情報になんの価値もありません。

1次情報の種類に関しては、以下のnoteで話しておりますので、参考にしてもらえればと思います。

では、インタビュー調査でどのようなことを聞くべきなのでしょうか?

2.インタビュー調査で抑えるイシュー

では、実際にインタビューをYKが行うときに考えることを説明していきたいと思います。

目的と明らかにするべきことを定義する

まず、インタビュー調査で明らかにするべきことを定義します。定義するというのは一言で言えるように言語化するということです。

例えば、自社が金融事業をしていて、新しい領域に参入したいと考えているとします。金融事業の事業拡大ということで、領域=保険、証券、銀行・・・というイメージでいきましょう。その場合定義としては、

自社が金融事業をさらに発展させていくにあたって、どのような領域(商品ジャンル等)で、どのように取り組んでいくべきなのか?を明らかにする

というように定義します。商品の方向性とその取り組み方をユーザーインタビューからニーズを把握し、導き出すということを活動として行うということになります。このようにすると、明らかにするべきことが分解しやすくなります。上記の定義を書くと

・領域の広がり:規模と市場構造などのマーケット把握
・各領域の抑えどころ:現在のプロダクトとチャネル選択の一番のニーズは何か?(立地なのか?価格なのか?アプリなどの利便性?信頼できる営業?情報源は?など)。現在一番のニーズとなっているところ以外に徐々にニーズが高くなってきているもの(=レバー)はないか?
・自社はどの領域であれば勝負できるのか?自社の強みは?ユーザー視点で競合優位として活かせるところは?参入できないところは?それはなぜか?競合の強み弱みは?現在誰もいないオポチュニティはあるか?
・新しい事業は、誰をターゲットとして考え、具体的に何をしていくべきのか?


というようなことを、わかる必要があるというように考えられます。インタビューで最低限押さえなければいけないのは、市場構造についての情報です。

誰が何のためにプロダクトを使っているのか?その目的は?複数使うことはあるのか?その使い分けは?もしそのプロダクトがなかったら代替物はあるのか?あれば何になるのか?入り口(きっかけ)となるプロダクトは何だったのか?

みたいなことが聞けたら、基本的には構造は理解できます。

3.インタビュー調査の流れ


では、実際のインタビューで市場構造の理解のために、押さえておくべきインタビューの流れを説明していきます

1.個人のプロファイル

一番初めに押さえなければいけないのは、インタビュイーの個人のプロファイルです。この質問はインタビューされる側も答えやすいので、一番初めに聞き、インタビューの流れを作るという役割もあります。
 

・年齢、性別、家族構成(金融のインタビューであれば、未既婚、共働き、子供有無などの細かさで聞く。なぜならそれぞれの状況で、お金の状況はで全然違うため)
・仕事:どこで何をやっているのか?(金融の場合は、職種、役職まで細かく)
・趣味:どれぐらいお金をかけているかも?
・住んでいるところ:駅だけでなく、持ち家か賃貸なのか?マンションなのか?戸建てなのか?駅からの距離や部屋の広さなど
・その他:金融の場合であれば、家や車などの所有物も


 

という感じに、結構細かく聞きます。これぐらい細かくないと後で、ユーザーの行動や考えを聞いたときに理解ができなくなったり、インタビュー後に聞き忘れたことも想像できなくなります。また、ペルソナを作る場合でもこれぐらい必要です。お金を払って聞いているので、遠慮なく聞きましょう。

2.基本的なU&A


次に聞くのが、基本的な利用状況です。U&Aと言います。英語でUsage & Attitudeとなります。

今回は、金融事業の場合なので、

・ニーズの発生頻度:プロダクトの利用頻度
・利用金額:プロダクトの利用金額
・そのタイプ分け:プロダクトの使い分け。日常と非日常など。例えば、EC事業であれば、日々の買い物、EC、自販機、コンビニと別れるようなもの
・利用理由:ニーズがどのような手段で満たされるのか?
・利用理由の深掘り:なぜそれを使っているのか?
・利用きっかけ:その情報はどこから得たのか?どうしてそうすることになったのか?表面的なことを聞く(金融の場合は、アドバイス歴や、相談歴も)
・現在のプロダクトへの不満:ソリューションの不安、ペインポイントの有無の内容と所在

というものを聞きます。ここで大事なのは、プロダクトのタイプ分けです。プロダクトを使い分けているということは、満たされているニーズが違うということになります。同じようなプロダクトを2つ使い分けている人がいたら、チャンスです。特にシェア1位のプロダクトをメインで使っているのに、もう1つ使っているというのは、シェア一位のプロダクトがニーズを満たしきれていないというFACTになり、そこに漬け込む隙があることを示しています。

言い忘れましたが、このようなインタビュー調査で、インタビューをすべき人はヘビーに使っている人で、特に今お話したように複数のプロダクトを使い分けている”変態”的な人を呼ぶのが、インタビューを成功させる上で大事です。

ユーザーのニーズというのは時代と共に変化をしていくので、シェア一位がずっとそのニーズを捉えていれば、勝てないですが、だんだんずれてくるのがほとんどです。なぜなら、うるさい固定客がいるとあまりプロダクトを変更できないというジレンマに陥るからです。このチャンスを見逃さないようにしましょう。

ここまで聞けたら、あとはインタビューで聞いたことを整理すればよく、一旦、ヒアリングは終わりで大丈夫です。

3.インタビューの整理

以下が、報告できるイメージができたら、インタビューとしては合格です。

■顧客観点での市場構造の理解
・ニーズがどのように生まれるのか?ニーズの広がりと、規模、発生タイミングとキッカケ
・それがどのような手段で満たされるのか?プロダクトとチャネルの区別できるメッシュで。ここでいうメッシュというのは
プロダクトのレベル:生命保険商品(商品名)
ブランドのレベル:どの会社
チャネルのレベル:代理店、ネット販売
というメッシュになります。

さあ、上記に答えられますでしょうか?

(番外編) インタビュー調査で、うまくインタビューするためのコツ


も少しお伝えしておきます

・「一般的な意見ではなく、個人の意見が聞きたい」と先に言っておく(50代男性は一般的な意見を言いがちだが、それは時間の無駄)
・最初は趣味の話を混ぜて、喋りやすい雰囲気に(人間、好きなことはしゃべりたい)
・グループインタビューでは、なるべく男女を分ける。男女同じにする場合は男女比率を同じにする(異性が入ると特に男性は、見栄などで意見が歪む。少数派というのはしゃべりづらいもの)
・どうしても比率がずれる場合は、しゃべりにくい人から話を振っていく
・プロダクトの良い点、悪い点などを話すう場合は、基本的にポジティブな意見から聞く。(ネガティブな意見の後にポジティブなことは言いづらい)
・グループインタビューで、長くしゃべる人にはなるべく話をふらない

ということをあたまに入れて、おくと良いでしょう。

また、YKが上司や先輩にいただいたアドバイスも載せておきます。

・自分の喋る分をなるべく減らすようにする。自分が喋ろうとすることを相手に喋らせる
・相手がすぐに思い出せない時は、今日は何を見ました?など具体化して思い出してもらう
・相手がLINEのことをメールと言ったら、メールという。チャットなどと言い直さない
・一瞬、自分が理解できないことを相手に話していても、相槌はしっかり打つこと
・相手が話しているときに言葉をかぶせない(終わらせたい時は別)
・ホワイトボードに書きすぎるとテンポが悪くなる

ということを頭に入れてインタビューにのぞむと良いインタビューができるようになります。YKは入社して、毎月のようにグループインタビューをしていた時期あり、初めは逃げ出したいぐらい苦手で、苦痛で、泣きそうになりながら仕事をしていましたが、回を重ねるごとに慣れていき、今では人に教えれるぐらいになりました。キャリアとしても、YKは分析が得意ですが、数字が強い人でインタビューもできるという人は会社にあまりいませんので、結果として良いポジショニングができているので、本当に当時の上司や先輩に感謝しております。

私の記事を読んでいる人は分析系の人=左脳を使うのが得意が多いかもしれませんが、ぜひこのような右脳系の考えも取り入れていただければと思います。参考になれば幸いです。

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