見出し画像

130年の時を超え”人気上昇度No.1の街”に根付く歴史的街並みを味わおう!地元民が紹介するゆるランコース in 流山

初めまして。自称”ゆるランナー”の久我山タカヒロです。

みなさん、流山おおたかの森という街の名前をご存じですか?

千葉の流山市にあり、茨城県のつくば市と東京都の秋葉原を結ぶ「つくばエクスプレス」(以下、TX)を通る駅です。

流山おおたかの森の凄さは、”房総のチベット”とも揶揄された流山市の一角を成すこのエリアが、2005年のTX開通後に驚くべきスピードで整備されたところにあります。

下の空中写真は通り、1989年(左)は家以外には田畑と森しか無かったのが一転、2019年(右)はTXの駅を中心にキレイに開発されているのが分かります。
(ちなみに、2019年撮影分では駅の左上にある空地にも、現在はショッピングセンターや温泉施設などが建てられています。)

(出典:「地図空中写真閲覧サービス」(国土地理院)(https://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1049601)及び(https://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1853526)を加工して作成)

「母になるなら、流山。父になるなら、流山」というキャッチコピーの下、小さなお子さんをもつ子育て世代の間で人気が爆あがり。

流山市は、総務省の人口動態調査で、全国の市の中において6年連続人口増加率1位(2023年1月1日時点)を記録。

また、「首都圏版SUMO住みたい街ランキング2022」の「得点ジャンプアップした街(駅)」で1位となり、近年”人気上昇度No.1"の街と化したと言っても過言ではないと思います。

しかし、おおたかの森がある流山市の魅力はこれだけではありません。流山市には江戸時代後期から明治時代にかけて栄えた歴史的な街並みを受け継ぐエリア(流山本町)もあり、同じ市内でも130年の時を超えた新旧のコントラストが楽しめます。

(本町通りの呉服新川屋店舗は明治23年/1890年築)

ということで今回は、2カ月前におおたかの森駅周辺に移り住んだ私が、このエリアをサクッと楽しめる”ゆるランコース”をお伝えします。

"人気No.1の街”の中心は一つじゃない!?

流山市は時代ごとにその中心が変化してきたという点で非常に面白い街だと思います。

流山市は次の4つのエリアに分かれています。

(流山市の交通網。緑色で囲んだエリアが流山本町)

【エリア①】流山本町

江戸時代以前から続く歴史的エリアです。この地域は江戸川の東岸に位置しています。

江戸時代に利根川が東に移されるのと同時に、幕府は新たに江戸川を開削しました。そして、この江戸川が流山のそばを流れることになったのをきっかけに、江戸時代の後期には東北や北関東から江戸へと至る水運の物流拠点として栄えました。

しかし、この活気は明治時代に物流の主役が鉄道に取って代わったことで終わりを迎えます。

1886年に開通した現在のJR常磐線は、このエリアを通過する案も浮上したものの、水運業界の反発を受け、実際のルートは流山市をかすめる程度にまで中心から遠ざかってしまいます。

この”失敗”以降、流山市は都市圏の発展から取り残されてしまいました。そして、この教訓から都心に繋がる路線を通すことが流山市の悲願となりました。

【エリア②、エリア③】江戸川台、南流山

1911年に現在の東武アーバンパークライン(大宮~船橋)が開通し、戦後の1957年には江戸川台駅周辺が田園調布をモデルに開発されます。

そして、1973年にはJR武蔵野線南流山駅が誕生しますが、京葉線に乗り入れなければ都心にはつながりません。

それゆえ、この2エリアは今回の”ゆるラン”コースでは割愛します。

【エリア④】おおたかの森駅

流山市にとっての”悲願”が達成されたのが、2005年のTX開通でした。

流山市を通るTXの3駅の中で、おおたかの森駅は、以前から存在した東武アーバンパークラインと交差したことで劇的に利便性が向上しました。

(最高時速130kmのTX開通後おおたかの森〜秋葉原間は最速25分となった)

TX開通以前は、地元の方曰く「森しか無かったので実際にオオタカ(駅名の由来)がたくさんいた」というほど”未開の地”だったそうです。

しかし、かえってその未開具合が功を奏したのか、駅前の大規模な開発が可能となり、爆発的な人口流入を生んだようです。

TX開通2年後の2007年、高島屋系列のデベロッパーが駅前に「高島屋ショッピングセンター 本館」を手がけたのを皮切りに、15年後の2022年までの間でショッピングセンターの別館が3つも開業しました。

その間、駅周辺の空き地には次々とマンションが建設され、以前とは様子が一変するに至ったのです。

流山を走ろう!

ランニングコース概要

距離:7km
所要時間:約1時間
コース概要:キッコーマンアリーナ(TX流山セントラルパーク駅)→流山おおたかの森駅周辺→流山本町→キッコーマンアリーナ


今回ご紹介するのはTXの流山セントラルパーク駅にあるキッコーマンアリーナを起点とした周回コースです。

私が調べた限りでは、流山市内にはランニングステーションがないためキッコーマンアリーナを利用しましょう。

メインアリーナ入り口の横にある更衣室は利用料無料なのがありがたい。利用にあたり必要なのは、実質温水シャワー利用料100円のみです。
(その他ロッカー利用に100円必要ですが返却式です。)

(キッコーマンアリーナ正面入口)

【ゆるランスポット①】流山おおたかの森駅周辺

キッコーマンアリーナを出て1.5㎞ほど北東へ進むと流山おおたかの森駅に出ます。

さすがは子育て関連サービスに力をいれている流山。休日のショッピングセンター前の広場は、少子化が叫ばれている昨今において目を疑うほど子ども連れで賑わいます。

(高島屋ショッピングセンター。イオンを小ぶりにして高級にした感じ)

おおたかの森駅西口のロータリーを左に出て1㎞進むと、右手におおたかの森小中学校が見えます。

(2015年開校のおおたかの森小中学校)

そして驚くことに、そのあとわずか300m先には、来年開校予定の別の小学校があります。

(新設・市野谷小学校(仮)の建設現場)

さらに、おおたかの森小学校から1.2㎞離れた場所にはおおぐろの森小学校(2021年開校)もあり、TX開通以前から存在していた小山小学校も加えると、来年にはおおたかの森駅から1.5㎞圏内に小学校が4校存在することになります。

全国で小学校の統廃合が進む中、このように小学校が相次いで設立される様子からも、このエリアが急激に成長していることがうかがえます。

【ゆるランスポット②】流山本町

新設市野谷小学校からさらに約1.3㎞進んで左に曲がると、歴史的エリアの「本町通り」に出ます。

(地図上オレンジの箇所が本町通り。今回は右端の大杉神社から左へ南下する。)

ここから本町通りの地図真ん中の「流山キッコーマン」までの1㎞は、通りの左右に明治時代からの古民家を活用した店の数々を見ながら走ります。

(本町通りには歴史的建造物が並ぶ)

流山キッコーマンまでの途中には、通りの右側に明治35年(1902年)創業の和菓子「清水屋本店」があります。

平成26年に国の有形文化財(建造物)に登録されていて、店名が刻まれたモルタル製の看板は120年もの時代を感じさせます。

(和菓子・清水屋本店)

店の名物は、創業以来使い続けているレンガ釜土で作る「陣屋もなか」「万上せんべい」。それぞれ1個ずつ買えるので、ここでエネルギーを補給しましょう。

「万上せんべい」は薄い瓦せんべいのような感じ。流山名物みりんを使っているだけあり、ほんのりとした甘さが感じられます。

また、「清水屋本店」の向いにあるのは「流山万華鏡ギャラリー&ミュージアム」

(流山万華鏡ギャラリー&ミュージアム)

ここは明治22年(1889年)に「寺田園」の店舗兼住居として建てられた土蔵をリニューアルし、去年1階にカフェ、2階に万華鏡ミュージアムとしてオープン。

2階のミュージアムには、この近辺にお住いで世界的に有名な万華鏡作家・中里保子さんの作品を始めとした万華鏡の数々が展示されています。

展示物の中でも目を引くのは「カトレア」(若林寛氏作)。「洋ランの女王」との異名を持つ花を形どったスケールの大きな一作です。

(万華鏡ギャラリーはぬくもりを感じる木造作りの室内に幻想的な万華鏡が並ぶ)

「流山万華鏡ギャラリー&ミュージアム」から南下すると、「流山キッコーマン」があります。

(流山キッコーマンの外壁を利用した「まちなかミュージアム」には、流山名物・2大みりんのポスターのイラストなどが見られる。)

醤油の製造で有名なキッコーマンは、流山市の北にある野田市が拠点ですが、流山名物のみりんにも関係があります。

流山みりんの発祥は、この場所が水運で栄えた江戸時代後期です。

元々関西から伝わってきたみりんは、茶色く濁っていました。そして、このみりんを、酒造業のノウハウを備えていた流山の人々が、江戸の人々に口に合うように開発したのが、淡く澄んだ色の「白みりん」でした。

流山では、秋元家と堀切家がそれぞれ「天晴(あっぱれ)」と「万上(まんじょう)」というブランドを開発しました。

(2大みりんブランドのポスター)

のちに流山は、京都・伏見、愛知・三河と並ぶみりんの名産地としてその名を知られるようになります。2018年現在も、千葉県はみりんの生産量第1位を誇っています。

そして、キッコーマンがこの「万上」を受け継ぎ、堀切家の醸造蔵があった地に流山キッコーマンを設立するに至りました。現在、この工場では「マンジョウ本みりん」を製造しています。

その後流山キッコーマンから500mほど北上すると、ローカル線の「流鉄(流山鉄道)」の始点・流山駅があります。

流山駅は流鉄が営業を開始した1916年の駅舎をそのまま使っています。6駅(計5.7km)いずれも有人駅という珍しい路線で、ピーク時でも1時間に4本しか電車がありません。

電車の車体は、味わいがあり歴史を感じさせます。また、発車の直前にジジジジジという鈴のサイン音が鳴り、駅員さんがお年寄りに乗車を促す光景には、思わず微笑んでしまいます。

(流鉄・流山駅)

ここから2㎞弱東に進むと、キッコーマンアリーナに戻ってきます。

今回は紹介できませんでしたが、流山本町エリアには新選組の近藤勇が処刑される前に土方歳三と別れた「近藤勇陣屋跡」や、小林一茶が足繫く秋元家を訪れたことに由来する「一茶双樹記念館」など他にも見どころがたくさんあります。

(一茶双樹記念館は今が紅葉のピーク)

また、サウナ好きの方には、おおたかの森駅近くの「スパメッツァおおたか 竜泉寺の湯」がオススメ。「ドラゴンサウナ」では毎時00分に5台のロウリュが一斉に蒸気が噴き出します。

スパメッツァを利用する場合は、おおたかの森駅を起点にして、駅かショッピングセンタ-のロッカーに荷物を預けましょう。

今後も流山周辺のランニング情報をお伝えできればと思いますので、お楽しみに!みなさん、良きランニングライフをお過ごしください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?