デザイン発注者が知っておくべきこと(3/5回)

デザイン発注者が知っておくべきことと題して全5回に分けて書きます。本記事は第3回。
第1回はこちら。第2回はこちら

デザイナーとの契約

デザイン業界は非常に契約トラブルの多い業界です。
知的財産、無形の価値を売買する産業のため、契約や事前の相互理解が非常に重要な領域です。他の業種の人からは信じられないと言われる実態として、小さな事業者やフリーランスのデザイナーは契約書をちゃんと交わさずに業務を始めてしまうことも多く、またデザイナーの実働や貢献はわかりにくい場合も多いのが発注者側とのトラブルの元になるようです(事例については後述します)。

以下の項目は、発注側として依頼前に確認・協議を必ずやっておくべき項目でしょう。通常、大企業との仕事が多いデザイナーや中規模以上のデザイン会社はこれらの協議プロセスの実施を提案してくるでしょう。もしデザイナー側からこれらの話題が出てくる雰囲気がない場合は発注者側から持ち出すのがよいでしょう。

NDAについて
NDA(秘密保持契約)を結んだ上で、あやふやでない事前情報共有をしましょう。

契約書について
そもそも契約書をちゃんと巻かずにスタートしてしまうデザイナーも少なくありません。契約書は時間も手間もかかるものですが、必ず発行するようにしましょう。何度も法務担当者のレビューを経て利用されている雛形を持っているデザイナーもいるので、それらをベースに構成するのもやりやすいでしょう。

知的財産について
デザインは知的財産を創出する活動です。プロジェクトで生まれた特許や意匠権を申請する際の権利者や出願時の記載に関する取り決めも契約時にしておきましょう。

仕事の期間について
デザイナー側に伴走してもらう期間をしっかりと決めて時間的リソースを確保してもらいましょう。プロジェクトの遅延や延長のリスクも鑑み、少し長めにとってもらえるか交渉しましょう。

仕事の時間帯について
エディトリアルやグラフィックのデザイナーなど出版や広告などの深夜まで働く人が多い業界と仕事をしているデザイナーとそうじゃないデザイナーはオンタイムが違います。プロジェクトが始まった際のコミュニケーションできる時間、主な連絡手段などはしっかり決めておきましょう。

諸経費について
物品購入や機材、印刷業者や試作業者への発注などが必要なプロジェクトの場合は、それら費用の負担や申請、確認の方法を決めておきましょう。

支払いタームについて
プロジェクトのフェーズごとに請求としてもらうか、月ごとにしてもらうか、完了後の一括にしてもらうか、翌月支払いなのか翌々月かなどお金周りは非常に大事なところなのでしっかりと決めておきましょう。

終了と修正について
何を持って終了とするのか、修正は何回まで、どのくらいまで対応いただけるのかなどをしっかりと取り決めましょう。これについては文書では完全に完成基準を記述するのは難しいのですが、なるべくトラブルがなくなるよう様々なケースを予測して合意をしておきましょう

瑕疵担保について
何を持って瑕疵とするのかなどを話し合っておましょう。

請負型と準委任契約について
納品を業務とするのか(請負)、一定期間の役割を業務とするのか(準委任)、明確にしておきましょう。デザインの領域によっても妥当な契約形態が違うのでちゃんと協議の上、書面に落としましょう。発注側の意思決定の遅延などで完了が左右される請負型は、デザイナー側が遅延期間に損害を出すことないようなフェアな契約をするとお互い気持ちよく仕事ができるでしょう。また発注側社内で、いつまで経っても意思決定できない問題を外圧的に回避しやすくなる効果もあります。

契約外打ち合わせについて
契約前の打ち合わせや依頼業務と直接関連がない打ち合わせはデザイナー側にとっては無償労働になるということを意識しましょう。何度も契約前の打ち合わせを重ねると、ビジネス感覚のないクライアントと判断され、依頼をやんわり断られることもあります。プロジェクトの内容について共に多くの事前検討を頼みたい場合は、それ自身をタイムチャージなどの有償で依頼しましょう。

実際はまだまだ多くの項目がありますが、最低限上記は合意を取るべき項目です。
これらの協議と合意を経ることで発注側とデザイナー側双方のストレスが少なくなることでしょう。

これらを含む事項をしっかりと弁護士(or法務部門)のレビューを通した契約書で発行することで無駄なトラブルの発生を防ぐことができ、発注側のプロジェクト計画はしやすくなるはずです。

次回はデザイナーとのプロジェクト進行について

(リアクションやコメント等頂いたら追記したり修正していくと思います)

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