見出し画像

イエナプランに学ぶ日々の実践

 この間のお話し会で話した私の実践について、今日は書いていこうと思います。
 私が主に取り組んでいる実践は、①自由進度学習、②哲学対話、③多数決で決めないクラス会、④会社活動です。
 自由進度学習は、今はまだ算数科のみで取り組んでいることですが、基本的には個別学習が主で、一斉授業はしていません。イエナプランの理念や元小学校教員で今はオルタナティブスクールを経営されている蓑手さんの実践(著書「自由進度学習の始め方」)を参考にしています。1時間の流れは、10分間のミニレッスン(新しい知識や課題等について簡単にみんなで共有する時間)→個別学習(約25分間)→答え合わせ・ふり返り(10分間)という感じです。今日までに終わる最低ラインの課題のみを示し、あとは学びマップ(単元ごとの学習計画表)を頼りに、自分でどんどん進めていきます。一人でやるもよし、友達と相談したり、教えてもらったりしながらやるのもよし、どのように、どこまでやるかは自分で決めていきます。その間、私は子どもたち一人一人の進度を確かめたり、困っている子にアドバイスしたりしながらぐるぐると教室内を回っています。ふり返りでは、わからなかった問題を書くこと、そしてどうしたらそれがわかるようになるかも書くこと、そして自分なりの今日学んだことのまとめを書くことを徹底するようにしています。一人一人わからないことやできること、できないことは違うのに、一斉授業ではわかっていることを繰り返さないといけなくて退屈な子と、わからないのにどんどん進んでいってしまってついていけない子が発生してしまう。ここに矛盾を感じ、このスタイルを始めました。子どもたちの姿を見ていると、どの子もイキイキと学んでいます。もちろん、少し遊んでしまう子もいますが、それはそれで失敗したなぁーという学びにもなります。全体の学習進度も一斉授業より早く、テストの点数も3学期はぐんと伸びました!テストの点数が全てではないですが、確実に成長していることはわかります。今後は、イエナプランのように、他教科も交えての自由進度とし、1週間の計画を自分で立てるような学習スタイルにしていけたらいいなと考えています。また、年間の全教科の単元を見通して、教科横断的に学習できる単元は、なるべく繋げるようにカリキュラムを組み直したりもしています。
 次に哲学対話です。哲学対話は、正解のない問い、例えば「お金があれば幸せになれるか?」「男らしく、女らしくしないといけないのか?」などについて自由に意見を交わすという授業です。最初は、私が問いを立てていましたが、この取組みを続けていると、子どもたちから今日はこんな問いについて話し合いたいと提案があるようになりました。今では、子どもたちの問いから始まる授業になっています。私も気づかなかったような考えを言う子も多く、はっとさせられます。子どもたちもこの授業が大好きです。社会に出れば、正解がわからない、正解のない問いに満ち溢れています。そして、多様な意見をもっている人がいます。なのに、学校では正解は全て先生が決めてしまい、多様性が認められていません。これからを生きる子どもたちには、ぜひ自分で考えて行動できる人になってほしいと思いますし、多様性を受け入れられる人であってほしいと願っています。
 そして、多数決で決めないクラス会というのをやっています。学校では何かを決めるときに多数決で決めることがほとんどですが、多数決は少数派のマイノリティを切り捨てることになると思い、多数決をなるべく採用しないようにしています。3年ほど前に担任した小1のクラスで、「どうしても制度」というのをやりました。これも蓑手さんの実践を参考にさせてもらったものです。どうしても嫌だ、どうしてもこれがいいという意見があれば、言ってもいいという制度です。もちろん、どうしてそう思うのか理由も一緒に話してもらい、その理由を聞いてどうするかをもう一度クラスで話し合います。そうすることで、全員が納得する結論を出そうというものです。今年は小4のクラスで国語科の時間に、学習参観の日に何をするかという話し合いをしました。創作劇をすることになりましたが、そこにたどり着くまでも色々と意見の相違があり、また内容をどうするかも様々な意見が出ました。こういった多数決で決めないという話し合いをしていくと、最後は真ん中の意見というか、双方の言い分を取り入れたような結論に行き着くことが多くなりました。元麹町中校長で、現横浜創英中高の工藤校長先生(著書「子どもたちに民主主義を教えよう」など)は、多数決は民主主義ではないと言われています。大多数が支持する意見、声の大きい人の意見だけが採用されるのは、対話ではありません。必ず嫌な思いをしたり、我慢を強いられる人が出てきます。そして、対立が起こります。その最悪の事態が戦争だと思うのです。日本では学校で民主主義をどう実現していくかということが教えられていません。子どもたちには小さい頃から対話で物事を解決する方法を学んでほしいと思います。
 最後の会社活動は、クラスで絶対に必要な仕事の役割分担(係活動)のほかに、自分がクラスやりたいことをやりたい人と一緒にやる活動です。例えば、遊び会社や飾り会社、クイズ会社があります。これも教師が全てを決めてしまうのではなく、自分たちのクラスは自分たちで運営していくという自治を学んでほしいと考えています。こういった身の回りの生活をよくしていこうとする行動は、将来、地域や社会をよくしていこうとする行動につながっていくと思います。日本は、先進諸国に比べて「社会を自分で変えていくことができると思う」と考える若者の割合が極端に低いです。それは、管理されることに慣れてしまって自分たちで変えていく、変えていくことができるという経験が少ないからなのではないでしょうか。次代を担う子どもたちには、自分たちの社会は自分たちでつくっていけるんだ、そんなことを学んでほしいと思っています。
 色々と自分なりに取り組んでいることを書きましたが、私もまだまだ発展途上で、実現できていないことや勉強不足のことがあります。自分の理想とする教育に向かって、日々実践と研鑽を重ねていきたいと思います。つたない実践を読んでくださり、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?