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9. 史上最高のエース

 不思議なことに、彼の最後の撃墜は9月28日の、マルセイユの人生で最も苛酷な158機であった。とにかく、彼は家に手紙を書いた。
「それは互角の戦いだった。短い戦いでもあった。でも最初は、勝ちを確信している訳ではなかった」
  戦闘解除で、ノイマン少佐(その当時はまだマルセイユの部隊長)は飛行中隊の生き残りの帰還を心配そうに見ていた。確かにマルセイユはさらに大きなガスタンクが装備された新型のMe109Fに乗っていた。だが、そのガソリンは今や、殆どなくなっているはずだった。彼は腕時計をチラリと見て、無線テントへ迅速に移動した。交換手のその声は「Gelbe One」と繰り返し呼んでいた。

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