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【音楽メモ】石田さんのヴァイオリンに中毒している

往復2時間半の通勤車中。いくつかヘビロテの動画や音楽があるのてすが、その中の1つが石田泰尚さんの2021年神奈川県立音楽堂での、音楽堂アフタヌーンコンサートの動画です。

ヴァイオリニスト 石田泰尚(いしだ やすなお)さん

まずは奏者について。石田泰尚さん。
神奈川県出身。明星高等学校、国立音楽大学首席卒業のヴァイオリニストです。神奈川フィルの首席コンサートマスターでもあり、神奈川フィルではグッズが作られるほど人気のあるヴァイオリニスト。

大学在学中の1994年から新星日本交響楽団コンサートマスター、2000年に神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者の目に留まり、コンマスとして同年夏にゲスト出演。翌2001年から神奈川フィルハーモニー管弦楽団ソロコンサートマスターの座についた。現在、神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席ソロ・コンサートマスター、京都市交響楽団特別客演コンサートマスター(2020年4月〜)。

Wikipedia 石田泰尚より

そして、このコンサート動画で演奏される下記の3曲に中毒してます。

1曲目 ビーバー : パッサカリア

作曲者のビーバー(Heinrich Ignaz Franz von Biber 1644-1704)は、オーストリアの音楽家で、ヴァイオリンの名手。このパッサカリアは、1676年頃にザルツブルグで作曲された15のロザリオのソナタ「マリアの生涯のための15の秘蹟の為に」と書かれた組曲の最終曲だとか。

15曲は、1曲目から順に『受胎告知』『訪問』『降誕』『奉献』『神殿』『橄欖山』『鞭打ち』『茨の冠』『十字架』『磔刑』『復活』『昇天』『聖霊降誕』『聖母被昇天』『聖母戴冠』と名前が付いています。

そして、その後に最後の16曲目『守護天使』があります。
この最後の曲だけが無伴奏のヴァイオリン曲。

自筆譜一曲づつに銅版画が添えられ、このパッサカリアには「守護天使と幼子」の銅版画が添えられてザルツブルグ大司教に献辞された。15の秘蹟(ひせき)を受けた満足感が16曲目のパッサカリアで表現されている。

輸入楽譜・クラシック譜の通販専門「カマクラムジカ」webサイトより

何かに真摯に向き合い、祈りたくなるような静かで心に響く、そして、少し憂いのある曲。
一艇でこんなに豊かに響くんだ、と感動。生で聴くとすごいんだろうなと思う。

仕事帰り、疲れて車中に乗り込んで、すべての煩わしい感情を削ぎ落としたい時に聴くと、音が身体の中の渦巻いた感情をスーっと流して落ち着かせてくれます。何かに救われる感じがします。

いろいろこの曲を調べる中で、他の方の演奏も聴いて、同じ曲なのにそれぞれに全く異なる曲に聞こえるという不思議がありました。曲想の捉え方の違いって大きい。

その中でも、この曲についてとても詳しく書いてあるnoteの記事を見つけました。

この記事で紹介されているパッサカリアが印象的でした。最初の数小節で一気に寺院の中にいる錯覚に引き込まれました。こちらです。

一つの曲でも、いろいろな表情が見れます。それを痛感しました。
とても興味深いです。
それぞれのパッサカリア。

B.S.バッハ : 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 シャコンヌ(動画:10’10”~)

2曲目はシャコンヌ。
この曲はパルティータ第2番を構成する、全5曲の組曲の中の最終曲です。

パルティータ第2番ニ短調 BWV1004
257小節に及ぶ長大な「シャコンヌ」を終曲にもつこのパルティータ第2番はこの曲集の頂点の一つを形成するもので、最も著名な作品である。全5曲。
Allemanda
Corrente
Sarabanda
Giga
Ciaccona
シャコンヌの名称どおり変奏曲の形式を持つが、ニ長調の中間部を有する三部形式とも取れる。音楽的な構成としては、冒頭の8小節に現れる低音の下行テトラコードをシャコンヌ主題とし、種々の変形を受けながらこの主題が32回現われ、そのたびに上声を連続的に変奏する壮大な作品となっている。

Wikipedia より

主題の繰り返しがキーワードのようです。別のサイトにはこうあります。

聞き手には移り変わっていく上声部のメロディラインしか意識には残らないでしょうが、執拗に繰り返される低声部の主題が音楽の支配権を握っています。

「クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~」webサイトより

シャコンヌ自体長い(16分あまり)ので、いつも聴いている動画には、編集されて終盤の5分半しかアップされていないのですが、この動画の11分17秒ごろに私のお気に入りの部分があります。特にに繰り返して聴きたくなる個所です。

ヴァイオリンの技法には詳しくないので、表現がわからないのですが、『ヴォン』と音がうなる?部分があります。そこごたまらなくカッコイイ!!

他の石田さんのシャコンヌの演奏を探して聴いても、このうなるような音は出てきません。このコンサートの動画では聴けます。

どこに違いがあるのか分からない…。

このうなりがカッコよくて、ここにさしかかると全集中してしまう私(笑)。
このうなりのような音が、ライブ感をさらに高めているという気がします。

ぜひ聴いてみて下さい!

ピアソラ : タンゴエ・チュード 第3曲 (動画:15’40”~)

3曲目はピアソラ。
石田さんのピアソラ、超かっこいいです。CDも持っています。


CDもいいですが、この動画もライブ感たっぷりで釘付けです。
早い音の動きの部分もかっこいいのですが、音を伸ばす部分の、音の伸びにもグッときます。・・・うまく言葉にできません。語彙力が不足している。

アストル・ピアソラは、アルゼンチン出身のタンゴ音楽作曲家であるアストル・ピアソラは、バンドネオン奏者で、タンゴにクラシックやジャズの要素を融合させた演奏家・作曲家だそうです。
ピアソラの作った曲は、曲自体もかっこいいし、それを演奏している演奏者もみんなかっこよく見えてきます。私だけでしょうか・・・。

演奏後には、「ほぅっ」とため息をついてしまいます。

最後に

私が石田さんを知ったのは、NHK Eテレ、クラシックTVの「3人のコンサートマスター」の回でした。ビジュアルがめっちゃ個性的。あの風貌から生み出される発言も面白くて何度も笑ってしまった。

面白くて笑っていたのに、ラスト、石田さんと、当時N響のコンマスの篠崎史紀さん、読響コンマスの長原幸太さんの3人のコンサートマスターが演奏したニムロッド(エルガー)が圧巻!
こんなに美しいアンサンブルは聴いたことがない。身体が異次元にいるような感覚にとらわれます。何も考えられず、ひたすら3人の奏でる音色に惹き込まれました。

演奏後の、鈴木愛理さんの表情が、すべてを物語っていました。
NHKさん、この部分の動画を出してほしい。切に願っています。

というわけで、石田さんのヴァイオリンとその楽曲に中毒している、というお話でした。
最後まで読んでくださりありがとうございました。