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カタリストたち、ようこそ京都へ!ZEM COFFEEカッピング会のご報告

ドリップバッグでもリリースされ、絶賛販売中の〈Ethiopia Hamasho Coffee Cherry Co-Fermentation Washed〉。このコーヒーに潜むストーリーは、2023年のWBC視察での偶然な出会いからはじまった買い付けがきっかけです。まだ、Hamashoの豆ブログを読まれていない方は、ぜひ合わせてご覧ください!

「触媒」(Catalyst)という言葉から由来するカタリスト・トレードは、コーヒーチェリー本来の風味を尊重し、伝統的な手法から革新的なアプローチに至るまで、多様なコーヒーをつくりコーヒーの可能性を広げています。同時に、彼らは10年以上にわたりエチオピアの生産者とのコミュニティを築き上げ、生産者に負担をかけることなく細やかな品質管理を行い、美味しいコーヒーを求める消費国のニーズにも答えています。

彼らの取り組みには、熱い情熱と色々な濃い物語が潜んでいます。しかし、国際情勢の悪化により昨年取引したアメリカのインポーター〈Catalyst Trade〉はクローズすることに。このニュースを受けて、今回が最初で最後の買い付けになるかもしれないと思い、非常に残念に感じました。

灯りは消えず、ZEM COFFEEとの協業

しかし、実は生産・精製・品質管理・輸出管理を担当しているエチオピア現地オフィス〈Ethiopia-Catalyst〉は健在だというメールが後日届きます。エチオピアのエキスポーター〈ZEM Coffee〉との協業を通して、今後も引き続きこだわりのコーヒーを取引できるということに。

中々、ドラマチックな出来事でしたね...

今年の買い付けシーズンに向けて、2024年3月11日、代表のエミリーとマイケルがKurasu Ebisugawa店に訪問。Kurasuチームもメールのやりとりや写真でしか見なかった彼・彼女らと対面し、暖かいハグを交わしました。
今回の訪問目的は今年のニュークロップであるウォッシュド2種類、ハニー2種類、ナチュラル2種類のサンプルカッピング。

代表のエミリー、彼女には元・ジャーナリストで、ファンタジー小説家という面白いバックグラウンドがある。

今改めて〈Ethiopia-Catalyst〉が歩んできた轍を紹介するプレゼンと、彼らの品質へのこだわりを伺うことができました。

影の努力、生産国で品質にこだわるということ

まだ、スペシャルティコーヒーを飲み慣れている方には、チェリーの収穫や精製方法にこだわるということへのイメージが比較的に浮かびやすいかもしれません。コーヒーチェリーの均一性を揃えるところから、ロースターの私たちに届けるまでの様々な工程の中で、彼らが管理している領域は、単に味だけが全てではないです。

代表の洋三とエミリー

輸出段階を例に取れば、港の倉庫には無数の麻袋が積み重ねられ、通常、それぞれを厳密に確認することはありません。中には、購入した豆の中身が入れ替わってしまうことも珍しくないようです。

そうした状況の中でも、〈Ethiopia-Catalyst〉のチームは、エチオピア出身の熟練スタッフと共に、どんな小さな可能性にも豆が入れ替わらないよう、細心の注意を払いながら無数の麻袋を一つ一つ確認しています。

サプライチェーン内の見えない細部にも目を配り、〈Ethiopia-Catalyst〉はそれぞれの段階で繊細に取り組み、築き上げられた信頼関係の深さのもとに、私たちの手元にコーヒーを届けます。

コーヒーを通した文化と発展の調和

「エチオピア産のコーヒーが私たちにもたらす独特の華やかさと果実味は、人々の心を魅了し続けていうことでしょう。しかし、消費国に限らず現地の人々にとってもコーヒーは、自然からの賜物です」

カッピング後、代表のマイケルは話してくれました。

代表のマイケル、主に品質管理を担当されています。

彼によると、エチオピアのカッファ(Kaffa)地方は、コーヒー語源の地としても知られ、エチオピア南西部の重要な一角を占めています。この地域の人々の70%以上がコーヒー産業に携わっており、コーヒーは生計を立てる手段としても、現地の文化や精神性としても深い意味を持ちます。

こうした文化的背景を理解しているからこそ、〈Ethiopia-Catalyst〉は土地の文化が外部から守り残されると同時に、経済的にやさしく発展する活動に取り組んでいます。

例えば、現地の女性たちに焙煎技術を教えることで、コーヒーチェリーの収穫だけでなく、生豆を焙煎して現地で販売するという新たな選択肢を提供しています。家庭や町ごとに焙煎機を導入することにより、仕事の機会を増やすだけでなく、コーヒーを飲むエチオピアの文化とも溶け込みます。

 このように、現地の価値観を重んじつつ、持続可能な循環を創造することに、彼らはフォーカスしています。コーヒーだけでなく、伝統的な発酵生地「インジェラ」のパン焼き方を広めるワークショップを実施するなど、地域固有の文化を尊重した多角的な取り組みを展開しています。


「Coffee brings people together」はスペシャルティコーヒーの持つ力

「Coffee brings people together」

これは、エミリーが大事にしている言葉。和訳すると「コーヒーは人々を仲間にする」というところでしょう。

仲間と思える、想い馳せられる、そのような人々の顔を日々、少しずつ増やしていきたい。エチオピアから遥か離れた日本へと足を運んでくれたカタリストたちが、その想いを深く感じさせてくれました。

Kurasuの焙煎・バリスタチームとの集合写真。心がほっこりします。サプライチェーン上のそれぞれのメンバーがつながる体験を大事にしていきたい。

今年は、どんなコーヒーたちがリリースされるか、ぜひお楽しみにお待ちください。

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