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四季折々の俳句 15




「 あかるく終る 」

真向かうて大風に立つ案山子かな

吸ひこまれさうに子規忌の空青し

町ぢゆうの音きこえけり秋すだれ

柚子といふ幸せが木にたわわなり

大ぞらのしたがふるさと赤とんぼ

摘んでわがじんせいおもふ草の花

行く道のまだまだ伸びて秋ならん

秋の滝はつとしづまりかへりけり

大ぞらのしづまりしとき銀杏散る

いちにちのあかるく終る月見かな

笑ふたび霧の晴れゆくおもひかな

野のはらは露のひかりの浄土かな

水澄みて鯉のにしきの映えにけり

ともる灯のしたたりやまず秋の雨

われも一つ灯かりともして秋の雨

若がへるここちに握るレモンかな

つな引きのつなが張りつめ運動会

何となく野に来て秋のあかるさよ

淋しさをいちまい羽織る九月かな

平和なる世はしづかにて月見かな

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