曙の子


大きな重たいドアから細く漏れる灯りは眩しかった。

隙間から見えるリノリウムの床に反射して白い。


ステンドグラスの色とりどりを擦り抜けて、光たちが着地して整列した。

赤、青、ばら色、黄色に、緑。めいめいが、お前の顔は赤過ぎるだの、そっちこそ、変な色だのと、たわいも無いことで騒いでいる。


ステンドグラスには神話に類する逸話が描かれてあった。三賢人が現れた場面のようであった。


椅子の上に着地したやつは、お爺さんが隣の席からはみ出させている膝に登ろうとして滑っている。

歌は知らない曲目だった。


神父が、そこにいる皆を祝福をするために片手をあげた。


教会は祈りでいっぱいであった。


うしろのふたりのはいる隙間はなかった。




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金澤詩人第十五号掲載



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解説 ・・・曙の子というのは元天使だった悪魔のひとりの異名。


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