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言葉を変換する魔術の罪

ちょっとモヤッとした話を、書いてみます。言葉の選び方の話です。

会議でのこと。


「さっき、君は、そう言った。」

 突如として、上司からそんな指摘をされた。何を言っているのか全くわからなかった。

 あの出来事は、もう、3ヶ月前のことになるのに、未だにココロの中に残っている。

 意味がわからない一方で、自分も悪いのか、という葛藤の渦がいまだに収まらない。

 きょうは、そんな話。

***

 会議のときのこと。

 『さっき、君は、「ツッコミどころ満載」といってたけど、どんな問題があるのか』

 …。

 「そんなことは、言ってません」

 当然だ。そんな下品な言葉を、会議の場で、使うはずがないだろう。


 「いや、言った!」


 そんな、しょうもないやり取りが、続く。

 埒が明かないので、思い当たる節を探し始める。一瞬の脳内検索の結果、これだなと、1件ヒットした。


 『その件については、ちょっと気になることはあるのですが…、総じて問題はないと思います。』


 その際の懸案だった、”資材置き場の選定の仕方” について、自分がコメントを求められた際に、発言した。


 たぶんこれだ。

 が…。


 言いようのない、いらだちが。

 瞬間的に、ココロの中に。

 湧き上がる。


魔術


 彼(上司) の中で、どのように変換されたのかわからないが…。


 「ちょっと気になることがある。」

 = 「ツッコミどころ満載」


 こうした等式が、彼の頭の中で、成立したのだろう。状況から、そう解釈せざるをえない。

 自分には、その解釈に、悪意を感じて、その場では一瞬口ごもった。


 これは、もはや、魔術だ。

 人間関係を、ぶち壊す魔法。


 まぁ、その後は、何事もなかったかのように。

 「先程の話ですが…。」とその際に気になった些事について説明した。本当に、何事もなかったかのように、その場が過ぎていった。


 上司もそのあと、「ツッコミどころ満載」の件については、何も言わなかったし。わたしもなにも言わなかった。


 ただ、自分の中では。

 渦が、めぐる。


「自分ももうちょっと、気をつければよかったんかね…」


 まぁ、自分の言葉もいまいちだった。こうして文字に起こしてみると、「気になることがある…」の部分は、わざわざ言う必要がなかった。いいならいいと、サラッと言えばよかった。

 と、それはそうなのだが…。


  「ちょっと気になることがある。」

 = 「ツッコミどころ満載」


 この等式に対する、不快感は消えない。

 なぜこうなる?


言葉選び、そのむずかしさよ…。


 ままあること、といえばそうだ。


 例えば、妻との会話で、こんなあった。

 妻「どう、この料理、おいしい?」

 草「うん、ふつーにおいしい。」

 妻「…、”ふつー”って、なに?」


 こんなふうに、ご機嫌を損ねていく。

 ちょっとした言葉のセンスで、その場の雰囲気が変わっていく。こういう空気を敏感に察知し、経験と反省を繰り返していくうちに、みんなおとなになっていくのだろう。

 自分もまだまだだ。


 我が立ちふるまいを、自らの眼でみつめながら。

 かっこよく、生きていきたいですね。



 時を経て、いまだにおさまらない感情の渦と

 それを内にした自戒をこめて。


 きょうのnote は、ここまでにします。


 まぁ、余計なことは言わなくてすむように。

 きょうも、マスクでも。

 していましょうかね。



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 実際、上司とわたしの人間関係の問題もあるような気はしてますが、それに触れだすと長くなるので、言葉のセンスのみについてフォーカスしました。




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