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ずっと頼るってなんだろうって思ってました。

「自分以外の誰かといると、気付かなかった視点がぐんと広がる。だから誰かと行動すること、誰かと生きることって重要だと思うんだ」

糸がほどけていく、はらはら はらり。
頼るって、誰かと生きる事なんだ。


✿✿✿✿


7月6日、イスタンブール。
私はアヤソフィアという綺麗な教会に入るためのチケットのために長い行列に並んでいた。するとお決まりのごとく、私に声をかけるトルコ人のおじいさん。

「こっちの列の方が安いよ、しかも早いし。君は列を間違っているよ。こっちこっち!」

観光地ではよくあることだけど、早くて安いなんて日本の回転ずし店じゃあるまいし、上手い話はだいたい詐欺。それでも突然のことすぎて、前に並んでいる人にここであってるよね?と聞く。

迷惑そうに私を見る彼らに、ううどうしようと困っていると、後ろに並んでいた黒人のおにいさん2人組が、トルコ人のおじいさんに声をかける。

「彼女、僕たちと同じグループだから。」

その言葉にひるむおじいさんに最後の一押し。深く息を吸って。

「私はこの列に並ぶし、早く急ぐ必要もないから大丈夫よ、ありがとう声をかけてくれて」


やられたーっと言わんばかりの表情で、去っていくおじいさん。もう1分後には違う日本人家族を捕まえていて、思わず笑ってしまった。

「彼は日本人を狙ってるんだね。」

そういって助けてくれた黒人のおにいさんが笑う。ありがとう、助かったわ、とお礼を一言。助けなくたって楽しくその日を過ごせただろうに、優しく笑う彼らを見てほっとした。

「よかったら、一緒に見て回る?アジア人は団体で来てる人の方が多いし、その方が安全だと思うし、どう?」

どうって、もう、断る理由はなくて、なんならお供させてくださいのレベルだったから、ぜひ一緒に、と回ることにした。


2人はたまたまゲストハウスで出会ったモロッコとイエメン共和国出身の人だった。そこに全然違うジャパニーズの登場で、なんだか回りながら話す内容も全然違かった。

モロッコのお兄さんは測定士をしているらしく、建物の作り、窓の配置の話をしてくれた。

イエメンのお兄さんはこの教会の歴史、昔のトルコのオスマン帝国の話をしてくれた。

私はというと、何も持っていないで、きれいとか、すごいとか、知らないことが多すぎるとか、衝撃を受けるばかりだった。

何も持っていない私に気付きながら、新しい視点が入ってくることにワクワクしていた時、イエメンお兄さんはいった。

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