見出し画像

#352 「ビジネス頭の体操」 7月2日のケーススタディ

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


7月2日(金) 「たわし」は日本の3大発明!?

東京都北区滝野川に本社を置き、「亀の子束子」(かめのこたわし)を中心とした様々な掃除用品などを製造している株式会社「亀の子束子西尾商店」が制定した「たわしの日」です。
1915年(大正4年)のこの日、西尾正左衛門商店(現:亀の子束子西尾商店)の初代社長・西尾正左衛門が「亀の子束子」の特許権を取得したことに因む。

たわし
昔ほど見かけない気もしますが、どうなのでしょう?

とはいえ、たわしの市場規模、さすがにデータが見つからず。めちゃくちゃ大括りですが、家事用消耗品の市場規模は約2兆円にもなります。

…あまり参考にならないですね。

月刊マーチャンダイジングの「台所消耗品市場規模と小売業の売場状況というデータを見つけました。こちらですと、「たわし・布巾」というカテゴリがあり、市場規模は203億円となっています。

画像1


次に、どれくらい使われているか、を「キッチンスポンジ」についてのアンケートから見てみます。

質問は、「あなたはふだん食器・鍋やシンクを洗うとき、キッチンスポンジやたわしを使っていますか。それぞれの洗い物別に教えてください(複数回答)」というものです。

画像2

たわしはTOP3に入るものはなく、
☑️ グリル鉄板・網・ガスレンジ(12.7%)
☑️ シンク(11.1)
☑️ 鍋・やかん(10.6%)

が多くなっていいます。

スポンジに比べると使われている率は少ないようですし、茶碗やガラスなど傷がつきそうなものはスポンジの圧勝です。

調べていて驚いたのですが、たわし、というのは、日本三大発明の1つと言われているんですね。

ちなみに、あと2つはなんだかご存知でしょうか?

☑️ 西尾商店、西尾正左衛門の『亀の子たわし』
☑️ ナショナル、松下幸之助の『二股ソケット』
☑️ ブリジストン、石橋正二郎の『ゴム足袋』

だそうです。

この西尾商店、今の亀の子束子西尾商店が「たわしの日」を制定したのですが、三大発明で、今も現役で売られているのは、たわし、だけですね。

しかも、今も昔と変わらない手作りだそうです。

この亀の子たわし、累計で5億個以上販売されたそうですが、マーケティングの観点でも非常に興味深かったのでご紹介します。

現社長の西尾智浩さんはギタリストとして活躍していた方で、父親から会社を継いで取り組んだのが、商品構成の見直しです。

たわしの一本足打法からの脱却を目指します。

そこに、フランス系自転車部品メーカーから転職してきた鈴木さんがマーケティング担当として入社します。

2015年にはこだわりのスポンジを開発、デザインにもこだわり人気商品に。2年後の2017年には日本パッケージデザイン大賞」で大賞を受賞。総数1277点の中で大賞はたった2点だったそうです。

画像3


面白いのは、スポンジでなんでも洗うようになったからスポンジを作った、のですが、それはあくまでたわしを知ってもらうため、という目的だったことです。

たわしそのものの改良も試みます。きっかけは、たわしを台所に置きたくない、という声だったそうです。

結果、完成したのが、「白いたわし」。より乾きやすいように真ん中に穴が空いており、ベーグルのような形状です。

画像5

さらに面白いのは、単に良い商品を作るだけでなく、先程のデザイン大賞を取るように、デザインに拘っていることです。

2017年には、亀の子束子の110年ということで、<亀の子束子><BEAMS><UNITED ARROWS>の3社で期間限定のお店まで作ってしまっています。

画像4


これらによって、たわしとスポンジの売上構成は、かつて「97:3」だったものが、現在は「60:30」で、残り10は洗剤などの関連商品となっているそうです。

また、全て手作りで品質にこだわるとともに、安売りはしない方針を貫いています。「いいものを安く、はない」、という信念だそうです。

他にも直営店でカフェを併設したり色いろと面白いことをされています。以下の現代ビジネスの記事にさらに情報がございますのでよろしければ。


これだけですと、完全に亀の子束子さんだけになってしまいますので、昔は亀の子束子さん同様、伝統的なたわしを作っていたものの、スポンジたわしを開発して売上を伸ばした「菊たわし製造所(現・キクロン)についての記事を紹介します。


→たわし。手作りで作られた高級品の中には、手や体を洗うのに愛用している方もいるほど肌に優しい製品もあるそうだ。超ロングセラーとなっているたわし。一体何がこれだけ長く売れ続ける要因なのだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。

どこか1つでも皆様の頭の体操となるところがあれば嬉しいです。

昨年7月からこのような投稿をしています。以下のマガジンにまとめています。かなり溜まりました。ご興味ありましたら覗いてみてください。



この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?