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身体になじむ文章は音読でつくる

内田樹・三砂ちづる『気はやさしくて力持ち』を読んでいます。


自分の原稿に手を入れる作業がけっこう好きなんです。少しでも読みやすくなると、すごくうれしい。
「読みやすい」というより、「声に出しやすい」という方がいいかもしれません。 僕の場合、自分の文章を推敲するときの基準は「音読に耐えるかどうか」なんです。意味とかメッセージよりも、声に出してすらすら読めるかどうかということが僕にとってはたいせつなんです。どうしてなんでしょうね。

(P.89)


声に出して読みやすい、音読がしやすいということは、言葉が身体に受け入れやすい、馴染むかたちで並べられているということだと思います。

書いた文章が自分や読んだ人の身体に馴染むかどうかは、自分の口で音読してみることでたしかめることができます。


何か文章を書いているときは、まだ言葉になっておらず、形も定まっていないアイディアが頭の中にあります。

私たちはそれをなんとかひねり出し、並べてみて、書き連ねていきます。

でも多くの人にとって、出てくる言葉や文章は自分の書きたい内容と比べて物足りないか、あるいは全く不十分なことが多いかと思います。

自分の考えていることを言葉にし、文章に書き起こしていくことは難しい作業です。

どれだけ時間をかけて手を入れても、満足に書けないことの方が多い。


だから、「思うような文章は書けない」ということを前提としてみてもいいのかなと思います。

ある程度まで書きたい内容を書けたら、それはそれで一旦よしとして、「言語化」から「読みやすさ」「音読のしやすさ」に考え方をシフトさせる。

自分で口に出して読んでみながら、つまったり、しっくりこなかったりする部分に手を入れていく。


そうすれば、たとえ言いたいことは十分に書ききれなかったとしても、自分や読んだ人にとって「しっくり」きやすい文章ができるのではないかと思います。

多くの人は声に出して文章を読むわけではありませんが、やっぱり音読をして整えた文章の方が読みやすいはずです。


文章の内容にこだわるのもひとつですし、「読みやすさ」にこだわって、「なんだかよくわからないけど、妙にしっくりくる文章」を目指して書いて、それを公開するのも悪くないんじゃないでしょうか。

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