見出し画像

2021年 個人的映画TOP7~5

油断していたら今年ももう終わり。アルコールの力を使いつつ、今年中にランキングだけは書き上げたいという強い意志を胸に、頑張って書きます。卒論の息抜きにもなるしね。

こちらが前回のになります。これを書き始めた当時(12/17)、ランキングを既に1位まで決めてしまっていたが、それ以降に鑑賞した作品でランクインさせたい作品もいくつか。ここは我慢だ。最近の方が印象が強いだけだろうし。またどこかで触れられたらといったところ。それではさっそく7位から発表していきます。

7.燃えよ剣  10/15公開

10作品の中で唯一の邦画である。幕末、好きなんですよね。加えて司馬遼太郎も大好きなんです(ゴールデンカムイも大好きなんだ)。普段はあまり邦画を見ない私も、公開日に観に行かざるを得なかった。ちょうどこの日は『DUNE』と『キャンディマン』も同劇場で鑑賞。本作品はそのトリプルヘッダーの第一試合だった。終始重苦しい空気感で物語が進行していたため、鑑賞後の疲労感はかなりあったが、それに見合った満足感を得ることができた。

物語の構図は函館戦争に挑む前に土方歳三が過去を振り返るといった形で、ところどころ語りを織り交ぜながら展開される。その回想が物語における「現在」に追いつき、そこから最期を迎えるまでを描くといった形だ。「現在」の土方の語りによる回想から物語が始まるということで、動乱期の日本の世界観にすっと入り込むことができた。

ゴールデンカムイ©野田サトル/集英社

加えて近藤勇や沖田総司をはじめとする新選組の隊員らとの関係性などが軸となって進行するという物語の構造上、彼らが退場した後半、つまり本作の時系列の「現在」付近の部分は、前半に比べて大幅に削られてはいたものの、そこに不満は感じなかった。(これってネタバレの類じゃないよな...)

(C)2021「燃えよ剣」製作委員会

この点は本作品が物語のどの部分に重心を置いているのが認識しやすいという作用もあり、無駄な思慮なく鑑賞することができたとも言うべきか。歴史映画らしく、純粋に彼らの「描かれ方」を楽しむことができたという面ではベストな構成だったと言えるのではないだろうか。

(C)2021「燃えよ剣」製作委員会

また、お雪さん絡みの「女性と戦争」という観点を物語に絡めていたところも、作品自体の立ち回りとして抜け目がないといったところか。個人的にはこのトレンドに関しては無条件で肯定はしませんが。それはまた別のお話。

次にアクションシーンについて。扱う時代や戦闘シーンの性質(一対一の長尺や一対多)の類似性、そして現代の映画という共通点から、少年時代によく観ていた映画「るろうに剣心」に近いものになるのかなと考えていたが、その考えは杞憂に終わった(るろ剣も嫌いじゃないよ)

本作品における戦闘シーンには荒々しさや無骨さが溢れており、少なくとも綺麗な戦闘シーンではない。もっと言うと主人公の土方でさえ、名もなき志士らとの戦闘に苦戦する様子が描かれる。この実物大の戦闘に加えて、刃を交える際の重み、圧がこちらまで伝わってくるかのような緊張感。彼らは他でもない「命」のやり取りをしているのだと実感させられる。

(C)2021「燃えよ剣」製作委員会

個人的には非常に好みの戦闘描写だった。ちなみに土方の殺陣シーンは、演じている本人である岡田准一が剣技の構築や指導を全て行ったそうだ。他にも沖田総司の三段突きや左利きの斎藤一の刀の持ち方なども指導していたそう。もはや俳優の域を超えてる。凄すぎる。

最後に俳優陣について。土方歳三役の岡田准一は上記を見ていただけると言うまでもないだろう。しかしながら鈴木亮平演じる近藤勇や、山田涼介の沖田総司、尾上右近の松平容保らの演技、そして醸し出す空気感も無視することはできない。完成度、そして余りの違和感のなさに本当に驚かされた。

別枠にはなるが村本大輔演じる山崎丞も作品中でいいアクセントになっており、物語の空気感を壊さない適度なユーモアで存在感を残していた。真面目に演じた(当たり前だが)はんにゃの金田も含め、それぞれの人物にスポットが当たるシーンをつくる作品の構成もまたお見事でした。最後になりましたが柴咲コウがすごく綺麗です。

6.イン・ザ・ハイツ  7/30公開

ミュージカル映画をどこか好きになれない。そんな人は多いだろう。私も同意見である。何だか観ていて気恥しいというか。歌が長いななんて思ってしまったりとか。ゆえに本作の鑑賞も乗り気ではなかった。しかし、しかしだ。この作品は今まで観てきたミュージカル映画と全く別物であった。本当に観て良かったと感じた。

なんといってもラップ×ミュージカルが素晴らしい。上の冒頭シーンを見ていただければ分かるだろう。特有のわざとらしさを感じず、作品の雰囲気を自然に楽しめたことに留まらず、THEミュージカル的なシーンにもメリハリのハリの部分を感じた。各人物それぞれのリズムのラップの軽快さは言わずもがな。多彩なダンスシーンも込みで、ライブビューイングを観ている感覚になるほど。座席で一人で盛り上がっていた。

 (C)2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved  

忘れてはいけないのがストーリー。人種問題やラティーノたちのアイデンティティ、そして社会問題までを等身大で描かれているものの、その描写にストレスは感じず、どこか楽観的だ。明るさに溢れている。

 (C)2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

それぞれが自分の人生や苦悩と向き合う。自分のやりたいこと、すべきこととは何なのか。その過程の中で、ワシントンハイツの住人らとの助け合いや互いの尊重が如何に大きいものだったか。この観点は現代日本の社会問題を考えるきっかけにもなるだろう。

本作はミュージカル映画が苦手という人にこそ是非観てもらいたい。自信を持ってオススメ出来る。そんな作品になっている。是非。最後になりましたがバネッサが美しいです。

5.パワー・オブ・ザ・ドッグ  11/19公開

今回のランキング、主にジャンルなどの面で多様性を意識して選出したが、そんな中でNetflix枠(配給だけど)としてこちらの作品を選んだ。正直なところ、Netflix枠かDisney枠かでめちゃくちゃ悩んだ。ちなみにDisney枠で考えていたのは『フリー・ガイ』である。あれも良かった。

しかしながら作風という観点でNetflix枠の本作を選出。作中の風景や場の雰囲気、主人公の醸し出す静かな圧。荘厳とでもいうべきか。加えてそれ故の息苦しさよ。説明のほとんどない、中盤までの丁寧な描写は退屈と言うよりこっちだね。

Netflix映画「パワー・オブ・ザ・ドッグ」

終幕まで説明の少なさは一貫しているため、初回鑑賞で全ての描写の意図を読み解くのは恐らく不可能だろう。だからこそ物語が展開を始めたとき、思考が思い通りにいかない。振り落とされないよう、しがみつくように展開に着いて行く。最終盤で登場人物の意図がわかった時に、すべてが繋がる。このカタルシス。

Netflix映画「パワー・オブ・ザ・ドッグ」

ただ本作はそこで終わりとは言えない。描写の意図を読み解く所までは可能と言えそうだが、登場人物らの感情、意図や、そのバックボーンに関しては解釈が別れるところだろう。それを考えるのがまた面白い。

Netflix映画「パワー・オブ・ザ・ドッグ」

典型的なホモソーシャルを批判的に描写をしなかった点も心地良い(政治色出てしまうとね)。加えて炭疽菌の隠喩に関してもすごく面白い、面白いよ。ネタバレが怖くて語彙力が無くなってしまったのでここら辺で。

Netflix映画「パワー・オブ・ザ・ドッグ」

是非大きな画面で観てもらいたい作品です。サスペンス好きには刺さるはず。最後になりましたがトーマシン・マッケンジーが非常に可愛いです。

それにしても燃えよ剣だけ分量多いな、ほんとに。次回もお楽しみに!!!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?